密教とはなにか: 宇宙と人間 (中公文庫 ま 9-3)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122020665

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  • 密教の研究者である著者の七つの講演をまとめた本です。

    著者は、以前は仏教の堕落形態とみなされることもすくなくなかった密教がにわかにブームとなったことにも触れつつ、正しい密教の理解の重要性を説いています。また、密教の特徴として、神秘主義、総合主義、象徴の重視、救済宗教、現実重視の五つがあげられており、密教を理解するための手がかりを読書に提供しています。とくに総合主義については、東洋の宗教の寛容性を示しており、キリスト教を模範として出発した従来の宗教学ではしばしば低い価値のものとして見られがちだった密教のもつ現代的意義を救い出そうとしています。

    講演の記録にもとづいているということもあって、たいへんわかりやすく親しみやすい文章で書かれています。ただ、仏教にかんする知識のない、一般の聴講者を想定した内容で、密教について学ぼうとする読者にとってはあまり役に立たないのではないかと感じました。おなじ著者の『密教』(1991年、岩波新書)のほうが良い手引きになるように思います。

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著者プロフィール

1929年 和歌山県高野山に生まれる。1951年 高野山大学文学部密教学科卒業。1959年 東北大学大学院文学研究科印度学仏教史学科博士課程修了、文学博士。現 在 高野山大学教授、高野山専修学院長。著 書 『密教の歴史』(平楽寺書店)、『密教―インドから日本への伝承―』(中公文庫)、『理趣経』(同)、『密教』(岩波新書)、『密教・コスモスとマンダラ』(NHKブックス)、『松長有慶著作集』全5巻(法藏館)他多数。訳 書アジット・ムケルジー『タントラ 東洋の知恵』(新潮社)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

「1994年 『密教大系』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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