中国行きのスロウ・ボート (中公文庫)

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著者 : 村上春樹
  • 中央公論社 (1997年4月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122028401

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有効な左矢印 無効な左矢印
村上 春樹
有効な右矢印 無効な右矢印

中国行きのスロウ・ボート (中公文庫)の感想・レビュー・書評

  • 初めて読んだ時から
    実に22年!

    村上春樹の記念すべき初の短編集であり、
    いまだに春樹さんの短編集の中では
    この作品が一番だと思っています(^^)
    (個人的な意見を言えば村上春樹は
    優れた短編小説家だと思う。彼の長編の多くは実験的に書いた様々な短編をつなぎ合わせたものだし)


    若き日の村上春樹だからこその
    ニヒリズムとキザ一歩手前のセリフ。

    熱くなり過ぎず、
    けれども揺らぎない芯を感じさせる
    クールで抑制された文体。

    どんな話の中にも
    キラリと光るセンス・オブ・ユーモア。

    ひょうひょうとして見えても
    みな喪失を抱え、
    自らの信念やルールに従って生きる
    ハードボイルドな登場人物たち。

    ああ~やっぱ好きなんよなぁ~、
    この頃の村上春樹♪

    今改めて読んでも
    初めてこの本に触れた時の喜びが蘇ってきたし、
    その当時の空気感や匂いまでも
    瞬時に思い出させてくれる。


    かつて出会った中国人たちに思いを馳せる
    『中国行きのスロウ・ボート』、

    背中に張り付いた叔母さんのエーテルは
    見る人によって姿を変え…
    『貧乏な叔母さんの話』、

    レコードを間違って買ってしまった客にカセットテープに声で返事を吹き込む
    デパートの商品管理係の男のイタい独り言(笑)を描いた
    『カンガルー通信』、

    炎天下での芝刈りバイトの思い出を瑞々しい感性で描いた
    個人的に大好きな一編
    『午後の最後の芝生』、

    シーズンオフのリゾートホテルを舞台に
    死んだ犬の匂いに悩まされる女と、
    彼女に去られた男の雨の2日間を
    詩情に溢れ映像喚起力の高い筆致で描いた傑作
    『土の中の彼女の小さな犬』、

    砂金王である父親の莫大な遺産を受け継いだ大金持ちの私立探偵と、
    ピザ屋を切り盛りする女の子「ちゃーりー」、
    そしてあの羊男が繰り広げるユーモラスな冒険活劇に
    誰もがニヤリとすること必至の
    『シドニーのグリーン・ストリート』、
    などなど粒揃いの短編がズラリ。


    彼の小説を読むと
    必ず主人公が食べていたスパゲティやドーナツが食べたくなるし、
    ビールをグビグビしたくなるし、料理を作りたくなったり、
    動物園に行きたくなってしまう。
    (初期作品の登場人物の殆どに名前がないこともそうだし、読者が物語の中に自然と入り込んでしまう同化現象を、春樹さんの作品は自然と呼び起こすんです)

    そして書かれた当時の時代背景もあるけど、
    タバコが効果的な小道具として描かれてるのも
    共感できる点かな(笑)
    (今でこそ、不当な悪者扱いを受けてるタバコだけど、昔からタバコとジャズとロックと酒は自由のシンボルで、多くの表現者の創作意欲を増してきたし、一つの文化として成り立ってきたハズ)


    自分がこの本を初めて読んだのは
    まだ恋も知らない16歳だった。

    詩人は21で死に、
    革命家とロックスターは24で死ぬ。

    ならば自分は
    一体いつまで生きるんだろう。

    ロックに目覚め、
    今も続けているバンドを組んだばかりの自分は
    電車の中で夕刊フジを読むような
    イージーな大人になるくらいなら
    ディフィカルトな子供のままでいたいと思っていた。

    ストーンズの音楽と手に入れたばかりのギターと
    少しのお酒と村上春樹の小説があれば、
    くそったれの人生も
    いくらかはマシになるって。


    ラジオから流れるFEN、ドアーズとCCR、夏の光にチラチラ揺れるウィスキーとショートホープ、昭和の牧歌的な時代、入れ替え制のない古き良き映画館、雨の日の動物園、誤解されて別れた恋人、傷つけた人たち、親友が亡くなったことを知らずにいたバカな自分。

    あれから22年経って
    ... 続きを読む

  • 表題作。とてもナイーヴで、心が震える。真面目に生きていることが辛くなるけれど、でも本当にそうしているならば、そういうことは誇りを持つべきなのだな、と思う。
    どうして「僕」は、もう彼女と二度と会えなかったのか……どうして……そのことを考えるだけで、心が遠くに行く。
    「そもそも、ここは私のいるべき場所じゃないのよ」という言葉の持つ遠さは、いったい何だろう。どうして私はここにいるのだろう。

    その他の短編も悪くはなかったが(「貧乏な叔母さんの話」もとてもよかった)、表題作の震えがあまりに瑞々しいので、今、そればかり思い出している。

  • 何度でも読みたい。

  • 多くの方々が、作品や安西水丸の表紙を褒めている。もちろん私も同感なのだけど、この本って、背表紙もいいんだよね。
    シルバー地に白の文字。本棚に並べてみると分かるのだけど、光が反射して書名や著者の名前が読みにくい。でも、文字が読みにくいためか、それほど主張しているようには感じられない。逆に、本棚の中で、誰かに手に取ってもらうことを静かに待っている。そんな、ただずまい。

  • 初期の村上春樹氏の短編集で、まさかの未読本。
    どうしてこの本を今まで読んでいなかったのか不思議でならないのだけれど、今あらためて若き日の村上春樹氏の作品に出会えることに大きな幸せを感じる。カンガルーも羊男もここにいたなんて!
    どの短編も好きで何度も読み返したい。「貧乏な叔母さんの話」「午後の最後の芝生」「土の中の彼女の小さな犬」が特によかった。

  • 「中国行きのスロウ・ボート」「午後の最後の芝生」「土の中の彼女の小さな犬」が良かった。


    『僕は本のページを閉じて指の腹で目をこすった。それから右手の中指で眼鏡のブリッジを押しあげようとして、眼鏡がないことに気づいた。眼鏡がないというだけで人はずいぶん手持ち無沙汰になってしまうものなのだ。我々の日常生活はほとんど意味のない些細な動作の集積で成立している。』
    ここよかった。それにしても案外、句点が少なかったり漢字をひらいてたりしてるんだなあ。
    それに彼女が預金通帳を取り出すために、ウィスキーの箱に入れて庭に埋めた犬を掘り出すところは、ほとんどゾッとするようなものを感じた。
    1年前に自分の分身のように愛着を感じていた犬を掘り起こす。友達を助けるためと思い、一緒に埋めた預金通帳を手に入れるために。それには変な匂いがついていた。そして、お気に入りのセーターでくるんだ犬の遺骸は、それからはみでて少し見えた。だけど、彼女は、何も感じなかったという。その感情の喪失、愛情の喪失は、悲しみも懐かしさも覚えない自分はまるで真っ当な人でないんじゃないのか、倫理を踏み外しているのではないか、という気持ちにさせ、その自分の変化に悲しい気持ちになる。よくわかります。

  • 著者の短編は初めて読みました。独特の不思議な世界観。一度読んだだけでは消化しきれません。。『シドニーのグリーン・ストリート』がいちばんよかったです。

  • 表題作は以前に読んだ覚えがあるんですけれども、内容は全くと言っていいほど覚えてない…まあ、春樹氏の小説ってそんなものですよね。 ←え?? 社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    表題作も良かったし、その他の短編も良かったですねぇ…なんというか、音楽を聴いているような気分で読めるのが春樹氏の小説だと思うのです。情景だけが頭に浮かんで消えて行くような…意味とかは考えちゃ駄目なのです! 多分…社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    まあ、そんなわけでどこがどうとは言えないのですけれども、不思議な印象を残す短編集なのでありました。昨今の春樹氏の長編よりも自分は好きかなぁ…おしまい。

    ヽ(・ω・)/ズコー

  • いわゆる”村上春樹的”な雰囲気の短編集。よくわからない話も多い。

    女性が「それってつまりこういうことかしら?」とよくわからない例え話をして男性に尋ねる。すると、男性はその例えを反芻しながら「もちろんだよ」とウイスキーを飲むような、そんな雰囲気。

    いちいち”プレーン・オムレツ”とか呼ぶあたりで爆笑してしまう。
    何十年も村上さんがこういう文章をかいてるということに対して、驚く。

  • 空気感とか、流れとか、すごく独特なことはわかるのですが、
    内容がさっぱりわかりません・・・

    ちょっと難しすぎるか。
    こういう小説の読み方をちゃんと学んでないだけなのか・・・

    いつかわかるようになりたいです。

  • ピンク色の傘立てを背負った男とベットに潜り込むことは、彼女たちにとっても素晴らしい思い出になったろう。
    女の子って色んなことが裏がえしになっちゃう時があるのだ。

  • 世にも奇妙な物語みたいだった。特に貧乏叔母さんの話。

  • 4年ぶりくらいに再読。2回目。「ニューヨーク炭鉱の悲劇」が好きだった。「でもリクエストって嫌よ。なんだか惨めな気持になるんだもの。図書館で借りてきた本みたいにね、始まった途端にもう終る時のことを考えてるのよ」という台詞がやけに印象に残った。2011/368

  • 長編小説『羊をめぐる冒険』の前後に書かれ、いくつかの文芸誌に発表された短篇を7つを集めた作品集。最期の「シドニーのグリーンストリート」は羊男もので、これらの中では異色だが、それ以外はこの時期の作家の日常を私小説風(あくまで風だ)に綴ったもの。長編に比べると、肩の力を抜いて書いたような印象だ。いずれも、現実あるいは他者との間に、どこというのではないが微細な(しかし、それでいて本質的な)違和が「僕」との間にはあり、そのことが村上らしさとして立ち現れてくるようだ。

  • 「ぼくたちはどこへも行けるし、どこにも行けない」
    このセリフに母の世代(50代後半、白け世代)の思想が詰め込まれている気がした。

  • 全体を貫くこれは何だろうか、無常観…? そして村上作品には欠かせない音楽たち。最近は後期作品ばかり読んでいたので文章がとても若々しく感じるというか多少鼻につく感じも(笑)このころの方が村上節、利いてますね。羊男が大好き。

  • 他人との埋められない溝を強く感じる作品群だった。茫漠とした孤独感にも繋がる、日々の暮らしの中で何となく感じている想いが文字となっていると思う。出口が見えずどうしてよいか分からないという感じになっていたが、巻末の短編における羊男/羊博士のように、ものごとは表裏一体であるという見解に、どこか救われる気がした。

  • 村上春樹にとって、初めての短編集。
    やっぱりこの人の文章は好きだ。心に残るワンフレーズを発見したり、妙に懐かしい空気にとり憑かれたりする。
    「中国行のスロウボート」は、興味深く読めておもしろかった。
    「午後の最後の芝生」と「土の中の彼女の小さな犬」は、どちらもしっとりと温かみのある素敵なお話。
    最後の「シドニーのグリーン・ストリート」は、絵本を読んでいるようで楽しかった。

  • いつか読みたい。2話目まで読んだが全く頭にはいってこない。今読むタイミングじゃないみたい。

  • 僕の初めて会った中国人は確か小3の時にスイミングスクールで出会った同じ市内の子だった。でも、1年ぐらいして急にいなくなった。今、何してるのかなぁ。

    午後の最後の芝生、が一番好きです。こんな友人が欲しい。

  • 年末の引越し時、本棚の本を箱詰めしているときに気がついた。
    ありゃ!?あたし村上春樹買ってたんだ!?Y(・o・)Y
    なんと実に、24年にもわたって積ん読にしていたわけで。
    その間に数回にわたり引っ越ししているのに、そのたんびに奥にしまって存在を忘れたくっていたのだな。
    今回ばかりは目につくように、片付ける際、一番前に入れておいた。
    おかげで、読めた。
    氏の初の短篇集ということだ。
    ……、
    うーーーーん、なんて感想を書いてよいかわからない。
    こういう小説の感想は難しいわ。(^^;)
    何も感じなかったわけではないし、取り立てて嫌いなわけでもない。
    とりあえず…、長編も読んでみようとは思った。
    氏の“何に”世界がこんなに騒ぐのか?…を自分なりに感じるくらいまでは?

    追伸:この文庫を今買うと600円なんだな?
        私の黄ばんできた24年前の文庫は360円と書かれている。(^^;)

  • 著者初の短編集。
    『中国行きのスロウ・ボート』――「海」1980年(昭和55年)4月
    『貧乏な叔母さんの話』――「新潮」1980年12月
    『ニューヨーク炭鉱の悲劇』――「ブルータス」1981年3月
    『カンガルー通信』――「新潮」1981年10月
    『午後の最後の芝生』――「宝島」1982年8月
    『土の中の彼女の小さな犬』――「すばる」1982年11月
    『シドニーのグリーン・ストリート』――「海」臨時増刊「子どもの宇宙」1982年12月

  • 村上春樹の初期の短編小説七篇を収めている。
    「中国行きのスロウ・ボート」が一番かな?シドニーのグリーン・ストリートも好きだな。

  •  私の中にある、いわゆる村上春樹っぽい文章は、まさにこの「中国行きのスロウ・ボート」のような文章です。多分、今の文章とは全然違うのだと思いますが、私にはあまり違いが分かりませんし、最初にすり込まれたのがこんなイメージだったので、未だに私の中では、このタイプの印象です。

     短編はいいですね。読書のために短い時間しか取れなくても、中途半端なところでお仕舞いにならないのが短編のよいところです。反面、村上春樹の唐突な世界観が、長編だと何となく辻褄が合って終わってくれるのですが、短編の場合、辻褄が合わないまま終わってしまうこともあって、読み終わったときに取り残されたような虚しさを味わうことがままあります。

     この村上春樹の初めての短編集「中国行きのスロウ・ボート」が出版されたのが、1983年だそうです。私が村上春樹を初めて読んだのは「ノルウェイの森」ですので、その前にこの作品は世に出ていたことになります。まあ、高校生の私が読んでも、多分理解できなかったでしょう。今読んでも、よく分からないし(^^;。

     私が好きなのは、「中国行きのスロウ・ボート」「カンガルー通信」「午後の最後の芝生」「シドニーのグリーン・ストリート」、しっくりこなかったのは、「貧乏な叔母さんの話」「ニューヨーク炭鉱の悲劇」「土の中の彼女の小さな犬」といった感じです。

     「シドニーのグリーン・ストリート」には羊男が出てきます。僕がグレン・グールドのレコードを聴いているのもそれっぽくて素敵です。カンガルーもいいですね。

     ちょっとしたスキマ時間に、気分転換に読んでみるのに最適な一冊です。

  • ニューヨークの炭鉱の悲劇から面白くなってくるかな。

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中国行きのスロウ・ボート (中公文庫)の作品紹介

青春の追憶と内なる魂の旅を描く表題作ほか6篇。著者初の短篇集。

中国行きのスロウ・ボート (中公文庫)の単行本

中国行きのスロウ・ボート (中公文庫)の文庫

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