陸軍省軍務局と日米開戦 (中公文庫)

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著者 : 保阪正康
  • 中央公論社 (1989年6月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122016255

陸軍省軍務局と日米開戦 (中公文庫)の感想・レビュー・書評

  • 1989年(底本1978年)刊行。本書をドキュメンタリーとするのは躊躇を覚えるものの、東条内閣成立から日米開戦までの模様としてはまずまず面白かった。また、陸軍省軍務局高級課員の目線で描くのも異色。①陸軍の、満州事変以降の行動に対して、組織的な自省心の欠片もない点と、海軍関係者の持つ陸軍の愚行の尻拭い感、②陸海軍を含め、官僚組織内の適切解は全体解ではない点、③国内資源の配分維持・増加に汲々となる軍体質、④七千万国民の生死を案ずる議論をした指導者がほぼ皆無な点、⑤検閲体質に塗れ、世論と国策迎合に終始した新聞。⑥戦闘・戦争で獲得した地域・権益を放棄することに(交渉の材料として手放すことを含む)心理的抵抗のある軍人特有の心理を暴くなど、なかなか興味をそそられた。
    単純な海軍善玉、陸軍悪玉に与するつもりはないが、だからといって、本作から読み取れる、陸軍のドイツ偏重、対米戦遂行に関する情報収集の欠落(海軍に投げっぱなし)、クロスリファレンスの不備(佐藤賢了のみに頼る米国情報)は、重大局面での国策遂行の有りようとしては疑問を感じざるを得ない。独ソ戦の評価とその検証具合も同様。

  • 太平洋戦争開戦直前期のノンフィクションドキュメンタリー。独裁者の印象が強い東条英機だが、当初から戦争一直線ではなく交渉も視野に入れていたことが意外に思った。開戦は実質政権中枢の30人程度で決められたことに驚く。いずれにしても開戦は避けられなかっただろう。

    元凶は天皇直轄の統帥部にあり、組織構造の大切さを再認識した。

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