花渡る海 (中公文庫 よ 13-3)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122015456

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  • 吉村昭氏の主戦場である漂流ものと医療ものが混ざった内容。
    当時のロシアは、日本からの漂流民を、日本語教師又は外交材料として巧みに利用しようとしていたことが伺い知れる。
    読み書きのできる漂流民には、日本語教師要員として、ロシア人女性を近づけ結婚、改宗させ、帰国できなくさせてしまう。
    それを知っている主人公は近づいてくる女性を断固拒否し、紆余曲折の後、やっとのことで帰国するが、種痘の伝来も叶わず、晩年の惨めな生活を見ると、何が良い選択だったのかは分からなくなる。

  • 人は置かれた環境の中でベストを尽くそうとするのが自然な姿なのだと思いました。最後は運が影響しますが、あくまでベストを尽くさなければならないのだと思いました。

    久蔵が漂流してロシアで過ごした期間は数年であっても、その激動を生き抜いたということが尊いのだと思いました。

    久蔵が川尻に戻ってからの半生はまた大変なことだったのでしょうが、ボクは久蔵の心理を考えなければならないと思いました。

    やはりボクは吉村昭の文体が読みやすいと感じ、司馬とはまた違った読了感に惹かれるのだと思いました。

  • 2014.5.9(金)¥150。
    2014.5.14(水)。

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著者プロフィール

一九二七(昭和二)年、東京・日暮里生まれ。学習院大学中退。五八年、短篇集『青い骨』を自費出版。六六年、『星への旅』で太宰治賞を受賞、本格的な作家活動に入る。七三年『戦艦武蔵』『関東大震災』で菊池寛賞、七九年『ふぉん・しいほるとの娘』で吉川英治文学賞、八四年『破獄』で読売文学賞を受賞。二〇〇六(平成一八)年没。そのほかの作品に『高熱隧道』『桜田門外ノ変』『黒船』『私の文学漂流』などがある。

「2021年 『花火 吉村昭後期短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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