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- Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122020665
感想・レビュー・書評
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密教の研究者である著者の七つの講演をまとめた本です。
著者は、以前は仏教の堕落形態とみなされることもすくなくなかった密教がにわかにブームとなったことにも触れつつ、正しい密教の理解の重要性を説いています。また、密教の特徴として、神秘主義、総合主義、象徴の重視、救済宗教、現実重視の五つがあげられており、密教を理解するための手がかりを読書に提供しています。とくに総合主義については、東洋の宗教の寛容性を示しており、キリスト教を模範として出発した従来の宗教学ではしばしば低い価値のものとして見られがちだった密教のもつ現代的意義を救い出そうとしています。
講演の記録にもとづいているということもあって、たいへんわかりやすく親しみやすい文章で書かれています。ただ、仏教にかんする知識のない、一般の聴講者を想定した内容で、密教について学ぼうとする読者にとってはあまり役に立たないのではないかと感じました。おなじ著者の『密教』(1991年、岩波新書)のほうが良い手引きになるように思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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