窯変 源氏物語〈7〉 胡蝶 螢 常夏 篝火 野分 行幸 藤袴 (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (495ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122025660

感想・レビュー・書評

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  • 光源氏が昔恋した夕顔の娘玉鬘に執着する回が続く。

  • とある源氏物語をモチーフにした作品で、なぜ作者は私をこんな醜女に描いたのかと末摘花が恨み言を言うシーンがあるが、それでも自邸に引き取って衣食住の世話をしてもらっているんだから当時の女性としては幸せではないか?
    それはそれとして玉鬘に対する光源氏の接し方はなかなか気持ち悪い。紫の上を妻にした時よりねちっこく、それでいて他の男性が彼女に接近するのを面白がっている。

  • 玉鬘のくだりは、正直だらだら続いて長いと思っている。でも内大臣と光源氏が最後に席を同じくできたこととか、近江みたいな型破りな子でも父親にはなんだかんだあったかく接してもらっているところが大変救いになっていた。内大臣が好きすぎて苦しい。

  • 源氏が作り上げた夢の園「六条の院」その栄華が煌びやかな巻だった。季節の花の描写も美しい。
    夢の園――源氏がマイケル・ジャクソンに見えてきた。
    平和な世界を描いているのに、退屈とは無縁で、ぐっと入り込める小説って珍しいな。

    ここにきてまたすごいキャラが投入された、近江の君。
    内大臣の隠すつもりはなかった隠れていた娘で、破壊力が満点だ。初対面は、大声で双六に熱中する姿だった。
    「いと舌疾(したど)きや」内大臣、そんな女性は見たことがなかったので下品さにびっくり仰天、そして落胆。
    しかし、内大臣は偉大なところがあった。

  • 七巻では胡蝶・蛍・常夏・篝火・野分・行幸・藤袴までがおさめられていました。

    蛍のシーンが好きなので、読む前からその場面が待ち遠しくって(笑)。いやらしさ全開の源氏の態度も寛大な気持ちで流し読みしてしまいそうになりました。

    橋本源氏での蛍の場面は、私の記憶とは違い、その横顔をはっきり照らしたというよりは、裳裾に止まって布の色目をほんのり輝かし、人の姿を浮かび上がらせるというもので、やっぱりその幻想的な情景にうっとりしました。
    こんな演出の中で姿を見てしまったら誰でもときめくよね、と紫式部のロマンチックな一面に共感してしまうシーンです。

    それにしても源氏の態度の悪さ・・・
    心細い境遇を盾に強要し、すんでのところでかわす玉鬘が気の毒で・・・
    それだけではなくこうやって若い二人を振り回して喜んだりもする悪趣味な権力者。サイテーだね。
    最後は思い通りにならないことを知っているんだから!という心の支え(笑)がなければ耐えられなかったかも。。

    などと、憤りながら読んでいたら後半の玉鬘は塩梅を考えながら上手くあしらうことのできる現代女性のような賢い女性に成長していて、紫式部の御贔屓度合いが並大抵じゃないな、と感じました。
    順応性の高さイコール幸福度合いかもしれませんね。今も昔も。

  • 胡蝶◆螢◆常夏◆篝火◆野分◆行幸◆藤袴

    著者:橋本治(1948-)

  • 橋本治 窯変 源氏物語 7/14 胡蝶〜藤袴

    玉鬘十帖に入って 源氏中心の物語が転換。若さへの嫉妬 や 思いが伝わらない玉鬘 など 源氏の光の衰えを感じる。光の衰えが 権力の衰退、世代交代への始まりに見える

    野分の帖が 衰えた源氏、源氏から離れたい玉鬘、源氏に依存してきた夕霧 の関係性を伝えている気がする
    *秋の花は〜最後に実らせた、儚い生命の結晶
    *父は娘に傅く=娘は政略結婚の起点
    *父は息子に傅かない=息子は父の余慶にあずかるだけ



  • 源氏ネチネチしてますね〜〜ストーカーですよ。玉かずら(携帯変換で出ない)超逃げて!って感じです。対する息子・夕霧は美貌の玉かずらにも冷静。葵の上似ですよね彼は。

    近江の君がおもしろすぎます。ファンキーというかパンクというか。私は彼女好きですねえ。完全にギャルです。まさか源氏物語の訳で「ちょー」とか聞くとは思いませんでした。しかし「超○○」って表現が、この本が出版された91年当時からあったことに逆にちょー驚きました。私はおもしろいと思いますが、やりすぎと思う方もいらっしゃるのでしょうね。近江の君と内大臣(頭中将)とのズレたやり取りもツボです。

    しれっとした賢妻ぶり発揮する紫の上と、玉かずらに夢中で我を失っている源氏のやり取りも笑えました。

  • 胡蝶、螢、常夏、篝火、野分、行幸、藤袴が収録されていました。
    源氏は本当見境なしですね笑
    夕霧くんが可愛くてしゃないです、はい。

  • 胡蝶、蛍、常夏、篝火、野分、御幸、藤袴。

    窯変というのは、焼き窯の中で、思いがけない変化してできた陶器とかのこと。
    ひらがな日本美術史でありました。
    中国を初めとして、海外では、あんまり好かれてないんだって。
    なんでも自分の思いとおりになるものではないと思います。

    玉鬘がヒロインです。
    sistersを見た後だから、光の君の味方ができません。
    人間引き際が大事なんだろうね。
    後輩でも母校にやたらと出入りしている人も
    (気持ちがわからなくはないが)
    そんなかんじ。

    ほんと見るもの、読むものがなんでもつながってます。
    本に関しては、引きが強い方だね☆

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著者プロフィール

1948年東京生まれ。東京大学文学部国文科卒。小説、戯曲、舞台演出、評論、古典の現代語訳ほか、ジャンルを越えて活躍。著書に『桃尻娘』(小説現代新人賞佳作)、『宗教なんかこわくない!』(新潮学芸賞)、『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』(小林秀雄賞)、『蝶のゆくえ』(柴田錬三郎賞)、『双調平家物語』(毎日出版文化賞)、『窯変源氏物語』、『巡礼』、『リア家の人々』、『BAcBAHその他』『あなたの苦手な彼女について』『人はなぜ「美しい」がわかるのか』『ちゃんと話すための敬語の本』他多数。

「2019年 『思いつきで世界は進む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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