茜に燃ゆ 上: 小説額田王 (中公文庫 く 7-16)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122021211

感想・レビュー・書評

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  • 中大兄皇子と大海人皇子、皇極天皇との関わりを、額田王の視点で。
    歌人だけあって、途中で万葉集収録の歌が紹介されるのがいい。

  • 額田王の視点から描かれた本も読んでみようと思い購入。恋愛小説としては面白いのかもしれないが、恋愛についてあまり興味がないのかついつい冷めた目で読んでしまった。同時代ならやはり持統天皇のようにガッツリ仕事をした女性の方が好きである。

  • 大化改新後の飛鳥で、緊迫する東アジア政情を受けて、倭国を強大な国家にすべく心血を注ぐ中大兄皇子と、殺気だつ中大兄を気づかいながら補佐するその弟・大海人皇子。二人の前に、すみれの花のにおいとともに、黒眼がちの額田王が現れ、皇子を恋に陥れた。政争と愛憎が交錯する古代史の世界。

  • 古代の謎多き女流宮廷歌人・額田王の波乱めいた生涯を描いた歴史小説。
    歴史小説、と言うより恋愛小説とも言えるかも。

    黒岩氏の描かれる額田王像が一番好きです。
    聡明で器量良しで、光るように美しいのですが、ややプライドが高いのがスパイスになっていますね。
    こんな言葉を使うと黒岩氏の文学の格式を下げてしまいそうですが…いわゆる、ツンデレタイプとも言えるかも。

    大海人皇子との馴れ初めや恋愛は凄まじくロマンチックです。
    ストレートに恋情をぶつけてくる情熱的な皇子と、ちょっと素直じゃない額田のやりとりが好きでした。
    額田をおちょくったり驚かせたり怒らせたり…、本書のおちゃめな大海人皇子が、びっくりするくらいに好みです´ω`*

    えっと、黒岩氏の小説って言ったらコレやろ(笑)って言いましょうか。キワどい描写もかなりあります。
    読んでて目のやり場に困るっ…て、変な表現ですが。
    特に本小説では濡れ場がドンドコ入ってるので、高校生以下の方は注意かもしれません(笑)

    そんな相思相愛の二人に絡んでくる、怪しい影。
    大海人皇子の兄、倭国の王者:中大兄皇子です。
    共に天皇になってる兄弟プリンスに愛され、取り合いっこされた額田王ってすごい。
    しかも小説の中では、3人とも超絶美形っぽいし。
    なんだかスケールの大きい三角関係ですよね。
    歴史を揺るがしたと言う解釈もあるぐらいですし。(本書では違いますよ)
    ほんと、色んな意味ですごい「恋愛小説」です。

  • 650年ごろ。額田王の話。額田王は大海人皇子の妃となり,後に大海人の兄の中大兄皇子の妃となった。
    当時の女人はまるで道具のように扱われており,自分の意思では結婚相手が決められず,王や皇子は何人もの妃を持つのが当たり前で,次々と若い妃を娶り,前の妃は産んだ子供のために生きるか,子供もなければ寂しい後世を送らなければならない時代だった。
    額田王は何とか,自分が年を重ねても魅力ある女人として見てもらえるよう,歌で男子を惹き付けようとした。持って生まれた感性の豊かさから歌の才は当然のごとく有名となり,王の宴にはなくてはならない女人となった。
    本小説は,額田王が大海人皇子に心を残しながらも,中大兄皇子(天智天皇)の妃となり,皇極(斉明)大王と天智の間に挟まれながらも,持って生まれた才を発揮し立ち回っていく躍動感ある小説である。ストーリーは,新羅・唐軍に攻められている百済を救うべく九州から出兵する倭軍の士気をたかめるため,斉明大王,中大兄皇子,額田王が九州に向かうが,その時詠んだ,かの有名な”熟田津に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな”という歌をピークとしている。
    女人の運命に翻弄されながらも,自分の感性のままに素直に・強く生きる額田王の人生を記す。
    全2巻

  • 飛鳥板葺宮で暮らす皇極女帝に仕えるお気に入りの女官にして歌人、額田王。中大兄皇子も大海人皇子も母親に頭が上がらないが、やがて兄は額田の親族の鏡女王に手をつけ、誠実な弟皇子の方が額田にストレートに求愛。しかし、冷酷な兄の危険なまなざしが…?!

  • 額田王に関しては詳しい資料がなく、謎の人物である。
    知られていることは、歌人として多くの優れた歌を残したこと、
    中大兄皇子と大海人皇子両皇子の妃となったこと
    大海人皇子との間に十市皇女が生まれたことくらいではなかろうか。

    黒岩額田王は情熱的で誇り高く、才気あふれる魅力的な女性だ。

    『中大兄皇子』『天の川の太陽』と合わせて読むと、
    主人公たちそれぞれの想いがよくわかる。

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著者プロフィール

1924-2003年。大阪市生まれ。同志社大学法学部卒。在学中に学徒動員で満洲に出征、ソ満国境で敗戦を迎える。日本へ帰国後、様々な職業を転々としたあと、59年に「近代説話」の同人となる。60年に『背徳のメス』で直木賞を受賞、金や権力に捉われた人間を描く社会派作家として活躍する。また古代史への関心も深く、80年には歴史小説の『天の川の太陽』で吉川英治文学賞を受賞する。84年からは直木賞の選考委員も務めた。91年紫綬褒章受章、92年菊池寛賞受賞。他の著書に『飛田ホテル』(ちくま文庫)。

「2018年 『西成山王ホテル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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