- Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122023888
感想・レビュー・書評
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再読。
時代小説から離れられず、でも手持ちがないので、古代小説へ。
やっぱりおもしろかったけど、推古天皇即位までのお話だし、分量も少ないので、次を読みたくなる。 -
後に女帝・推古天皇となる、炊屋姫が主人公。
炊屋姫は敏達天皇の皇后でしたが、身体の弱い天皇は病に倒れ、ほどなく崩御してしまいます。
政治や世継ぎの問題が降りかかり、蘇我氏と物部氏の確執とそれぞれの思惑に挟まれつつも、姫は自分の立場・誇りを守り、美しく毅然と立っているように見えました。
…が一方では、夫の喪に服しながらも恋ならぬ恋に身を焦がし、いっそ自分が大王の后じゃなく普通の女性だったらと嘆き、小さな木の葉の様に揺れている。
その恋の相手こそ、宮廷衛士の長・三輪君逆(みわのきみさかう)でした。
彼は紀で「悉くに内外の事を委ねたまひき」とあり、敏達天皇にして用いられ、かなり信頼されていた人物だったみたいです。
今流行りの、政・務・衛を備えた、スーパー執事(または秘書?)みたいな立場だったのかも知れませんね。
しかも本書の逆、良い男なんだよこれが。
凛々しくて逞しくて、無骨だけど真っ直ぐで、機転も効いてて仕事も出来る。
そんな人が、もしもの時は命を捧げると言って警護してくれている。仕方ないわ、側にいたら惚れるよ、惚れないわけない´Д`*
それに引換え、王族だと言うのに、穴穂部皇子の空気の読めなさ、浅はかさと言ったら。胸くそ悪くなったよ…。
相思相愛とお互い気づきながら、触れ合う事はおろか、近寄ることもままならないって、ものすごい辛いなあ。
炊屋姫が、もがりの宮から逆の居る場所を見つめ葛藤するシーン、かなり切なかったです。
でもプラトニックな関係って、ある意味で肉体的な関係がある時以上にドキドキするんですよね。
しかも、ものすごい格差恋愛です。主君と臣下の恋愛は禁断禁忌。
公になれば、逆は死罪になるかも知れません。
…でも。
人事全開ですが、その過酷な状況がまた、私的には燃えました´Д`*
禁忌だとわかりつつも、二人はどんどん惹かれあい、深みにはまります。
そして、それを利用するかのように暗躍する蘇我馬子。
馬子はすごい。マジ策士ですよ。
訪れる運命の時。
炊屋姫と逆の恋愛の果てに、私は号泣でした。
逆、行ったら嫌じゃ!と、私も縋りつきたくなりました´ω`。
辛すぎる…。
そして事態は蘇我物部合戦へと発展していくのですが…。
歴史物としてはもちろんですが、恋愛ものとしても、かなりいける一冊でした。
なんだか「ボディーガード」って昔の映画の曲「I will always love you」が頭に流れてしまった…。