- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122024229
感想・レビュー・書評
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全6巻の長編ミステリー。
50にも及ぶ登場人物すべてに非常に特徴があり、それらが織り成す複雑な人間関係も現実的で読み応えがある。途中までは完全にホラーの領域に達している出来事が、6巻ですべて現実的に解明されていくことも、ミステリー愛好家としては非常に好ましい。ラストも壮大で哀しいくらいに残酷な結末に、唖然として同時に舌を巻く。「これだから吉村達也はやめられない!」 -
1〜6巻
長野県某所。標高1300メートルの森と湖に囲まれた<時の杜>町。初めてこの地を訪れた人は、湖の周辺道路を時計回りに進まないと災いがおこるという。外部の人間を拒みつづける奇妙で不思議な町。その町に住む人々は何故か変人が多い。その中で美少女殺人事件が起こった。現場の森では古時計が時を刻み続ける。里見捜査官が真相究明に乗り出すが、立て続けに第二・第三の殺人事件が発生する。犯人は一体誰なのか?一つずつベールを脱ぐように謎が剥がされてゆく先には、思いも寄らない幕切れがそこにあった。
これは面白い!!登場人物総勢50余名という恐ろしい数の人物を覚えないといけないが、それも無理なくすんなり入ってくる。ツインピークスをベースにしてると名言しているだけあって、第一の被害者である一色舞子はローラー・パーマーそのもの。事件を捜査する里見捜査官はデイル・クーパーFBI捜査官だ。おまけに、舞子のツメの中に白い物体が挟まれてるなんて、ツインピークスを見た人は思わずニヤリとしてしまいます。
まぁ、ここらあたりの設定までがツインピークスばりでありますが、それからの事件の展開、最終の謎への設定は物凄く日本的です。閉鎖された空間の異様(不思議)な設定。という感じでしょうか。横溝モノまでおどろおどろはしてませんが、そんな雰囲気を醸し出している。
二転・三転のどんでん返しはやりすぎか?という感じもありますが、読者を楽しませるサービスは満点。キャラの味がそれぞれ出ていて読みやすいし、特に里見捜査官のキャラは私的に◎。結末があたし的にはちょっとなぁ……というのと、事件解明が住人の口からというのが残念な感じですが、ここまで広げればああいう結末・解明になっても仕方ないでしょう。
あちらこちらと状況がコロコロと入れ替わるが、それが逆に物語りの面白味が出て自然と読むペースが上がる。
吉村著でこれだけ面白いのは初めて。こんな調子で書いてくれれば最近のものも、もっと良くて面白いのに……