- Amazon.co.jp ・本 (402ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122020511
感想・レビュー・書評
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諸葛孔明に憧れたのは昔の事。調べるほどに、等身大の彼が分からなくなり、次第に誇大化された偶像のようにも思えてくるから不思議だ。陳舜臣自らが巻末に記すように、誇大化するでもなく、矮小化するでもなく、丹念に史料を吟味することで捉えた、等身大に近い諸葛孔明がここにいる。彼を知るには、必読の書である。
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歴史系が苦手な人でも読みきれると思う。諸葛孔明の晩年までを描いた小説。時が流れ、一緒に命を懸けて戦った者達が戦死・病死していく中、人心獲得や人材育成に力を入れる。自分の役割を俯瞰して判断している点は、当時の世界では稀に見る才能だったのか。
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以前読んだ三国志モノとは所々違う描写があって新たな発見を多く見つけることが出来た。やはり史実を基にしていると言いつつも記録が少なかったり、書によって記述が違っていたりするとそれぞれの作家によって描写は変わってくる点は三国志モノの魅力か。
この物語では孔明のそれまでのイメージを払拭したかったのか、神がかり的な奇策を用いる稀代の軍師としてではなく、あくまで大陸の平和を望む一介の軍師として描かれている。そのせいか、孔明の策にあっと驚くような戦術は出てこない。 以前読んだ三国志モノにあった「十万の兵の代わりをする迷路」、「天気を思いのまま操るように見せかける」、「谷間に誘い込み火攻めにする」といった戦術は一切出てこなかったので、自分の記憶違いかと思ってしまった程だった。どちらかというとここで描かれる孔明は私たち読者に近い存在に思える。しかし、当時の常識や学力などを鑑みるとこれでも充分に凄い存在なのかもしれない。
本作を読んで改めて好きになった武将を挙げてみると周瑜・陸遜・虞翻・趙雲・司馬仲達辺りかな? -
この著者の小説を初めて読んだ。
諸葛孔明で上下2巻だが、ストーリーとして物足りない。
あらすじ程度の描写で物語が盛り上がるはずの場面でも、あっという間に話が終わってしまう。
史実からの小説なので脚色があったり作られたストーリーがあるのは当然だと思うので、そういう意味もっと話を盛り上げて欲しかった。 -
上巻の方がいい感じです(まあ時代的にもね。
関羽が死んで以降の蜀の崩壊が切ない。
どうしても五丈原で終わってしまうから消化不良感が否めない。
てか全体通して夫婦仲がステキ
本屋さんで「孔明のヨメ」って漫画見かけてときめきました( *´艸`) -
文献を丁寧に手繰り、孔明を神憑った天才としてではなく、悩み過ち奮闘し涙を流す一人の実在した「人」として描いた作品。而もその語り口は決して一般的な歴史小説のように厳しくなくたおやか。実存した孔明の人柄が浮かび出るよう。
三国志演義で嫌いになった孔明を好きになった。戦記や武談を期待する向きにはそぐわない作品。実に好い作品でした。 -
後半、やたらとニルヴァーナという単語がでてくる。
ニルヴァーナというこのインド語の意味は漢語化するのが難しく、
その音をとって涅槃としたようである。
(涅槃の中国語はnie pan、ニルヴァーナに近い?)
仏教がまだ、いかがわしい新興宗教だった背景が浮かんできた。
そんな時代に理想を貫いた男の話であった。 -
超人的な孔明ではなく、いかにも現実的な能力、思考を持つ孔明が読めて面白かった。
劉備陣営は、慢性的な人材不足に悩まされた上、関羽・張飛・劉備・孟達・馬謖などの驕りを原因とする失敗が痛かった。
ホウ統・法正・馬良には、呉の張昭のように長生きして活躍して欲しかった。 -
≪作品紹介≫
関羽、張飛が非業の死をとげ、主君劉備も逝き、蜀の危急存亡のとき、丞相孔明は魏による悪しき統一を防ぐため、輿に乗り白羽扇で軍を率い、五丈原に陣を布く―。史料の徹底的な吟味によって鮮やかによみがえる孔明の「志」と感動的な生涯。
≪感想≫
孔明の生涯についていつも思うのは「孤独」であること。
また、日本の三国志では、赤壁の戦い以降はほぼ孔明が主人公と言っても過言ではないほど、孔明中心のストーリーが続くように思える。
歴史「・・・たら?」「・・・れば?」は禁物だが、曹操が参謀に恵まれたように、孔明にもっと参謀がいれば?と思えてならない。