TUGUMI(つぐみ) (中公文庫 よ 25-1)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122018839

感想・レビュー・書評

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  • あなたは、『1日1回くらいはむかっと腹立つことがある』でしょうか?

    この世に生きている人間は自分だけ…という状況があったなら、腹が立つということ自体ないのではないか?そんな風にも思います。結局のところ、人は他者とのコミュニケーションにおいて腹が立つという感情に苛まれるのではないかと思います。とは言え、そんなことを言ったって、この世を一人で生きていくことなどできはしません。私たちは、腹が立つという感情と共存しながら、それでも人と人のコミュニケーションの中に生きていく他ないのだと思います。

    しかし、数多の腹が立つという感情もそれ以上の経験があったなら、全てはそれ以下と見做してしまうこともできそうです。腹が立つこと自体変わりはないにも関わらず相対的にその感情が抑えられてしまう。とは言えそのためには相当に強烈な比較対象が必要になってくると思います。

    さてここに、『つぐみに比べたらこのくらい』という思いの先に、腹が立つという感情をやり過ごしていく一人の女性が主人公となる物語があります。『つぐみのせい、いや、おかげだわ』と感謝もする女性を描くこの作品。そんな女性が あの夏の記憶を振り返るこの作品。そしてそれは、『確かにつぐみは、いやな女の子だった』という記憶の中に青春の日々を重ねる物語です。

    『漁業と観光で静かに回る故郷の町を離れて、私は東京の大学へ進学した』というのは主人公の白河まりあ。友人たちに『口をそろえて「寛大ね」とか「冷静だ」とか言』われる まりあは『つぐみのせい、いや、おかげだわ』と思います。『人はだれも、1日1回くらいはむかっと腹立つことがある』という中に、『私はいつも、いつの間にか心の奥底で「つぐみに比べたらこのくらい」とまるで念仏のように唱えていることに気づ』きます。そんな まりあは『少女時代をすごした海辺の町に最後の帰省をした』夏を思い出します。『登場する山本屋旅館の人々は、今はもう別の土地に引っ越してしまい、多分2度と私はあの人たちと共に生活することはない』という まりあは『私の心のかえるところは、あの頃 つぐみのいた日々のうちだけに、ある』と思います。
    『私と母は、つぐみの家である山本屋旅館の離れに2人で住んでいた』という幼き日々。『私の父親は東京で、長く別居していた妻との離婚を成立させて私の母と正式に結婚するために苦労して』いました。『妹である政子おばさんの嫁ぎ先』である『山本家』には、『旅館を経営する正おじさんと、政子おばさん、そして2人の娘である つぐみと、その姉の陽子ちゃんの4人』が暮らしています。『生まれた時から体がむちゃくちゃ弱くて、あちこちの機能がこわれていた』という娘の つぐみに対して、『医者は短命宣言をしたし、家族も覚悟』しています。そんな中に『まわり中が彼女をちやほやと甘やかし』たことで、『彼女は思い切り開き直った性格になってしま』いました。『意地悪で粗野で口が悪く、わがままで甘ったれでずる賢い』という つぐみ。そんな『つぐみのものすごい人柄の被害を受けた人ベスト3は、政子おばさん、陽子ちゃん、私の順と思』う まりあは一方で、『あの凄まじい意地悪と毒舌にさえ耐えれば、つぐみと遊ぶのは面白かった』という幼き日を過ごしました。『小学校低学年の頃「お化けポストごっこ」という遊びをやったいた』つぐみと まりあ。それは、山のふもとの小学校の裏庭に百葉箱の残骸があり、そこが霊界とつながっていてあっちからの手紙が入っている、という設定』の中、『昼間のうちにそこへ行って雑誌から切り抜いたこわい写真やお話の記事を入れておき、真夜中に2人で取りにい』った つぐみと まりあ。やがて『そんな遊び』も忘れて中学生となりバスケ部に入った まりあは『練習がきつくてあまり つぐみをかまわなくなっ』てしまいます。そんなある雨の日の夜、『おい!目を覚ませ。大変なんだぞ、これを見ろよ』と急に訪れた つぐみは『1枚の紙を取り出し』ます。そこには、『力のこもった行書体の、それはまぎれもなくなつかしい祖父の筆跡』がありました。『いつも私にあてる手紙と同じ書き出しで、「私の宝物 まりあへ さようなら。おばあちゃん、お父さん、お母さんを大切に。聖母の名に恥じぬ立派な女性になっていって下さい。龍造」』と書いてあるその手紙。『どうしたの、これ』と『すごい勢いで』たずねる まりあに『信じるか?これはな、「お化けポスト」にあったんだ』と、『つぐみは真っ赤な唇をふるわせて私をじっと見つめ、真剣な、祈るような声色で言』います。『何ですって?』と『すっかり忘れ果てていたあの百葉箱の記憶がよみがえってきた』という まりあ。そんな まりあが つぐみと過ごしたあの夏の物語が描かれていきます。

    “病弱で生意気な美少女 つぐみ。彼女と姉妹のように育った海辺の小さな町に帰省した私は、まだ淡い夜の始まりに、つぐみとともにふるさとの最後のひと夏を過ごす少年に出会った ー”と内容紹介にうたわれるこの作品。今から実に35年前、1989年に刊行され山本周五郎賞も受賞した吉本ばななさんの代表作のひとつです。時はバブルの絶頂期であり、今とは世の中のあり方自体が大きく異なる、それがこの作品が生まれた時代だと思いますが、不思議なくらいに時代を感じさせません。進化の激しいもの、例えば携帯などが登場すると一気に時代感を感じることが多いと思いますが、人の日常、そこにある暮らしというもののベースの部分は時が経ってもあまり大きく変化することはないのかなとも思います。

    そんなこの作品は、吉本さんのデビュー作である「キッチン」の翌年に刊行されているということもあってか吉本さんらしい瑞々しい比喩表現に満ち溢れています。特にこの作品の舞台となるのが『海辺の町』ということもあって『海』をさまざまに描写していくところがとても印象的です。少し見てみましょう。まずは美しく『海』が描写される場面です。『夕方、暮れてゆく湾を見通す、浜辺の高い堤防を、つぐみと男の子が歩いてゆく』、そんな先に描かれていく光景です。

     『夕空には鳥がひくく舞い飛び、波音がきらめきながら静かに寄せてくる。走り回る犬しかいなくなった浜は、砂漠のように広く白く横たわり、いくつものボートが風にさらされている。遠くに島影がかすみ、雲がうっすらと赤く輝いて海の彼方へ沈んでゆく』。

    どうでしょう。この『海辺の町』がどこなのかは分かりませんが、映画になりそうな美しさを秘めた場面がそこに浮かび上がります。夕陽に染まる雲と白く輝く砂浜、そして海という光景、これには一瞬にして魅せられてしまいます。では、そんな『海』を定義する二つの表現もご紹介します。

     『海とは不思議なもので、2人で海に向かっていると黙っていても、しゃべっても、なぜかどっちでもかまわなくなってしまう。見あきることは決してない。波音も、海の表面も、たとえどんなに荒れていても決してうるさくは感じない』。

    これは、まさしくそうだと思います。その理由は分かりませんし、恐らく考えることに意味もないのだと思いますが、そんなことを考えることが馬鹿馬鹿しく感じさえする、それが『海』、そして、その偉大さなのかなと思います。もうひとつは、そんな『海』をある意味擬人化する表現です。

     『海は、見ているものがことさらに感情を移入しなくても、きちんと何かを教えてくれるように思えた』。

    『海』というもの自体が実際に何かしてくれるわけでは当然ありませんが、その存在の大きさが故に、『海』と対峙する私たち人間がそこに意味を見出していく、そんな瞬間の表現です。吉本さんは〈あとがき〉で”10年以上、同じ場所、同じ宿に通っている”という”西伊豆”、”私にとって故郷のようなもの”の存在を記されていらっしゃいます。そう、この作品はそんな吉本さんが『海』と対峙したその先に生まれたものであり、『海』がこの作品を生んだとも言えると思います。そういう意味でもこの作品を語る時、『海』の存在は欠かせないと思いました。

    そして、次は「TUGUMI」と書名にもなった 主人公・まりあの友人・つぐみについて触れたいと思います。つぐみとはこんな女性です。

     ● 『つぐみ』について
      ・家族: 『山本屋旅館を経営する正おじさんと、政子おばさん、そして2人の娘である つぐみと、その姉の陽子ちゃんの4人』
      ・容姿:
       『黒く長い髪、透明に白い肌、ひとえの大きな、大きな瞳にはびっしりと長いまつ毛がはえていて、伏し目にすると淡い影を落とす』。
       『血管の浮くような細い腕や足はすらりと長く、全身がきゅっと小さく、彼女はまるで神様が美しくこしらえた人形のよう』
      ・頭脳: 『頭が良く勉強家で、病欠のわりにはたいてい成績は上位だったし、あらゆる分野の本を読みあさっていて知識が深かった』。
      ・健康: 『生まれた時から体がむちゃくちゃ弱くて、あちこちの機能がこわれて』おり『医者は短命宣言をしたし、家族も覚悟』していた
      ・性格: 『思い切り開き直った性格』、『意地悪で粗野で口が悪く、わがままで甘ったれでずる賢い。人のいちばんいやがることを絶妙のタイミングと的確な描写でずけずけ言う時の勝ち誇った様は、まるで悪魔のよう』
      ・生活圏: 『病院へ通う以外、この町からほとんど出ずに育った』
      ・異性との関わり: 『中学の頃からずっと、よくつぐみは学友の男性をたぶらかしては寄り添って浜を散歩していた』。

    いかがでしょうか?イメージがどことなくお分かりいただけるかと思います。そんな物語は、書名にもなりこれだけ詳細な情報が描写されるにも関わらず、つぐみは主人公ではなく、視点も移動しない中に展開していきます。この作品は〈お化けのポスト〉、〈春と山本家の姉妹〉…〈つぐみからの手紙〉という12の章から構成されていますが、全編にわたって主人公を務めるのは白河まりあです。『確かに つぐみは、いやな女の子だった』と始まる作品冒頭に、『私は白河まりあ。聖母の名を持つ』と語る まりあ。

     『この物語は私が、少女時代をすごした海辺の町に最後の帰省をした時の夏の思い出だ』。

    そんな風に前提を説明した先に展開していく物語は、まりあの記憶に残る青春の思い出でもあります。

     “二度とかえらない少女たちの輝かしい季節。光みちた夏の恋の物語”

    内容紹介には、そんな風にこの作品が補足もされていますが、それは、主人公・まりあの記憶の中に つぐみの記憶が如何に深く刻まれているかを表してもいます。まりあ視点で見る つぐみを幾つか抜き出しておきましょう。

     ・『つぐみには誰よりも深く、宇宙に届くほどの燃えるような強い魂があるのに、肉体は極端にそれを制限しているのだ』。

     ・『つぐみが本気で怒った時、彼女はすうっと冷えてゆくように見える』。

     ・『つぐみはただそこにいるだけで、何か大きなものとつながっているのだ』。

    『つぐみのものすごい人柄の被害を受けた人ベスト3』に自身が入るという認識の中に彼女との日々を過ごした まりあ。そんな まりあの視点を通して私たちは つぐみのことを見ます。私たちが直接 つぐみの本当のところを知ることはできません。あくまでそれは、まりあというフィルターを通して見るものです。そこには、『被害を受けた人ベスト3』とは言いつつ、そんな強烈な存在である つぐみのことを強く意識する まりあの存在が浮かび上がります。

    私たちは誰もが青春を駆け抜けていきます。あとから振り返ってみればどうと言うことのないことであっても、その時代を駆け抜けていく中にはそれらは全てが一つの事件であり、そんな事ごと一つひとつに真摯に対峙してきたと思います。だからこそ、時が経ってそんな時代を振り返る中にそれらがキラキラと輝きだすのだと思います。この作品では、『海辺の町』の美しい光景が まりあの心の中に強く印象づいていることが分かります。そして、そんな光景以上に、共に同じ場所で青春を駆け抜けた つぐみという存在、強烈な存在として眩い光を放つ存在であるが故に、まりあの心の中にいつまでも深く刻まれる存在として残り続けているのだと思いました。

     『確かにつぐみは、いやな女の子だった』。

    幼き日に『海辺の町』で過ごした主人公の まりあ。そんな まりあがいつまでも忘れられない つぐみの記憶を物語として語っていくこの作品。そこには、”二度とかえらない少女たちの輝かしい季節”が まりあの語りの中に描かれていました。美しい『海』の描写に強く魅せられるこの作品。それ以上に つぐみというインパクト最大級の女の子の強烈さに魅せられるこの作品。

    『つぐみは私です。この性格の悪さ、そうとしか思えません』と〈あとがき〉で語る吉本さん。そんな吉本さんの瑞々しい描写にどこまでも魅せられる、そんな作品でした。

    • うたえながさん
      初コメです(^o^)
      すごく面白そうですね!今度読んでみます!
      初コメです(^o^)
      すごく面白そうですね!今度読んでみます!
      2024/02/17
    • さてさてさん
      うたえながさん、こんにちは!
      初コメありがとうございます。
      35年も前の作品ですが、古っぽさはあまり感じなかったです。吉本ばななさんとい...
      うたえながさん、こんにちは!
      初コメありがとうございます。
      35年も前の作品ですが、古っぽさはあまり感じなかったです。吉本ばななさんというとこの作品と、「キッチン」だと思いますので
      是非どうぞ!
      2024/02/17
  • 吉本ばななさんの本を初めて読みました。少し前から気になっていてたまたま図書館で借りたので読んでみました。
    かなり本は古く、紙も黄色っぽくなっていたので改めて古い本なんだなとも、思いました。でも、これだけ古いということはたくさんの人に読まれてきたということ。それだけ、多くの人が読んできた作品だったのだなと思いました。
    病弱なつぐみとその友だちのまりあの物語。とても、良い物語だと思いました。
    これからも、読み継がれていってほしいです。

    • さてさてさん
      うたえながさん、こんにちは!
      早速お読みになられたのですね。借りられた本から今まで読まれてきた人たちの存在を感じられるというのも素敵だと思...
      うたえながさん、こんにちは!
      早速お読みになられたのですね。借りられた本から今まで読まれてきた人たちの存在を感じられるというのも素敵だと思います。おっしゃる通り、これからもずっと読み継がれていって欲しいですね!
      2024/02/24
    • さいちさん
      良いですよね。
      吉本ばななさんの初期作品の何冊かは、当時、ハードカバーで購入して、いまだに所持しています。
      いつ、何度読み返しても良いです。
      良いですよね。
      吉本ばななさんの初期作品の何冊かは、当時、ハードカバーで購入して、いまだに所持しています。
      いつ、何度読み返しても良いです。
      2024/02/26
  • この物語のつぐみの存在が意味するものは、命の限りを切に感じ生きている、という姿かなと思いました。
    生まれつき病弱、その境遇ゆえ甘やかされ、意地悪く口は達者。しかし嫌な少女ではない、綺麗で賢くと、むしろ魅力的だ。
    つぐみは過去を振り向かない、
    つぐみには今日しかない、
    つぐみなりの哲学もある。
    一歳年上の従姉妹、まりあが語り手となり物語は進む。海辺の町で育った二人。東京へ移ったまりあが、夏休みに帰省し、二人が住んでいた旅館で最後に過ごします。
    つぐみのような友人がいたら、きっと疲れてしまいそうだが、パワーは貰えそう。
    生きていれば辛いこともあり、それを否定せず、肯定せず、そのまま見つめるばななさんの受け止めかたがいいと思いました。
    人は一度くらい、深い穴を掘りたくなるのではないか、確かにそう思う。
    ストーリーそのものより、つぐみの存在が強烈でした。
    思い出を振り返るとき、不思議と情景が鮮明に浮かび上がることがあり、その感覚を得たような作品でした。

  • 情景だったり、そのときの心情だったり、それらを上手く切り取って読みやすく心を打つ文をかけるのは吉本ばななの凄いところだなって思う。それは彼女の他の小説にも言える。
    だから吉本ばななは日常をどんな視点で見て、何を感じているんだろうっていうのが気になっていた。
    あとがきには『人生についてあまりにも否定しているので、せめて小説ではそれを救うようなものを書きたいと思っているんです。』と書いてあったので想像と違って驚いた。

  • すごい心温まる内容だった。

    病弱で色々な思いを抱えつつも溌剌と生きるつぐみ。蝋燭、暖炉のような温もりと儚さ。つぐみが周囲の人々の心にしっかりと刻み込まれていくのが主人公視点とてもよく分かる。

    なんとなく落ち込んだ時に読み返したい本

  • 吉本ばななさんの瑞々しい文章と懐かしくなるような物語はたまに読みたくなります。恋愛小説って帯についていたけどどちらかというと、つぐみとまりあの友情の方が印象的だった。成瀬と島崎をちょっと思い出したけど私はつぐみの方が潔くてすきでした。友達にはなれないけど

  • 読んだことあると思っていたけど初読。
    さりげない一文一文がきれい。夏。青春。
    つぐみからの手紙で一気に涙腺がゆるんだ。
    つぐみのめちゃくちゃさも魅力的だけどまりあの俯瞰で周りを見ている感じが好き。

  • 中学生の時に好きだった作品を久しぶりに読んでみたらどんな感想を持つのかと再読してみました。

    主人公まりあは、愛人としての母と二人で、親戚である山本屋旅館に居候している。この旅館の娘がつぐみで、彼女は病弱の美少女なんだけど口が悪くて生意気。物語は、まりあの父の離婚が成立して母と家族三人で晴れて暮らせるようになった年、山本屋旅館も閉館が決まり最後の夏を旅館で過ごすことにしたまりあと、つぐみと、海で出会ってつぐみが恋に落ちる恭一、それから旅館の人々の様子を描いた爽やかな海辺のひと夏の思い出、といったところ。

    10代の頃はきらきらして見えた世界観だったけど、さすがにアラフォーとなった今はリリカルな描写に少々こっ恥ずかしくなったりしつつ笑、(いやでも発刊当時はきっと斬新な描写だったのだと思う)、父の不倫という家庭で育ちながらも優しい雰囲気で語られる主人公の人生観や、つぐみの周りをひきつける生命力に魅了されました。
    やたらとつぐみが病弱病弱と出てくるので、もしや……と思っていただけに、ラストの手紙は良かったです(再読だったけどラストはまったく覚えていなかった)。薄い本だけど、夏の海辺の世界観が凝縮されていました。

  • やっぱり吉本ばななさんの作品は面白いと思いました。この歳になって読むならキッチンよりつぐみのほうがしっくりくるような気がしました。色々な情景をしみじみと噛み締められる作品。

  • 清々しい青春ストーリーとは対照的に、つぐみの強烈なキャラクターと真っ直ぐな言葉が心に響く。読み進めるうちにつぐみの繊細さ、まりあと陽子ちゃんの包み込むような温かさに物語にどんどん引き込まれました。
    学生の頃読んだけど、大人になって再読すると少しくすぐったい、そんな一冊です。

著者プロフィール

1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年『キッチン』で第6回海燕新人文学賞を受賞しデビュー。88年『ムーンライト・シャドウ』で第16回泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞、95年『アムリタ』で第5回紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞(安野光雅・選)、2022年『ミトンとふびん』で第58回谷崎潤一郎賞を受賞。著作は30か国以上で翻訳出版されており、イタリアで93年スカンノ賞、96年フェンディッシメ文学賞<Under35>、99年マスケラダルジェント賞、2011年カプリ賞を受賞している。近著に『吹上奇譚 第四話 ミモザ』がある。noteにて配信中のメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」をまとめた文庫本も発売中。

「2023年 『はーばーらいと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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