- Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122027930
感想・レビュー・書評
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冒頭に沢庵が弟子に下した(沢庵の)死後の処理。
そして末尾も死後の処理の詳しきものを。
水上勉の言わんとすることが自ずから見えてくる。
では冒頭の沢庵の指示
全身を後ろの山にうずめて只土をおおうて去れ。経を読むことなかれ、
巻末は詳しく14条が市川白弦氏の現代語訳で載っている。そのなかで上と対応する部分を拾ってみると
十一、わたしの身を火葬してはならぬ。夜半ひそかに担ぎ出し、野外に深く地を掘って埋め、芝を持って蔽え。
塚の形を造ってはならぬ。探し出すことができぬようにするためだ。
身のまわりを世話してくれた二,三名も二度とその場所に詣でてはならぬ。
十二,・・ 二人のほか、送ってはならぬ。帰ってきてから、香をたき拝するのは結構だが、どんなお経も読んではならぬ・・・
さらに
十三、寺の内外に石塔を立ててはならぬ。・・・
十四、とくに年忌と称するものは営んではならぬ。
この沢庵の指示は一見南伝仏教の死の接し方に似るが
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死んだ子の葬列が墓に着くと、遺体は布に巻かれそのまま土に埋められた。
その時、いく粒かの豆がそっと墓穴に入れられたが、その豆が芽を出す時に子供は生まれ変わるのだという。
墓には墓標さえ立てられなかった。
村人は「死体は草履ほどの値打ちもない」と言う。輪廻を信ずるものにとっては、死んだ後の肉体は
脱ぎ捨てた古い衣のようなものだ。従って人々は墓参りすることもない。ただ親しかった者の死後の転生先を気遣う。
ブッダ 大いなる旅路〈2〉篤き信仰の風景 南伝仏教 (NHKスペシャル)
ミャンマーの仏教徒の死生観(輪廻転生)を端的に表した部分。P67
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輪廻転生を前提としているわけではない。
教も経も生きる機智のためにあり死者に手向けられるものではないということであろう。
それは檀那寺、人別蝶によって民衆を支配していった徳川幕府、それに屈した近代の仏教のあり方についての水上の批判でもある。
またこの書は沢庵の死に様を描いて、その死に様を用意した沢庵の生き様を描いたものとも言える。詳細をみるコメント0件をすべて表示