| ブログで紹介する» |
|
Check |
|
|
この作品に関連する談話室の質問
この作品からのみんなの引用
-
人間の本能は、唯我独尊の幻想のなかで、自閉と幻想のなかで空回りする。
― 53ページ -
芸術は純粋なナルチシズムの世界である。そこでは、ナルチシズムが公然とその表現を許され、ナルチシズムがナルチシズムであるがゆえにとがめられるということがない。ここに芸術の世界の特異性がある。恋愛の場合にせよ、イデオロギーの場合にせよ、それを支えているナルチシズムは、ナルチシズムであることを隠さねばならず、建前として現実的であることを強要されている。
― 314ページ -
未来とは、逆方向に投影された過去、仮装された過去に過ぎない。未来とは、修正されるであろう過去である。過去において満足されなかった欲望は数かぎりなく、悔恨の種は尽きないから、未来は無限でなければならない。未来が限定されること、すなわち死をわれわれが恐れるのは、過去を修正するチャンスが限定されるからである。死刑や死病を宣告された者の絶望とは、悔恨に満ちた過去をついにこのままにとどめざるを得なくなった者の絶望である。
― 221ページ
みんなの感想・レビュー・書評
著者は心理学者です。「人間個人は皆それぞれ幻想の中に生きており、社会というものは、個人が抱く幻想のうち共同化できるものを抽出した共同幻想に支えられている」という一貫した視点の下、歴史や性、人間など様々なカテゴリーについて分析しています。
展開される論それ自体も興味深かったのですが、何より1番、著者の明文化能力の高さに驚かされました。入り組んだ事象を実に的確で無駄のない言葉選びと文章構成、そして知的なユーモアを含んだ比喩によって、分かりやすく説得力のある形で表現しています。読んでいる間中ずっと頭を指圧マッサージされているかのような心地よい刺激を受けていました。
日頃の悩みがフッと軽くなります。相容れないと感じていた他者を思いやれそうな気もしてきます。良い本に巡り合えたと思えました。
大学時代の読書を振り返ったときに真っ先に思い浮かぶであろう類の一冊になるんではないか。本当に面白かった。
人間は本能のこわれた動物であってあらゆる幻想にとりつかれている。ただその幻想が私的なものにとどまっているのか、共同化されているかだけの違い。共同化された幻想は自我として意識の表面化に浮かび上がり、その当人からみれば人格のすべてとなり、共同化されなかった幻想は無意識下に抑圧されエスとなるが、強迫性神経症など様々な形で行動として顕われてくる。確固たる自己など存在せず、万人にとって合理的で有益なるものも存在しない。大多数のものに迷いなく信じられている「常識」なるものも存在せず、「常識」とはひとびとが自分以外の大多数のものが信じていると思っているところのものにすぎない。
あらゆる事象やモノに心や物語や幻という背景を予感し、それらを喝破していく。
国家や歴史や個人の振舞いを分析していく過程は圧巻なのかもしれないが、人にとってはこれも神秘的に感じられるのかもしれないし、批判的になられる方も多いだらう。
基本的には人間の本能が壊れているという事を出発点にして展開してある。
精神病やそれを治す事に関しての言及はあまりない。
しかし、著書は日本の精神分析学の中では中心的な存在の良書だろう。
<日本近代の精神分析的考察について> 本論考は、一集団の歴史は、一個人の歴史として説明できるとの立場から 幕末から現代に至る日本の歴史を、一人の患者の人生として説明するものである。こうした集団心理現象を下敷きにして、そのアナロジーでもって個人の心理状態を分析するというのが、フロイト理論である。いわば、その応用を試みようというわけである。 まず結論からいうと、日本国民は精神分裂病... 続きを読む »
幕末~昭和にかけての日本人の精神文化史を、
ひとりの精神分裂病患者の病歴にたとえて説いた名著。
頭が良い人というのは、
時代性や地域性やサイズ感にとらわれず、柔軟に、
発想を飛び回らせて、複数の事例を並べたり掛け合わせたりしながら、
現象・ものごとの本質を浮かび上がらせることが出来るんだなぁと感嘆。
Aという国と、Bという国の歴史であったり、
古代の出来事と、近代の出来事であったり、
一人の人間の問題と、国家全体の問題であったり。
自由を獲得した知性というものは、すごいねぇ。
いつも読みながら評価を考えるんだけど、読み始めは★4いかないくらいかと思っていたが、読み終わったときには満点つけるくらいになっていた。
内容に重複が多いので読んでいく内に著者の考え方(共同幻想など)がわかっていく。
人間の社会っていうものは総て個人の私的幻想を抽出して統合した共同幻想であり、本来未熟な存在だという考え方。
フロイトのエス、超自我、自我の考え方を集団に拡大適用している。
まさに目からウロコの経験が出来た。
自己嫌悪の効用は。今までもやもやしていたものが形になって言語化してはっきりした。人間失格批判論。
早くも”国家論”あたりからついていくのがつらくなり読むのをやめようかと思ったが、後半の「自己について」あたりを読んでみると、このあたりは批評と言うよりも、エッセー的な部分もあって、とても読みやすいことに気付く。 このあたりを出発点として”心理学者の解説はなぜつまらないのか””心理学無用論”あたりから徐々に範囲を広げていくと、心理学の用語や筆者の思想、ワーディング、その息遣いなどに慣れていき、読む... 続きを読む »
高校生の時に読んだけど、面白い内容だった。分かりやすいし、今でも記憶に残る本だから、実際良い本だと思う。
ネットでは「上から目線でものをいう」のが、評判が悪い。
そういう物言いが、よく叩かれ炎上し、自分もそういう意見を読むと、腹が立つことがある。
しかし、「上から目線でものを言う」ことが、不快であって「上から目線」で、ものを見るのが悪いわけではない。
「上から目線」を「俯瞰して見る目線」と言い換えた方がいいかもしれない。「俯瞰して見る目線」がないと、視界や考え方が狭くなってしまう。
この「ものぐさ精神分析」を読むことで、「俯瞰して見る目線」でのものの見方の練習になるだろう。考え方が狭くなっていると思っている人にぜひ読んでほしい。
ちょっと言いすぎじゃない?って思うところもあるけれど、とっても面白くて、なるほど~って思う。
この人のほかの本も読んでみようって思う。
精神分析のことが、今まで読んだ本の中で、一番よく分かった。
16歳の頃に学校の図書館で借りて読んだ本。「全て幻想」と言い切られてショックを受けたことを思い出します。あれもこれもみんな、私の勝手な思い込みだったのか!と。単純ですね(笑
同じ棚に、吉本隆明の「共同幻想論」もあり、似たような話かと思い手にとるも…あっさり挫折。中学出たばかりの単純な脳みそでは、全く分かりませんでした。そのまま苦手なイメージを持ちつつ、「詩とは何か」までずーっと吉本隆明の名前を避けてしまいます。20代で1行も読まなかったのは、ちょっと勿体ないことしたかも。
桃尻娘の玲奈ちゃんは早稲田で心理学の講座をとろうかと考える。岸田秀さんのファンなのだと。僕は岸田さんの本を読んだことが無かったので、これを機会に。 あの戦争の原因は何だったのかと、保坂正康さんや半藤一利さんの本を幾つか読んだが、あの時代の狂気の理由は納得できなかった。 本著の日本人は精神分裂病を発病していたという説は、歴史事実を見れば説得力ある。だけど、日本人全体が精神分裂なんてことあるのかと... 続きを読む »
眼から鱗とはまさにこのことです。
よくも悪くも世界観が岸田先生のこの本のおかげで180度変わりました。
難しい内容も例えが分かりやすく鮮やかな文面で書かれているので馴染みやすく、わかりやすいです。
ただ、流石にそれは言い過ぎじゃないか…?というところや、ちょっと卑屈すぎる面もありますので、読んで、疑ってみて、自分なりに日本の内的自己、外的自己をどう扱うべきか、であるとか、幻想我、現実我との付き合い方など考えてみると良いと思います。
とにかく、一見の価値ありです!
読んで30分後には世界が違って見えているでしょう。
「ものぐさ」シリーズは全て読みましたが最初の(これ)が一番鮮烈です。(先生ご本人も「同じ事を何度も~」と仰っている。)初めて読了したのは10代でしたが、一度目は何が書いてあるのかちんぷんかんぷんでした。でも辛抱して読み返していたらだんだん理解できて、そのうちやみつきになりました。引っ越しても手放せない一冊です。
「心理学無用論」という論述が非常に興味深かった。著者自身心理学者であるにもかかわらず、心理学など無用であると言及していることは驚きであったが、確かに共感できる。心理学について勉強する機会があったのだが、動物の生理学的観点からの行動理解であったり、人間の社会行動学などで、人間の「こころ」の学問ではなく、無理やり「科学」というものに仕立て上げようとしているという感じを覚えた。初めは、人間の「こころ」の... 続きを読む »
唯幻論なる岸田の理論には驚き。
人間は本能が崩れ、幻想を抱く。
今までの価値観が崩壊する。
岸田心理学の入門。かなー?いろいろ雑多なことについて書かれてますね!エロから社会、あと大学の心理学科批判とか。

これはやられた。
人間は他の動物から格段に変化してしまったがために、
精神構造に矛盾をはらみつつ試行錯誤を繰り返していると指摘し、
歴史も精神分析に支配されているという筆者の専門につなげる。
...





