寂聴般若心経: 生きるとは (中公文庫 せ 1-6)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122018433

作品紹介・あらすじ

「愛すれば執す、執すれば着す」。執着を捨て、解き放たれた、自由な心になったとき、人は輝くように美しくなる。-仏の教えを266文字に疑縮した「般若心経」の真髄を、自らの半生と重ね合わせて説き明かし、生きてゆく心の拠りどころをやさしく語りかける、現代最良の仏教入門。

感想・レビュー・書評

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  • 寂聴さんが「寂庵」で毎月欠かさず開催していらっしゃった法話を一冊に纏めた名著で、300字未満の般若心経を一区切りずつ丁寧にご解説くださる。
    各回、導入も大変興味深くて、老若男女・造詣の深さや信仰心の篤さを問わず法話に引き込む話術は流石の一言。
    それは煩悩に突き動かされて生きた、彼女の知られ過ぎた半生があったからで、仏と衆生の中立をここまで実現されたご住職にもなかなか出逢えないものでしょう。

    煩悩が無ければこの世は発展し得なかった、と説く。
    何度も登場する「渇愛」と言う言葉も諸悪の根源の様に思われる一方で、確かにつくづく魅力的な二文字だもの…

    一行目から引き込まれてしまって、ページを捲る手の止まらない事、止まらない事。
    仏教の成立は何とスリリングで、仏の教えは何と哲学的か、と思う。
    寂聴さん、一度お目にかかりたかった。
    寂庵に伺いたくて何度か出していた往復はがきも、新型コロナウィルスの影響や寂聴さんの体調不良で宙に浮いたまんまなのだ。
     
     
     
    思い立って真夜中、久々に墨を磨る。
    年末にお寺で写経も良いなぁ…今年の穢れは今年の内に!

  • 先日、寂となった寂聴さん。
    般若心経も日々唱えているので、心にスッと入ってきた。留めたい言葉達、
    人間が幸福になるとは結局のところ、自由になることで、何事も怖れなくなることです。仏教は人間の幸福を、自由自在な心を得ることに求めます。いいかえれば悟りとは、この自在の心を体得することではないでしょうか。
    人の死に際して、死者にも、死者を送る者にも、改めて人間の生き方を教えるという意味があります。
    死ぬことを往生するといいますが、往きて生れるということ、あの世に往って生まれ変わることで、魂は永遠だという思想です。

    往け、往け、彼の岸へ。いざともに渡らん、幸いなるかな。

    まだまだ見つめて想うことは深い。

  • 著者が京都嵯峨野の寂庵でおこなった、『般若心経』についての法話をまとめた本です。

    『般若心経』の解説書や仏教入門ではなく、あくまで著者の法話として読むべき内容だと感じました。机に向かって勉強するという姿勢で臨むのではなく、著者の気のおけない話に耳を傾けているような気持ちになって読むというのが、おそらくただしいのではないでしょうか。

  • 2013.03.24 借りる。読書開始。

  • 瀬戸内寂聴の個性が強く出るけど、般若心経の解説としてはとても丁寧でわかりやすいと思う。お経の内容の流れが理解できると暗記が良く進みます。

  • 般若心経をめちゃめちゃわかりやすく解説してある。
    とはいえ、自分で説明しろと言われたらやっぱり忘れてるので、紙に自分なりのまとめを書きながらもう一回読みたい。

    瀬戸内寂聴の講話が間に挟まってて、それもまたおもしろい。

    最後に、講話を除いて、般若心経の解説をサマってあるけど、これではやっぱりわかりづらい。

  • 解りやすい般若心経入門。
    というか、般若心経をベースにした寂聴法話。
    般若心経の解釈については、もうすこし踏み込んだところが聴きたかったけど、法話である以上、それは望むべくもない。
    岩波文庫の般若心経と合せて読むとまたいろいろ自分なりに考えることが出来て、良いと思った。

  • 仏教って、人間って、この世って、素晴らしい!
    ……と思える素敵な本。

    般若心経の解説がわかりやすいこともさることながら、解説の前に添えられるエピソードがとてもいい。

    釈迦が食中毒にあたって苦しんでいる(その後死ぬ)ときの話。
    食中毒の原因になった食べ物を食わせた鍛冶屋のチュンダに気を遣って言った言葉。「今まで人に食べさせてもらった食事の中で、チュンダの食事が最も尊いものだった」

    そしてついに死んでしまう直前。
    この世に生まれることは苦である、と説いていた釈迦の最期の言葉。
    「この世は美しい、人間の生命はなんと甘美なものだろう」

    あるいは博多の仙崖さんという偉いお坊さんが弟子に言った最期の言葉。
    「死にたくない」
    弟子は、もうちょっといいこと言ってくれよ……と困って聞き直した。すると「死にたくない。どうしても、どうしても死にたくない」

    また、著者が中国のとある観光地のフォトスポット(写真撮影1回80円)で撮影する前に3回分ぼられたという話。著者は怒って結局1枚も撮らずに帰ってしまった。数年後に再び訪れるとそこは撮影禁止になっていて、当時の自分の短気を後悔する。

    修行を積んだ偉いお坊さんたちも人間らしく生きているんだと思ったら、なんかこちらが楽になる。リラックスリラックス。五蘊皆空。色即是空。心無罣礙。羯諦羯諦。

  • とらわれないこと。執着を捨てること。 そうすればなんでもできる。

    よく外人にあなたの宗教はと聞かれたらとりあえずBuddistと答えればいいと言うが、現代の日本人でそう言える資格がある人ってどれだけだろう。
    僕はそういえるように般若心経を覚えることにするよ。

    まぁ、般若心経POPから入った僕ですが。
    今二十代の僕はこれを読んで、とんがったところの無い若者を突き進みそうだ。そうじゃないんだけどな。そうじゃなくて、もっと自分だけで切り開かなきゃいけないんだよな。
    変な執着なく、回りの目を気にするばかりでなく、生きていく。
    羯諦

  • お釈迦様も私と同じ人間で、たくさんえらいことをしてきたのに、食中毒で苦しんで死んだ・・・。このことは衝撃的だった。
    これが人生だと寂聴はいう。いいことをしたから、いい死に方をするなんて、そういうもんじゃない。身を持って、人生とはこういうものだと教えってくださった、と。すごく納得した。
    観音様はその時に応じた姿で我々を助けてくれることを知った。ということは、藤井先生は観音様だったんだなあと思った。先生だけではなく、夫も父母も、兄弟も、看護師さんも友人も、観音様が姿をかえて私を助けてくれているのだろうか。
    そして、お釈迦様がお亡くなりになるときに弟子に言った言葉がとても印象深く、教訓として心に残った。
    信じるは自分と法。そのために自分を磨くようにおっしゃったのだ。周りに惑わされることなく、信じられる自分になる。そのために信仰が自分の助けになるのだ。
    何度も読み返したい。

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著者プロフィール

1922年、徳島県生まれ。東京女子大学卒業。63年『夏の終り』で女流文学賞、92年『花に問え』で谷崎純一郎賞、11年『風景』で泉鏡花賞を受賞。2006年、文化勲章を受章。2021年11月、逝去。

「2022年 『瀬戸内寂聴 初期自選エッセイ 美麗ケース入りセット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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