エコロジー的思考のすすめ: 思考の技術 (中公文庫 た 20-3)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122017641

作品紹介・あらすじ

いまや環境問題はサミットの議題となるほど深刻化しているが、状況の悪化を防ぐには泥縄式の対策を積み重ねるのではなく、本当に文明のベクトルを変えねばならない。そのためにはエコロジカルな思考が万人の常識となる必要があるのだ。

感想・レビュー・書評

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  • もっと難解な本だと思っていたが、とても読みやすく、示唆に富む本だった。超アタリ

  • 以前読んだ立花隆氏の本を折に触れて読み返しており、本書もその1冊。

    オリジナルの出版は1971年、この文庫版の出版は1990年であるから、文庫版の出版からも既に30年以上経過している。

    にもかかわらず、内容は全く古くない。本書で立花氏が指摘し、継承を鳴らしていたことは近年、ますます深刻になっている。現在でも読む価値が十分にある書である。

    ところで、本書を読んで思ったのは、立花氏の言う「エコロジー的思考」と、今話題の斎藤幸平氏の「人新世の資本論」は、内容的には異なっているが、根本的な考え方には共通するところが多いことである。ただし、マルクスに対する見方は異なっている。

    「人類の自然への対し方を見ていると、人間の価値体系を自然全体に押しつけようとし、まだ“清濁あわせ呑む“ことを学んでいないようだ」というのは、どうやらここ2年ほどの騒動を見てもその通りだと思う。

  • 地球全体における人類の位置づけについて考えさせられる。
    リソースは有限であり、一時的な過剰摂取は、後々の不足を引き起こす。循環を考慮することが大切
    初版は1990年と古いが、30年たった今でも十分に通じるということは、環境は長い目でみる必要がある。よくなるも悪くなるかの傾きが大事

  • 生態学の視点で物事を捉えることで複雑化する現代社会の問題に対する解決策を考えるヒントを得ることができるのではないか。驚いたのは1971年30歳の著者の処女作であること。知の巨人と言われる片鱗が垣間見れた。

  • p20 シュールレアリスム
    p208 不純物

  • 結果に至るまでには必ず原因があるといった事を学問とした生態学を解りやすく解説した内容。それをもとに現在の状況が引き起こすだろう未来の環境破壊を切々と説いたもの。

    まるでインクレディブルマシーン。

  • ■生態学の教え

    A.複雑でチャネルの多い自然のシステムに比べて、人工システムは単純である。それゆえ、どこかに狂いが生じると、故障したチャネルの機能を他のチャネルがすぐに引き継ぐことができず、システム全体が破壊される。

    B.生物は、その時、そのところでの環境に最も適応したものが栄えるが、ある生物が繁栄すると、その生物の繁栄自体が別の環境を作り出し、別の生物が繁栄しやすくなる。こうして繁栄する生物が移り変わる現象を「遷移」という。

    C.人間は、人間に害を与える生物を「害虫」と呼び、撲滅の対象とするが、害虫からすれば、人間こそ「害獣」となる。このように、自然界における善悪は相対的である。

  • 様々なデータをもとにエコロジー論を展開。
    科学をベースにしつつ、人間社会の在り方を論理的に提示するというアプローチは、さすが。

  • 生態学的視点による人間文明の見直し
    ■1971年に日本経済新聞社にて出版されたのが一番最初であり
     1990年に中公文庫にて改題、一部補足的加筆が加えられ版を重ねている。

    ■著書の他の作品に比べて専門用語が少なく分りやすく感じるのは、ミクロにも話が及びやすい個別題材と異なり、生態学というマクロの全体的視野に基づく全体の関係性による分野が題材となっているためであると思われる。

    ■自然のエコシステムの複雑な関係性の視点を、人間の社会、経済のシステムを分析するためのベースにおき、はや1970年からアンバランスになっている人間文明
     について警鐘を鳴らしている。後の文明の逆説、宇宙からの帰還、そのほかの作品にもつながりが感じられ、かつ時代をへても色あせない作品だと感じる。

  • ちょっと昔の本であるが、震災で津波や原発が大変なこの時期に読むのに意味のある内容だった。人間は自然に対し驕り高ぶってはいけないということがよく理解できる。
    本としてもエコロジー思考を軸に、環境問題を大局的につかむ内容から入って、人間の社会システムの有り様にまで言及していて読みやすかった。

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著者プロフィール

評論家、ジャーナリスト、立教大学21世紀社会デザイン研究科特任教授

「2012年 『「こころ」とのつきあい方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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