花までの距離 (中公文庫)

  • 10人登録
  • 4.00評価
    • (3)
    • (0)
    • (3)
    • (0)
    • (0)
  • 3レビュー
著者 : 片岡義男
  • 中央公論社 (1997年4月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122028340

花までの距離 (中公文庫)の感想・レビュー・書評

  • ストーリーそのものよりも細部の描写。湿度がなく、キリリとしたエロティシズム。それを頭の中に映像として再現することの快感。

    「~と、彼はひとりで理屈を作った。そしてその理屈に満足を覚えた。」(p.308)

    花までの距離、それは永遠なのか? (p.312)

    「恋愛を超えた信頼関係です。」(p.324)

    見る/見られる

  • 長編小説、とあるが連作短編と言ったほうが正しいかもしれない。
    片岡作品の中では「なにもないから愛にしましょう」と1位2位を争うほど何度も読み返している、とても気に入っている作品。

    片岡義男の恋愛小説はたぶん小学生のときから読んでいる(小学生から中学生にかけて、やたら主人公が30、40代の恋愛小説ばかり読んでいたなぁ)。
    高校でしばらく同世代の小説ばかり読んでいたけど、最近また読み返している。

    本作の登場人物は「彼」と「彼女」。片岡作品では珍しく名前がない。
    どこまでも魅惑的な彼女と、そんな彼女に心底感銘し賞賛する彼。2人だけで世界は完結する。

    街で、デパートの試着室で、飛行機の座席で、プールで、そしてホテルの部屋で、彼女は様々な形でオート・エロティシズム(この表現いいね)を試し、彼に披露する。
    彼は一貫して見る立場であり、けして彼女に触れようとはしない。
    彼女の行為は次第に完成度を増し、そのたびに彼は彼女に引き込まれていく…

    作品内で、彼女は自分の目標を「理知的で性的な女」と言う。
    これ昔からすごく同感なんだよね。うちの価値観に影響してる。

    あ、あと引用がうまく使えるのって理知的だよね。

    それと感心したのが喫茶店のシーンでのこの会話。

    「午後三時だ」
    「午後三時を少し過ぎたばかりです」
    「おやつの時間だ」
    「あなたは私のおやつですか」

    こんなセリフがとっさに出てくるようになりたいね。
    それにうなずいて「僕はきみのおやつだ。エスプレッソを注文すると、ひとつ添えられて出て来る」って答える人もなかなかいないと思うが(笑)


    はじめに連作短編といったけど、それぞれの話(出来事)は後半に向けた大きな流れを持つ。
    最後2,3章の盛り上がりはもの凄い。

    終わりの章できちんと締め括られている。
    ほんと、2人だけの世界が完結している。完成品。

全3件中 1 - 3件を表示

花までの距離 (中公文庫)はこんな本です

ツイートする