宮中物語: 元式部官の回想 (中公文庫 た 14-4)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122027787

感想・レビュー・書評

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  • 似たようなタイトルのものは多いが、それらとは一線を画する。なんとなれば、著者は外務省から宮内庁に出向していた人物で、厳密な意味での「宮中」物語ではないのである。したがって、カテゴリも皇室・王室関連でなく一般書扱いとした。
    下世話な好奇心を満たす宮廷裏話に代わるのは、式部官として経験した数々の行事にまつわる貴重な記録。まさに、この著者にしか書けなかった内容と言えよう。
    あくまでも「内なる他者」のスタンスを崩さぬ姿勢は公正で、お仕えして初めて触れた、昭和帝のお人柄への敬慕に発する尊王の念は穏健そのもの。時に大胆、時に辛口な提言にもその確かな裏打ちがあれば、古き良き保守とは斯くこそありしかと嘆息させられる。
    「畏き辺り」は近年何かとかまびしいが、そんな時にこそ有用な示唆を、少なからず含んだ良書である。

    2011/10/6読了

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著者プロフィール

1928年北海道室蘭市生まれ。中央大学法学部卒。外務省語学留学生(ストックホルム大学)、外務省北欧担当官(この間NHK国際放送〔北欧向け〕顧問)。在スウェーデン、デンマーク大使館一等書記官、宮内庁式部官、駐イスタンブール総領事を歴任。北海道東海大学教授(国際政治および日本外交史)、東海大学教授(北欧政治・外交および北欧社会研究)。この間大阪外国語大学、立教大学非常勤講師。1999年退任。現在、北欧文化協会理事長。
〈主な著書〉
『白夜の国々』(中公新書 1985)、『物語 北欧の歴史』(中公新書 1993)、『北欧の外交』(東海大学出版会 1998)、『北欧を知るための43章』(明石書店 2001)、『福祉国家スウェーデンの闘い』(中公新書 2001)、『物語スウェーデン史』(新評論 2003)、『バイキングと北欧神話』(明石書店 2005)ほか多数。

「2006年 『北欧悲史 悲劇の国王、女王、王妃の物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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