ノラや (中公文庫)

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著者 : 内田百けん
  • 中央公論新社 (1997年1月18日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (321ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122027848

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ノラや (中公文庫)の感想・レビュー・書評

  • 百閒はふとした縁から野良猫「ノラ」を世話をするようになる。老夫婦を癒し、心の拠りどころにもなっていたノラは、ある日突然姿を見せなくなる。ノラを懸命に探し数年が経った頃、軒先に迷い猫「クルツ」が現れる。

    「ノラやお前はどこへ行ってしまったのか」
    突然姿が見えなくなったノラを案じ、迷い猫探しの広告を作成し、日々の空虚を日記にしたため、外国人が保護しているかもと想像力を膨らませ英字版の広告も用意し…と猫探しに奮闘する日々。「似た猫がいる」という連絡があれば確認に赴き、一喜一憂する。愛猫が帰らない毎日に涙する様子に胸がきゅっとなる。
    猫が見つからないという事実を前に、ここまで悲哀の想いが吹き出し、言葉が生まれ、1つの作品が仕上がることに驚く。
    悲劇は喜劇とはいうものの、私はこの作品に“愉快さ”を感じられなかった。けれど「ノラや、ノラや…」と懸命に愛猫を捜索する百閒の必死さから人の温かさと優しさと愛しさに触れ、溢れんばかりの猫愛が伝わってくる。
    切ないけれど温かい気持ちにさせてくれる1冊。

  • 「臆病な自尊心と尊大な羞恥心から変わっちゃう話で」「それはトラや」「ネットによく転がっている」「それはコラや」「アンクル・トムの」「それは小屋や」「大げさな嘘のことを」「それは法螺や」「講談社の創業者の話かな?」「それは野間や」「大洪水にまつわる方舟の話で」「それはノアな」「ウッス」「プロレス風に返さなくていいから」「ちなみに名前はイプセンの小説かららしいね」「ノーラだね」「ラピュタに出てくる空中海賊の」「ドーラだね」「大草原の小さな家の」「ローラだね」「傷だらけの」「それは西城」「「ヒデキ、感激!!」」

  • なんでこんなに可愛いのかよ~♪

    この本を読んでいる間ずっと、
    大泉逸郎の孫が頭の中に流れてました。

    庭の水がめに落ちたことがきっかけで、
    飼うことになったノラが帰ってこなくなった。
    心配で心配で毎日、毎日泣いて、仕事も手に付かない先生。

    新聞にノラを探す広告を4回入れたり、
    見つかってないのに、お礼の文章を考えたり、
    風呂場に専用の座布団を用意したり、
    毎日、猫用に魚屋さんからアジを取り寄せ、
    猫用にカレイを煮る?!

    読んでいてつっこみたくなるところ満載。
    文章にユーモアもあって、面白かったー

    ただ、短編が何作品も掲載されているので、
    同じ話が何度か繰り替えされてるので間ちょっと飽きるところがあるのが
    ちょっと残念。

  • 320ページほどの文庫本を読むのに、2週間もかかってしまいました。(普段ならこんなにかからないのですが…)
    なぜかというと、百閒先生の心情が思いのほか共鳴してしまったからだと思います。
    数ページ読むたびに、不安で胸が締めつけられて本を閉じてしまう…ということを何度くりかえしたことか。

    贔屓のお寿司屋さんのたまご焼きが好きだったというノラ。
    ノラがいなくなってしまった後に百閒先生はそのお店のお寿司がとれなくなってしまったのだそう。
    百閒先生のお膳から、白身魚のお刺身を分けてもらい、一緒に食べるのが習慣になっていたというクル。
    クルが病気で死んでからはお刺身もお膳に乗らなくなったのだそう。
    このエピソードだけで、どれだけ百閒先生が2匹の猫に愛情を注いでいたのかがわかります。

    予想以上に心が波立ってしまい、かなりエネルギーを使った読書となりました。
    でも、絶対再読したい1冊でもあります。

  • 猫に対する愛情が深く深く伝わってくる作品。一匹目の猫・ノラはある日失踪し、そのまま戻らない。ノラが居なくなってからの百閒先生の何も手につかない感じがたまらなく愛しい。愛する猫に、「ノラや、ノラや」と呼び掛ける。それだけノラを愛してたんだなって。二匹目の猫はノラそっくりのクルツ。通称・クル。5年3ヶ月愛され、病でクルが天に召された時は悲しかった。大切なものとはいつか必ず別れが来る。別れの辛さを感じる作品でもあった。猫好き必読。2012/161

  • 読み終わってすぐ、
    飼い猫の顔を見に行った。

    今も昔も、女も男も、
    年齢も関係なく、猫を飼っていると
    可愛く見える姿、仕草は同じ。
    猫可愛いな。おじいちゃん可愛いな。という本。
    そして、猫を飼ったことがあれば、
    涙は止められない本。

    たんたんと同じことを繰り返す。
    飽きそうになると、すぐ変化が付く。
    素晴らし文章。

  • 猫を飼ったことがある人には、かなり響くエッセイ。

  • 猫好きは必読の名著。愛するニャンコを失うと言う事。気難しい文豪の先生は周囲を巻き込んで泣きながら必死に探します。著者と一緒にダラダラ泣けます。ニャンコ幸せだね。きっと虹の橋の向こうでノラは先生を迎えてくれたことでしょう。

  •       猫の耳は秋風にゆれて

       広い広ろ~いさとうきび畑にて

    ぼく 「良子さん、良子さん、いっしょに隠れん坊しようよ」
    森山良子 「ストンくん、ふたりで隠れん坊しても仕方ないでしょ、ウフフ」
    ぼく 「そっか、エヘヘ」

       何者かが走りくる足音
    森山直太朗 「ストンさん、ぼくも入れてください」
    ぼく 「ああ、直太朗くん、君を忘れてたよ、ほら、入った、入った」

       何者かが走りくる足音
    黒澤明 「あのおばあちゃん、オシッコ我慢してない? 俺も入れろよ、ストン」
    ぼく 「カントク、ここにはエキストラはいませんよ。まあ、入った、入った」

       何者かが走りくる足音
    アキラ100% 「ストンさん、ぼくも入れてください、反射チェックもOKです」
    ぼく 「きちんと隠れてくれるなら構わないよ、ほら、入った、入った」

       何者かが走りくる足音
    とにかく明るい安村 「ストンさん、安心してください、履いてます!」
    ぼく 「も~露出大会じゃないんだよ。きちんと隠れてね、ほら、入った、入った」
     
    ぼく 「じゃあ、ぼく鬼やりまーす。もういいかい?」
    みんな 「ざ~わわ~よ♪」
    ぼく 「もういいかい?」
    みんな 「ざわわだよ♪」
    ぼく 「もういいかい?」
     
    ? 「まあだだよ」


     岡山の一級河川である旭川は、台風到来などの大雨によって氾濫しそうになった時、その溢れんばかりの水を百間川に放流するという。これは江戸時代のはじめの頃、岡山城下を守るために岡山藩主池田光政の命により築造されたカラクリで、そのため百間川は旭川放水路という別名をもつ。現在の旭川周辺には岡山後楽園や竹下夢二記念館などがあって、晴天に恵まれた日には近くの焼肉店からバーベキュー器具を借りて陽気な煙を立ち上げる人々もちらほら見受けられるが、何を隠そうあの内田百閒のペンネームの「百閒」はこの百間川が由来らしい。
     ジェームズ・ジョイスが執筆に行き詰った時、俗にいうところの、にっちもさっちも行かなくなったら夫人が黒猫を書斎に忍ばせたように、小説家には愛猫家が多く、また猫好きが高じたエピソードもじつに多いのだが、内田百閒よりも猫を愛した作家を私は知らない。とにかく百閒は猫が好きだった。この随筆集『ノラや』を読めばこの事実をたちまち宜うことができるし、何だかこっちまで猫好きになってしまうから不思議だ。秋風にゆれる猫の耳が気になってくる。
     ノラはもともと野良猫。百閒先生の家がやけに気になったノラは野良猫として内田家の一員となった。風呂蓋に寝そべるのが大好きで、その寝相は傍若無人。食べるものは高級志向。生の小あじの筒切りと牛乳を好み、牛乳も安物では気に入らない。生意気な猫だと云いながら、百閒先生ついつい猫のご機嫌を取る。ノラや、ノラや、ノラや。ところが或る日、そんなノラがいなくなる。一向に帰って来ないから、百閒先生は探し回る。猫探しの印刷物を出し、NHKで放送も流し、雑誌にノラのことを連載し続けた。万策尽き、百閒先生は涙滂沱する。いつまでもノラのことを忘れなかったが、それでもノラは帰って来なかった。寒い風の吹く夜、門の扉が擦れ合って軋む音がすると、門戸まで出てみるも子猫の姿はなく、風の音だったことを確かめホッと胸をなでおろした。

  • 百鬼園先生の情の深さに失礼ながら笑いを禁じ得ず。こんなにも涙もろいなんて、阿房列車を読んでいる時には微塵も感じなかった。先生は漱石の弟子であり、リアルタイムで『吾輩は猫である』を見知っていることから、百鬼園版猫エッセイだと思ったが、ノラが失踪した辺りから先生の涙話が累々と続き、決して不快ではないのだが「これで本が出せたのか?」ということに驚かされた。ノラの名代となったクルツの名はさすがにドイツ語講師と思わせ、彼の衰弱してから死へ向かう描写に涙が溢れた。

  • いつの間にか家族となった猫への愛情が痛いほど伝わってきて、涙なしには読めない本です。
    私も猫という家族がいますので、共感しっぱなしでした。
    猫はこんなにも人を魅了してしまうのかというところは猫好きでない方にも読んでいただきたい点です。

  • 誰ですか猫好きにオススメとか言ったの!
    文庫の裏に愉快な連作とかあるけど、愉快じゃないですよ!!

    1本目の「彼ハ猫デアル」以降、(所々でかわいい猫の所作の描写が含まれるものの)胸が苦しくなる話ばかりじゃないですか……

    百閒先生、ネコは特別好きではなかったとか言いながらノラとクルのために東奔西走する姿に共感を覚えます。
    先生の「ノラもクルもどこにでも、いくらでもゐる駄猫で、それが私には何物にも換へられない」っていうのはすべての愛玩動物飼い達の本心だなあとそう思います。

    すごく良かったけど、ネコ可愛い!もふもふ!フフフッてほのぼの読める話ではないので、猫好きに紹介するときは一言添えて薦めようと思います。

  • 読了。読書倶楽部課題図書。

    前半は成り行きで飼うことになった猫がどんなに可愛いかって話。私も猫飼いなので、わかるわかるって感じで微笑ましかったのだけど。

    後半はその猫が帰って来なくなったことによる心配と悲しみに溢れかえっている。想像すると悲しくて仕方ない。

    しかし70過ぎのおじぃが悲しみに泣き暮らしている様子を思い浮かべると可笑しさも出てくる。

    ノラやクルの描写も細かく、会話しているところもかわいい。

    ノラが帰って来なくなったところやクルの病気により、急に日記調になったのが、書く気力がなくなったのかなーと思ったけど、連載のようだったのでその形式になったのか。

    素直なペットロス。
    (170625)








  • 内田百間の飼い猫ノラとクルの話。
    野良猫のノラが居なくなって、毎日泣き暮れ何年経っても悲しみつづける狂おしい様が、最初は呆れながら読んでいたものの、そのうち哀れで可笑しくなってくる。ああ、猫ってそうだよね、分かる分かる...と、いつしか百間と気持ちが同期してしまった。

    ノラが居なくなって、暫くしてから住み始めた野良猫のクルも当初はノラと比較され容赦なくノラより劣るとされていたのに、5年も飼えば情が深くなり、病死してからの百間の嘆きようは凄まじく、やはり少し愛らしさと可笑しさがこみあげてくる。

    なんとも、いい本です。

  • 百閒先生は、ペットブログの創始者なんじゃないかと思う。
    失踪した「ノラ」に思いを馳せ、傷心している明治男を垣間見た。

  • 百聞先生の代表作「のらや」。学生のときに手にしたことはあるのだけど全く面白さが分からず途中でやめたけど、この年になると面白い。
    謹厳かつ気難しいと表された百聞先生が、ひたすらネコの行方を気にして毎日泣く。ひたすら嘆く。ただ、それだけのことが、屈指の名文家の手にかかると、散文のお手本となる。素晴らしい。
    しかし百聞先生も「のらや」が代表作と言われて泉下でどんな顔されているやら。

  • 齋藤孝著『大人のための書く全技術』40冊―28

    自分が愛するものについて書くということは、書くことの基本。

  • ペットロス!
    野良猫の気まぐれ。子猫のときは、餌を貰えるので居ついたが、成猫になって、さかりが付いて来て、雌猫追っ手か、気まぐれに他所に行っただけ。
    猫も6年も生きていれば、老齢による唯の自然死。

  • 可愛くて、可哀想で、やさしい気持ちになれます。

  • 時代の空気を感じるとともに、段々居た堪れなくなってくる本。
    ネコの可愛いところは耳とか、ネコバカを炸裂させています。百鬼園随筆では日記を3日でやめたお方が、帰ってこないことを嘆きを綴り、少しずつ弱っていくのが、可哀想になってきます。

  • 迷い込んできたノラが、百閒先生の家に住み着き、やがて失踪する。
    その後に、ノラによく似た猫、クルツが内田家に住み着き、数年後に、寿命がくる。
    これだけの顛末を描いた文章なのに、面白い。
    昭和三十年代の東京、麹町あたりの町の雰囲気もよくわかる。
    近所の人が、入院した百閒先生の奥さんの代わりに、入れ代わり立ち代わり、世話にやってくる。
    庭の木賊や、花が咲く木々、雨の様子が、今の東京では考えられないほど、瑞々しい。

    ノラを探す百閒先生の届いた手紙に、阿房宮列車ではあんなに偏屈な百閒先生が、猫のことになると、こんなに情に厚いなんて、といった趣旨のものがあったが、まさに同感。
    最初、百閒先生が泣いているという記述を、レトリック上のことだと思っていたのだけれど、本当に、時にはわんわん泣いていたと分かった。
    老境に差し掛かり、涙もろくなっていたのかな。
    ねこは飼ったことはないけれど、心配でしかたない、他の猫では代わりにならない、という気持ちはわかる。
    結構、かわいいお爺ちゃん、なのかも?

  • 明治から昭和初期の方の作品ということで私が読んで、面白さがわかるかな?と思いつつ、猫好きとして読んでおきたい!
    結果、とても面白かった。
    おじさん愛しい。堅物なのだけどユーモアもあって…ダメな人なんだけれどとっても魅力的。
    そんな印象を受けました。
    ノラや…が口癖になってしまっている、という逸話は頭に残っています。
    私も猫好きではなく、猫が勝手に居ついてしまう、そんな猫との暮らしを始めたいな。

  • 耐えられるかしら。

  • 2015/12/09
    猫を飼ったことはないけれど、小鳥を何羽か飼ってたのでこの気持ちはよーくわかる。(それにしても泣きすぎだけれども 笑)
    そして、どんなに小さな命でも、それを大切に思う人の心の中で、ずっとずっと生き続ける。

  • 猫を愛でるおじいちゃんを愛でる本。デレデレ。
    読み終わった後の表紙の破壊力よ。そんな目で見ないでー。

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ノラや (中公文庫)の作品紹介

ふとした縁で家で育てながら、ある日庭の繁みから消えてしまった野良猫のノラ。ついで居つきながらも病死した迷い猫のクルツ-愛猫さがしに英文広告まで作り、「ノラやお前はどこへ行ってしまったのか」と涙堰きあえず、垂死の猫に毎日来診を乞い、一喜一憂する老百〓先生の、あわれにもおかしく、情愛と機知とに満たち愉快な連作14篇。

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