窯変 源氏物語〈8〉 真木柱 梅枝 藤裏葉 若菜上 (中公文庫)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (493ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122025882

感想・レビュー・書評

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  • 源氏物語。
    光源氏もいよいよ不惑の四十歳へ。
    このところ玉鬘とか女性の育成に精を出し、いやー他の男の嫁にするのもったいないとか迷っていたら、それを髭黒の右大将に取られるとか、上手の手から水が漏れる、、、
    後半は太政大臣から更に出世して上皇に准ずる位にまで達するわ、兄である朱雀上皇の意向を受けて幼い女三の宮を正妻として降嫁してもらうとかしながら、相変わらず、俺が望んでいる訳じゃないと何故か不満顔。

  • 源氏生い立ちの「藤壺」~40歳長寿祝い前年「藤裏葉」全33帖が第一部。
    過去の恋愛が政治的栄華の支えにもなり、六条の院という源氏の理想郷も完成した。季節や衣装の彩り、小道具の美しさ、人の心も十人十色で色彩的にもとても美しい小説だ。

    来朝した高麗人顔相見の「帝王でもなければ臣下に終りそうにもない@『藤壺』」との予言どおり、太政大臣まで出世し尽した後、准太上天皇となって臣籍を去った。それは、自分の父は源氏だと冷泉帝がハプニングにより知り、孝養として考え出した結果だった。

    また、恋愛小説だということを忘れるぐらい、貴族達の議論も多くて嬉しい
    貴族社会における子女の教育と結婚、仮名文字論、物語論、昔今の物論(古きものの方が今の世のものより重みと格があって美しい)、恋文の作法、職業としての宮(かしずかれて隔てをおかれる生きた雛・普通は降嫁などせず独身を通す)など

  • 8巻では真木柱、梅枝、藤裏葉、若菜上の4帖が収録されていました。

    さあついに!若菜までたどり着きました。
    若菜上を読んだら、その前の3つの物語の感想なんてどうでもよくなる。
    藤裏葉で明石と紫の対面とか楽しみだったけどあっさりしてたしね。

    物語の中を生きる女たちとその物語に入れない男、という構図が描かれ源氏は蚊帳の外。
    朧月夜と会ったってもう恋愛は出来ないし、権力者になったって時代の主役にはなれないし、さらに明石の入道の壮大な物語の渦に巻き込まれていること、自分はその駒に過ぎないことを認識し、源氏さん、もはや斜に構えても自分を保てない・・・
    この解釈はとても興味深く気になって、でも原文は読めない私は、田辺聖子さん訳の新源氏の若菜上を読んでみる。
    やはり橋本源氏独特な捉え方だったということが分かり、この場でここまで書いちゃうんだ、とまたひとつ橋本先生を尊敬しました。

    今後のさらなるうねりを知っているだけにもう目が離せません。

  • 真木柱◆梅枝◆藤裏葉◆若菜上

    著者:橋本治(1948-、杉並区)

  • 橋本治 窯変 源氏物語 8/14 真木柱〜若菜上

    玉鬘は時勢そのものを意味している
    *源氏から髭黒の右大将へ 玉鬘とともに 時勢も移った
    *玉鬘=時勢 が移ったのは 人間の愚かさが原因

    真木柱は 人間の愚かさが 不幸を生む物語
    *恋をすれば 誰でも愚かな若者のようになる〜愚かな若者である年頃を過ぎた者は〜更に愚かな痴れ者になる

    言葉について
    *言葉は言葉〜現実はどう動くか 分からない。しかし 分からない現実を食い止める為にこそ 言葉がある
    *人と人の距離を埋めるために言葉を交わす〜言葉には心が重く揺れ下がっている
    *人の言葉は軽く 人の生身は重い〜重い生身を持ち上げるために 言葉の軽みに その身を託す

  • 玉鬘があっさり髭黒の右大将に奪われてしまいました。知ってはいましたがあまりにもあっさりでショック!髭黒の北の方様、何だかとっても気の毒です…「絶対実家に帰ったほうがいいよ!」と応援してしまいました。真木柱の姫はなんともいじらしいです。

    夕霧と雲居の雁がようやく夫婦に。長かったですね。夕霧にまでベタベタしてくる内大臣(頭中将)…源氏の息子と縁づいてうれしいのでしょうねえ。夕霧はしかしクールというかどこか抜けてるというか。

    明石の君もようやく実の娘の後見として認められました。しかしあんまり幸せそうに見えなくてつらいですね…。

  • 真木柱、梅枝、藤裏葉、若紫上が収録されていました。
    夕霧くんと雲居の雁おめでとうっ!この二人可愛いです。
    源氏はなんか…わがままですね……。

  • 真木柱・梅枝・藤裏葉・若菜(上)

    いろいろあったけど、若菜。
    言い方悪いかもしれないけど、どんどん内面に迫っていって、
    ドストエフスキーに近くなってきてます。
    悪く言えばいいわけばっかりだけどね。

    長かったけど読んでてよかったなと思った。 

  • 内容紹介:千年の時の窯で色を変え、光源氏が一人称で語る橋本源氏―絢爛豪華に登場。(「BOOKS」データベースより)

    資料番号:011220175
    請求記号:F/ ハシモ/ 8
    資料区分:文庫・新書

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著者プロフィール

1948年東京生まれ。東京大学文学部国文科卒。小説、戯曲、舞台演出、評論、古典の現代語訳ほか、ジャンルを越えて活躍。著書に『桃尻娘』(小説現代新人賞佳作)、『宗教なんかこわくない!』(新潮学芸賞)、『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』(小林秀雄賞)、『蝶のゆくえ』(柴田錬三郎賞)、『双調平家物語』(毎日出版文化賞)、『窯変源氏物語』、『巡礼』、『リア家の人々』、『BAcBAHその他』『あなたの苦手な彼女について』『人はなぜ「美しい」がわかるのか』『ちゃんと話すための敬語の本』他多数。

「2019年 『思いつきで世界は進む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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