TUGUMI(つぐみ) (中公文庫)

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著者 : 吉本ばなな
  • 中央公論社 (1992年3月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122018839

TUGUMI(つぐみ) (中公文庫)の感想・レビュー・書評

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  • きらめく美しい海と
    胸の奥を満たす潮の香り。

    旅館の居間で飲む薄めのカルピスと
    扇風機の生ぬるい風。


    切なさの塊のような文体で綴られる、
    生意気な少女と過ごした
    海の見える旅館での
    忘れることのできない
    一瞬のきらめき。


    夏と言えば
    真っ先に思い出すのが
    大好きなこの作品です。


    まずなんと言っても
    病弱で生意気な少女つぐみの
    傍若無人でいて純粋無垢なキャラが
    とにかく魅力的で心惹かれるのです。


    コレあまり知られてないけど
    映画版で牧瀬里穂が
    つぐみを演じていて、
    これが妙に合ってたんですよね〜


    主人公の白河まりあが語る、
    つぐみという
    いとこの少女と過ごした
    山本旅館でのひと夏の思い出。

    ただそれだけの話なのに
    どうしてこれほど
    記憶に残って
    いつまでも光を放ち続けるんだろう。


    意地悪で口が悪く、
    わがままで甘ったれで
    ずる賢いつぐみ。

    病弱なつぐみが
    いつも
    イライラを抱えてるのは
    いつか来る死の不安が常にあるから。

    そして人に理解されてしまわないよう
    わざと汚く振る舞う
    つぐみの
    いじらしいこと。


    まりあとつぐみが仲良くなるきっかけとなった
    お化けのポスト事件、

    犬のポチとつぐみの見えない絆、

    恭一とつぐみの淡い恋模様、

    いつも穏やかで涙もろい
    つぐみの姉の陽子ちゃんの清らかな魂。

    眠れなくてパジャマのまま
    あてもなく歩く
    夜のピクニック。

    花火を見上げながら食べるスイカ。


    ばななさんが
    この作品に込めたものは、

    いつか消えて無くなってしまうモノへの郷愁。


    そしていつも
    ばななさんの小説に共通するのは、

    避けがたいけれど
    決して不幸ではない
    自然な別離の大切さと

    儚く散ってしまったモノが
    きらめいた軌跡を
    絶対に忘れないでいようという
    強い意志なんですよね。


    人はみな
    守り守られて生きている。

    だけど二度と戻れなくなってからじゃないと
    その中で守られていたことにすら気がつかない…

    一度そこから飛び出してしまわないと
    その温もりには
    絶対に気付かない…


    だからこそ
    人には別れが必要だし、
    人はいつか
    暖かい場所を離れ
    旅立っていくんだと思う。


    命の危機にさらされたつぐみが
    初めて自分の心情を綴った、
    まりあに最後に送った手紙。


    切なさと希望が入り混じったラストも
    本当に素晴らしい、
    記憶に残る小説です。

  •  とてもよかった! 読み進めていると、つぐみの行いや口の悪さがとても愛おしく思えてくるんです。きっとつぐみの周りにいる人たちもこんな気持ちなのかなあと思いながら読みました。

  • よしもとばななさんの文章って凄く独特なのにさらりと読めるんだよなあ。
    すごくそれが不思議。
    この本もそう、風景とか空気がすごく伝わってくる。

    つぐみが凄く嫌な子で、好きになれなくて、でも読み続けられた。
    魅力のある本だ。

  • 人は本音を言えることが、いいことなのか。
    弱音をはかず、弱いところをみせないほうがいいのかもしれない。そんなことを感じる。
    従兄弟という極めて微妙な距離感だからこそ、心を許せるのか。
    従兄弟がいない自分にはわからないけど、人との距離は近いに越したことがないとは思えない。
    それぞれに合った距離があり、それが一致した時にお互いのことをよく理解してくれるかけがえのない関係が築けるのかもしれない。
    そんな人との距離感に悩んだ時に心休まる本だと思う。

  • こういう、正解とかテーマとか何にもない、ただある人々に起こっているかもしれないドラマが描かれた小説もいいなー。
    ただの喜怒哀楽では説明できない、あるワンシーンのその人物なりの表情や動作が繊細に書かれていて、ちょっとじーんとしたり、うわぁ、この書き方好き!てなったりする本でした。

    つぐみの強烈なキャラが面白くて、全然重そうでも難しくもなく、綺麗な海辺の長閑な時間の中でどんどん過ぎていく日々。さらさら読めて、後味も良く、人の心の機微に触れられる気がする。夏にオススメの一冊です。

  • 今更ながら、この本に出合えて良かったと思う。海に出かけたくなった。つぐみは自分の知り合いなんじゃないかってくらい、入り込んだし、4人が言葉にしなくてもお互いを必要としている感覚が素敵だなぁと思った。どの話も好きだけど、最後病院と東京で電話していて、病院側の電話に代わる代わる人が集まってくる場面が好きだった。東京に帰るまりあに対して、皆と離れて残念と思っていたけど、つぐみも言ったように、何かを得るために何かを失う、だったり、別々の場所でもちゃんと繋がってるんだと感じて、読んだあとじんわり温かくなった本。

  • やっぱりあと書きの「つぐみは私です」には、ぎょっとしました。
    つぐみは死んでしまうと思いながら読み進めていたので、生きていたかと(悪く言えば)拍子抜けしてしまった。手紙の署名「TUGUMI・Y」は昭和のかっこよさが21世紀には少し臭いなと笑った。こういう臭さは、吉本ばななの本にはよく感じる。数年前の自分の失態を思い出した時の恥ずかしさに似ている。だからとてもむずむずして、よく印象に残ってしまって、やっぱりしばらくはむずむずしている。一種のネタか御家芸みたいに思っている。
    あらゆる海の感触とか、私の体験は昔すぎてすっかり覚えていないので、近い内に(せめて)浜に行きたい。砂の感触しか覚えていないし、それがグラウンドなのか庭なのか砂浜だったのかもさっぱりだ。もしかしたら、間違えて弟に履かれた砂まみれの靴下かもしれないし。
    とにかく、次は「うたかた/サンクチュアリ」を読みます。

  • 私の愛読書。

    私の理想の美少女は、実はつぐみだったりする。
    キッチンに並び、TUGUMIは私の精神安定剤。

  • つぐみが魅力的過ぎる。

  •  正直、本の装丁の雰囲気とか、ばななってペンネームとか、何となく食わず嫌いしていたんですよね。

     どうもすいませんでした。

     登場人物の細かな心の動きや、情景が繊細に描かれていて、実によかったのです。高校時代に読んでおけばよかったです。

     主人公のまりあが昔暮らした海辺の街に東京から最後に帰省したときの物語。

     従姉妹のつぐみは、病弱でいつまで生きられるかと心配されたために、甘やかされとことん我が侭に育ち、家族は振り回されている。まりあも我が侭に付き合わされた一人だが、お化けポストでの事件から、親友となる……。

     まりあ、つぐみ、陽子の3人が織りなす人間関係。
     つぐみの性格に辟易しながらも、どこか常人離れした魅力に取りつかれるまりあ。傲慢で自己中で手の付けられないところがありながら、どこか繊細で儚げな美しさも持ち合わせている。

     主人公まりあの心情や港町の情景が繊細に書かれていて、一気に読み進めてしまいました。

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TUGUMI(つぐみ) (中公文庫)の作品紹介

病弱で生意気な美少女つぐみ。彼女と育った海辺の小さな町へ帰省した夏、まだ淡い夜のはじまりに、つぐみと私は、ふるさとの最後のひと夏をともにする少年に出会った―。少女から大人へと移りゆく季節の、二度とかえらないきらめきを描く、切なく透明な物語。第2回山本周五郎賞受賞。

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