TUGUMI(つぐみ) (中公文庫 よ 25-1)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122018839

感想・レビュー・書評

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  • つぐみが最高にかわいい。友達になりたい。情景描写が素敵で,宝物のようなキラキラした青春って感じがした。

  • 思春期のひと夏を覗き込んでいる感覚。
    潮の匂いがする。

  • あなたがどうしても嫌いなのに
    見下しているのに
    怖くて
    思ってもないことが口から走る

    あなたはとてもかわいそうな人だ
    わたしはもっと曲がって粗末な人だ

    寂しいことを言うな
    見放すもんか

    それでも去ってくれ、一度も現れてくれるな、
    友よ

  • 面白い小説だった。吉本ばななさん好きだな。
    自分が生まれる前の作品と知り驚き。そんな前の作品を手に取り出会えたことに感謝。

  • 優しくて、暖かくて、今にも潮のにおいがしてきそうな話だった。吉本ばななさんの本は、以前に「キッチン」を読んだきりで2作目だった。「キッチン」はあまり私好みの本では無かったため、印象が薄かった。
    だが、「TSUGUMI」では吉本ばななさんが書く文章の柔らかさ、繊細さ、緻密さがしっかりと伝わってきた。
    病弱な美少女が海がある街で恋をする。ありふれた設定でありふれた結末が想像できるが、この本を簡潔に表すとこうなるだろう。だが、つぐみは決して病弱ではないことを忘れてはいけない。
    つぐみは、身体的に弱いことには変わりはないが、心はまりあよりも陽子ちゃんよりも恭一よりも強かった。口はとんでもなく悪いし、捻くれた考えをする。初めは、よくこんなめちゃくちゃな物言いをする子を周りは受け入れるな、と思ったが、つぐみはこうでしか自分を表せないし、私たちが普通に泣いたり怒ったり我慢したりすることと、つぐみの暴言は同じなのだと思った。
    この本は恋愛小説ではないなと思う。恭一との出会いは驚くほどあっさりとしているし、恭一とどこで何をしたかなんてほとんど書かれていない。こういうところがこの本を面白くさせているのだろうと思った。

  • ちょうど夏に読めてよかった。
    内容を全く知らなかったのでこの偶然はラッキー。

    話の内容ももちろん楽しみなのだが、吉本ばななさんを読むときは素敵な文章に出会いたくて読んでいる気がする。今回もたくさんあった。

    『空にはいくつかの星がまたたきはじめ、空気は幾枚もの青い布を刻一刻と重ねていった。』
    とか、
    『恭一はちょっと見どころがありますが、恋愛はバトルですから、最後まで弱みを見せてはなりません。』
    とか。

    あと登場人物好きになれるから好き。

  • 吉本さんの小説は、出てくるキャラクターの解像度がいつも高くて好き。
    ツグミは物心ついた頃からずっと体が弱く、そのことで誰かの助けを借りたり、周りの子供達とは違う扱いをされてきたんだと思う。傲慢でいじわるな女の子でいたのは、そこで自分なりに均衡を保っていたんじゃないかなと。繊細な心を隠すようにがさつに見せかけてきたんだと思う。そういう人間の心の一筋縄ではいかない矛盾さを描くのが本当に上手いなと思う。つぐみとまりあはそういう矛盾さもひっくるめて全て理解し合っている感じがしてとても良い関係だなと思った。

    ラスト遺言で締めるというのが粋。ツグミが生きてて本当によかった。

    夏ってなんでこんなにも死の匂いを感じるんだろって思う。この小説も、ふっと何もかも簡単に消えちゃいそうな夏の儚さがぷんぷんして、とても良い。夏の切なさって心に染みる、、。

  • 2023/08/19読了
    2日に分けて読み終わった。夏休みのなかほどのこと。
    一度、ほんとうに昔に読んだことがあり、病院の公衆電話で電話をしているシーンだけをおぼえていた。だから母から借りたとき「夏に読みたくなるよね」と言われ、適当に相槌を打ちながら、そうだったっけ、と思っていた。

    思っていたより夏の話だった。夏の、わかい人たちの話で、人の悪意ももちろん登場するけれど、それらも柔らかく適度な距離で書かれていて、この小説全体を包む雰囲気そのものを不思議に思った。それが夏とか海とか、「なにもなさ」が生むものなのかもしれない。

  • 吉本ばななさんの小説をきちんと読むのは実は初めて。
    読み始めて最初に思ったのが、文章が美しい!ということ。風景やそこに宿る感情みたいなものの描写の仕方がすごく好きで。
    お気に入りのフレーズをメモしだすと、全て書くことになるんじゃないかというくらい。

    さて。ストーリーはというと。
    つぐみが、そしてまりあも、成長して、新しい自分を生きていくという決意や感覚をつかむところ、しびれました。
    とても読みやすいのですが、私は、結構心の中えぐられました。
    海の潮の匂いがしてくるような、心地いいような、ザラザラしたような、そんな感覚の小説でした。

  • 吉本ばななと河合隼雄の対談を読んで、読みたくなった本のひとつ。
    一気に読んでしまったけど、一気に読むのがもったいない感じのする、優しくて丁寧なお話だった。
    主人公はあんなに口が悪いのに…あらすじだけ考えると全然明るい話じゃないはずなのに…、柔らかくてほのかに明るい雰囲気が出ているのが不思議。
    また、じっくり読み直したい。

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著者プロフィール

1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年『キッチン』で第6回海燕新人文学賞を受賞しデビュー。88年『ムーンライト・シャドウ』で第16回泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞、95年『アムリタ』で第5回紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞(安野光雅・選)、2022年『ミトンとふびん』で第58回谷崎潤一郎賞を受賞。著作は30か国以上で翻訳出版されており、イタリアで93年スカンノ賞、96年フェンディッシメ文学賞<Under35>、99年マスケラダルジェント賞、2011年カプリ賞を受賞している。近著に『吹上奇譚 第四話 ミモザ』がある。noteにて配信中のメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」をまとめた文庫本も発売中。

「2023年 『はーばーらいと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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