失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)

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  • 中央公論社 (1991年8月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122018334

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失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)の感想・レビュー・書評

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  • さすがに読むのに時間がかかった。
    読んだといっても字面を追うのが精一杯だった感じ。要再読です。
    内容はすごいです。大東亜戦争における日本軍の組織的・戦略的な問題点を見事に分析・指摘しています。で、この指摘事項がそのまま現在の日本の政治や官公庁、はたまた企業の問題点に当てはまってしまっている。日本人の特質なのか、問題点が指摘されているにもかかわらず変わっていない。変えられないのかな。
    「戦略上の失敗要因分析」として、
    ・あいまいな戦略目的(両論併記的折衷案の連発)
    ・短期決戦の戦略志向(長期的展望の欠如)
    ・主観的で「帰納的」な戦略策定(楽観論、精神論の横行)
    ・狭くて進化のない戦略オプション(成功体験への依存)
    ・アンバランスな戦闘技術体系(オタク的な技術論,1点豪華主義,攻撃力だけで防御力を顧みない)
    の5点を、
    「組織上の失敗要因分析」として、
    ・人的ネットワーク偏重の組織構造(馴れ合い体質,情緒的)
    ・属人的な組織の統合(法的権限ではなく人間関係で動く,暗黙知,心内の汲み取りを期待する)
    ・学習を軽視した組織(同じ失敗を繰り返す,成功体験を頑なに引きずってしまう)
    ・プロセスや動機を重視した評価(結果よりも熱意を重視,無謀な作戦に異を唱えれば更迭)
    の4点が挙げられている。
    学習論とかにも触れられており、内容は濃ゆい。日本のサラリーマン、しかも中堅ところより上の人は一度読むことをお勧めしますよ、この本は。
    もともとTLで紹介されていて、気には留めていたのですが、「永遠の0」を読んで即購入決定。永遠の0で太平洋戦争のことに少し興味が涌いたので。これを機に永遠の0も再読だな。
    わが社も指摘された日本軍の組織的問題点と同じものを抱えている気がする。
    じぶん自身も考え方が古く、思考が硬直していると最近特に思う。成功体験に縛られているというか、あきらめに似た失敗への恐れで、新しいアイデアが出ていないよなあ。
    ちなみに単行本刊行は1984年。実に28年前。

  • うーん、みんなの感想が判で押したように「今も全く変わってない、何も進歩していない」とあるけど、本当の失敗の本質はこの「わかっちゃいるけど、変えられない」気質のところにあるんじゃないかと。ここで書かれる日本軍の失敗例は参考にはなるけど、じゃあなぜそれを自分の所属している組織で実践できないのか?空気に逆らい客観的な判断をしようとしても、なぜ当事者になったときに阿諛追従な態度しか取れないのだろうか?それは個人的性格や環境に左右されるものなのか?そうした部分まで踏み込まない限り、これからも失敗し続けるよ、きっとね。

  • 大変面白く読ませてもらいました。
    ミッドウェー、ガダルカナル、インパールなど名前だけは、知っていましたが、日本軍がどう戦って、なぜ敗れたのか知らなかった私にとって非常にいい機会となりました。
    その上で日本軍および軍の統率者たちが気付かずしてやらかしてしまった失敗を見るにつけ、現代の政治や官僚機構における政にも、似たり寄ったりな政策や振る舞いがダブって見えてくる気がするのは、気のせいではないんでしょうねぇ~
    失敗の本質を知って、日本人の気質というか体質と云うかがよく分かった気がします。
    昨今、新たな戦争が幕を開けるやもしれぬこの状況で、どうすれば同じ轍を踏まずに済むのか、、、
    先の大戦に負けた理由、原因があまりにも日本人らしくてほんと心配になっちゃいました。

  • 太平洋戦争で歴史的な大敗を喫した日本。
    その敗北の原因を組織的、社会的に分析し、なぜあのような敗戦を招いたのかを研究した本。

    非常におもしろい。

    本書は太平洋戦争の敗北においてキーポイントとなった複数の戦い(ノモンハン事件、ガダルカナル作戦、沖縄戦等)を例に挙げ、それぞれの敗北の理由を分析する1章、それぞれの敗北に見られる共通点を取り上げ、失敗の本質を分析した2章、これらから得られる学びをまとめた3章で構成されている。

    敗北の要因は複数挙げられているが、特に
    ・過去の成功例(=日露戦争等)にとらわれて組織が最適化され、環境の変化に適応できなかったこと
    ・(その結果として)戦略が現実離れし、戦略の不備を現場の戦術、ひいては精神論に求めたこと

    などは興味深い視点である。

    漫画や小説などの作品では、現場で英雄的な活躍をするヒーロー(ガンダムで言うところのアムロ・レイ)に焦点を当てられることが多い。
    しかし本来、現場の活躍=戦術をもって、その上位概念である戦略(ひいては兵站)の不備をカバーするといった組織運用自体に歪みがあり、そこに過度な期待を持つことは好ましいことではない。
    (無論、彼らの功績は当然讃えられるものであるが)

    ひいてはそこを精神論でカバーするような体質がまかり通ることが問題であろう。


    本の最後では、これらの日本軍の体質と現代社会(特に産業界)の対比が行われている。
    著者いわく、本書出版の頃の日本(=1984年)はまさに戦前の日本軍の体質と共通項が多く、環境の急激な変化に対応しきれない土壌が培われているとのこと。
    著者の予言通り、現代日本が産業面で新興国の急激な成長に脅かされているのは興味深い。


    何らかの形で組織を運用し、人の上に立つ立場の人たちには非常に学びの多い一冊である。

    ただしこのような分析的な視点とは別に、やはり現場レベルでの太平洋戦争の悲惨さを学ぶこともまた非常に重要なことと思う。
    ガダルカナル島や沖縄での地獄絵図はよく知られた通りで、その凄惨さを学ぶこともまた、後世に伝える上で大切なことだろう。

  • 日本軍が戦ってきた6個の戦争で何故負けたのか分析し、それをビジネスにも生かしてほしい主旨の書だと思う。戦略のミスは戦術では取り返せない、コンティンジェンシープラン(不測の事態に備えた計画)をたてよ、リーダーの考えがメンバーに伝わっていないと戦は負ける、戦略や作戦目的即ちビジョンを明確にせよ、合理性、効率性を追求せよ、等ビジネスと全く同じだ。目的を決めて戦略を立て軌道修正していく。これを実行していきたい。

  • ようやく読んだ。古典となるべき良書で、局所的な実例を汎化し、最後には日本の政治組織や日本的経営までスコープが広げられる、漏れのない骨の太い内容だった。
    帰納的な戦略策定を得意とするオペレーション志向な日本的組織文化が、今は弱みとなっていて、それに対する直接的な解が用意されているかといえばそうではなく、後半に差し掛かってからはその結論が想像できて暗澹たる気持ちにはなった。ただ、最後にはその特徴を正しく理解して自分たちで解を見つけていくしかないんだと、前向きな気持ちにさせてくれた。
    今の僕は、目の前の組織を、日本的な組織文化を尊重しつつ、自律性を確保できる柔構造を内包した形態に変化させたいと、やっぱり切に願う次第である。

  • 結果論ではある。しかし日本は未だに太平洋戦争の敗戦を『終戦』などとのたまわり、その敗北を認めようとしない。そこから学ばない限り、この国はずっと負け続けているのである。敗者の美学に惹かれるものはあるが、あの大戦が歴史になりつつある今こそ、感情に呑まれず冷静な視点でこの国の敗北を受け止めるべきだと思う。

  • 日本軍はなぜ戦争に負けたか。真偽はともかく、刺激を受けた考察だった。

    ビジネス本の棚を見るたびに、成功談が多すぎると思う。「ああしたらうまくいった」「こうしたらうまくいった」。成功談は確かに面白い。

    一方で言う。「失敗は成功の母」であると。

    失敗ばかりしていても人生がうまくいくわけではない。しかしながら、失敗から学ばないことは大きな損失となりうる。失敗談は成功談を超えるインパクトを時として含むものだ。私はそう思う。

    成功した組織の話は世の中にあふれている。逆に、失敗した組織の話は数多くない。日本軍は高度に洗練された組織であった。しかし、(結果論かも知れないが)多くの失敗を犯した。それはなぜだったのだろうか。

    極めて重大な“組織的な”失敗談。そういう意味で貴重な一冊かと思う。

  • この20~30年間の日本社会の落ち込みを予想していたような論表であるが、今必要とされるのは、逆にこの20~30年間の駄目さ加減を分析・検証することではないか?

  • 1984年に発行されたものだが、現在の戦略論にも十分に通じる。
    高校の同級生で防衛大を経て陸上自衛隊一佐に昇進した友人も勿論読んでいることだろう。
    最終章の最終節から引用すると
    「日本軍の最大の失敗の本質は、特定の戦略原型に徹底的に適応しすぎて学習棄却ができず自己革新能力を失ってしまったこと」
    末尾の2文では
    「日本軍同様、過去の成功体験が上部構造に固定化し、学習機能ができにくい組織になりつつあるのではないだろうか。
    日本的企業組織も、新たな環境組織に対応するために、自己革新能力を創造できるかどうかが問われているのである。」
    と記されている。
    やはりわが国(と)企業は過去の成功体験を捨て去り、自己革新が必要なのだと痛感。

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