秘境西域八年の潜行 上 (中公文庫 に 11-1)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (583ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122017474

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  • 内蒙古から西寧、そしてチベットへと。1945年の外務省の特務を負った著者の蒙古人ラマを装った活動は危険そのもの。国民党の目を逃れるだけでなく、いわゆる西域の危険は略奪の無法地帯のよう。その中で、完全に蒙古人になりきった著者の語学力もさることながら、人々に愛され、守られる人間性を感じる。蒙古族、タングート族の生活ぶりの詳細な描写が貴重だが、これが日本政府、そしてGHQにとっての重要な情報だったということに、戦争に関する情報の重要性を痛感する。蒙古族が今では覇気のない平和な民族で、戦闘的な気概に満ちたタングート族との対比が興味深かった。西寧の街、タール寺、そして青海湖の記述は私自身の2017年の西蔵鉄道の旅が懐かしく思い出す!今は鉄道があるが、この当時は馬、ラクダ、ヤクなどによる移動だった!

  • 西川一三は戦前の情報部員である。チベットに巡礼に行くモンゴル僧「ロブサン・サンボー」(チベット語で「美しい心」)を名乗り、チベット・ブータン・ネパール・インドなど西域秘境の地図を作成し地誌を調べ上げた。その活動はなんと敗戦後の1949年まで続いた(敗戦は1945年)。帰国後、直ちに外務省に報告をするべく訪ねたが、全く相手にされなかったという。直後にGHQから出頭せよとの命令があり、西川の情報を引き出すべく1年にも及ぶ取り調べが行われた。
    https://sessendo.blogspot.com/2018/08/blog-post_4.html

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