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- Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122027787
感想・レビュー・書評
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似たようなタイトルのものは多いが、それらとは一線を画する。なんとなれば、著者は外務省から宮内庁に出向していた人物で、厳密な意味での「宮中」物語ではないのである。したがって、カテゴリも皇室・王室関連でなく一般書扱いとした。
下世話な好奇心を満たす宮廷裏話に代わるのは、式部官として経験した数々の行事にまつわる貴重な記録。まさに、この著者にしか書けなかった内容と言えよう。
あくまでも「内なる他者」のスタンスを崩さぬ姿勢は公正で、お仕えして初めて触れた、昭和帝のお人柄への敬慕に発する尊王の念は穏健そのもの。時に大胆、時に辛口な提言にもその確かな裏打ちがあれば、古き良き保守とは斯くこそありしかと嘆息させられる。
「畏き辺り」は近年何かとかまびしいが、そんな時にこそ有用な示唆を、少なからず含んだ良書である。
2011/10/6読了詳細をみるコメント0件をすべて表示
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