富士日記〈下〉 (中公文庫)

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著者 : 武田百合子
  • 中央公論社 (1997年6月18日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (483ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122028739

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富士日記〈下〉 (中公文庫)の感想・レビュー・書評

  • 下巻は昭和四十四年七月から昭和五十一年九月まで。

    「帰って来る家があって嬉しい。その家の中に、話をきいてくれる男がいて嬉しい。」
    この日記がどう閉じられるかわかっているだけに切ない一文。
    やんちゃな仔猫のタマが新たに家族に加わるが、
    反比例するように夫・泰淳氏は衰弱していく。
    それに伴い日記も飛び気味になり、内容も簡素になっていく。

    富士日記はどの本にも似ていない不思議な魅力がある。
    無邪気ゆえに毒があって、でも従順で献身的。
    読んでいるうちにどんどん武田百合子が好きになってしまう。

  • 私たちの日常はものすごく単純だ。毎日毎日同じことを繰り返すばかりで、一体どこに向かっているのか、いつ終わりが来るのか…そんなことを考えていると、もうどうしようもなくなってくる。だけど、例えば最愛の人との暮らしをテーマにおいて人生を眺めてみると必ず起承転結のドラマが出来上がる。誰の人生だって、必ずドラマなのだ。ハッピーエンド、アンハッピーエンド…。とにかく生きてる奇跡がドラマになっていくのだ。

  • 夫・武田泰淳を見送るまでの数年。自分の切なさや悲しさを描くのではなく、淡々と夫の姿を見つめている、そこにこの人の強さと美しさがある。

  • 終わりが近づくにつれ胸がつまってくる。

  • 日常、生活、というものの凄み。圧倒的、という言葉しか出てこない。感じるものはたくさんあるのに。なんだか震えてしまう下巻。

  • 剽軽で家族思いなんだけど気分やで扱いづらい典型的な昭和のお父ちゃんな武田泰淳氏とあっけらかんとした性格でよく喋りよく笑いよく怒る百合子さんの人並みにドラマチックで人並みに何でもない日々の記録がどんどん愛しくなってきます。ご主人の具合が芳しくなくなってくる。もちろんかけなかった辛いこと悲しいこと沢山あったのでしょうが百合子さんの文体からは悲壮感がなく、どこかコミカルささえ感じた。大岡さんと武田さんの心はいつまでも少年やりとりが楽しすぎる。食べ合わせ?な献立も素朴だったり豪華だったりする食卓も覗けて楽しい。

  • 再読。
    下巻は悲しいので、ついつい上、中ばかり再読しますがひさしく読み返しました。

  • 上巻にあります

  • この日記が武田泰淳の死をもって終わることを知っていて読んでいる下巻だから、読み進む間ずっともの悲しくって仕方なかった。お終いには山荘でなく赤坂の自宅で、死ぬ寸での泰淳の弱ってゆく様、一家の様子などが淡々と克明に書かれていて、電車の中でその部分を読んで、読了してしまって、こっそり目の淵に涙をじんわり浮かべたまま堪えて、急いで家に帰って身内でも死んだように泣いた。それを待ち望むように読み耽ったくせに、泣いたりして後ろめたい。
    身勝手で上品で猫のような百合子さんが大好き。

  • 大好きな作家の川上未映子さんがオススメしてて興味をもち、上中下巻一月位かけて読みました。


    武田さんの独特の感性が素晴らしいと思います!そして自由だな~と思う。
    その日の食事のメニューとか書かれてあるのですがどれも美味しそう。
    素敵な人だったんだろうな。

  • 繰り返し読み

  • 自由でみずみずしい感性を持った人なのだな、ということがよくわかる。「素敵女子」とか「おしとやか」とかとはおそらく程遠いところにいる人だけれど、素敵。
    自然の描写が鮮やかなのも印象的。

  • 三年間ぐらいかけて、上巻から少しづつ読みついできたが、ようやく読み終った。すでに多くの人が語っているように、武田百合子さんの独特の文才にはただただ圧倒されるばかりだ。

    下巻も終盤になると、夫、武田泰淳の体力の衰えと病への怖れなどについての表現をとおして、この夫妻の絶妙な人間関係を浮かび上がらせる。

    これで、文庫本収録の武田百合子さんの文章はすべて読み終えてしまった。作品集には、他の文章も入っているのだろうか?

  • ずっと読み続けてきたこのシリーズもいよいよ最終巻。

    自分の誕生日の日の記述は感慨深かったな。快晴だったそうな。

    あと少しで読み終わるところまで来ています。読み進めるのが惜しい…。

  • 読むと元気が出る。生命力に満ち溢れ大胆に日々の雑事をこなしているにも関わらず、自然や動物に対する優しく繊細な感情を持ちそれをシンプルでありながら心に響く文章につむぐことができる人。
    武田泰淳氏の口述筆記をこなしながら、自分の文体がそれに引きづられることが全くない、確固とした自分のスタイルを生まれながらにして持っていることがすばらしい。
    思ったこと、感じたことをここまで素直に表現できる著者のすばらしさは泰淳氏をひきつけてやまなかったことだろう。

  • 下巻 昭和44年7月~昭和51年9月まで

    大岡さんちのデデが二匹出産(メスだったのね)
    花子さん写真学校の合宿があったり、宿題で百合子さんをモデルに撮影したり樹海に撮影に行ったり。銀座に撮影に行って猫を拾ってくる(昭和45年11月)。玉と名付けられ武田家で飼われる。

    このタマが最初山小屋へ連れて行くと借りてきた猫のように脅えおとなしかったのに、次第に富士の自然に野性の血が目覚め、ねずみ・りす・もぐら・鳥などを狩猟し、息絶えるまでもてあそぶ。中には内臓が飛び出したものもあり、百合子さんが庭にせっせと穴を掘って埋めその始末した。作家で夫の泰淳さんは狩って来たら猫を誉めろと百合子さんに言う。が、自身は殺された生き物は苦手で、蛇を口にくわえたタマから逃れ、部屋に閉じこもってしまう。

    昭和46年10月の講演で泰淳さん、急にしゃべりづらくなる。今の時代、情報があふれるくらい手に入るので、これは脳梗塞を疑う症状だと多くの人が知っている。早期治療がより重要だとまだ認知されていない時代だったんですかね。この本を読んで今が如何に便利になったか、先人たちの失敗から多くを学び今の快適な生活があると、つくづく考えさせられます。
    これ以降でしょうか、ごはんが麦めしになり、47年6月に糖尿病で血管が弱って脳血栓ができたと書かれている。
    今まで百合子さんがたくさん食べ、限度を知らないからと泰淳さんに トラ と呼ばれていたが、泰淳さんも結構お食べになるんだとこの時点で初めて知った。

    山小屋で行き来している友人の大岡昇平さんも体調が芳しくないご様子。
    泰淳さんがなくなったのは51年の10月5日。日記は51年9月21日が最終になっている。症状が出てから約5年。飛び飛びに日記が書かれている。静かに静かに泰淳さんが弱って行く。日記からはそう感じられる。が、実際には文字にされなかったすさまじい戦いがあったんだろうと推測される。百合子さんのバイタリティあふれる性格でも大変だったろうと思うと心が痛いです。13歳も年下の百合子さんを泰淳さんは見下した感もあったが、泰淳さんの苦手な分野を補って、支え、まさしく百合子さんなくして泰淳さんの作家業は成り立たなかったと日記を読んで思う。

    てなことで、今まで読んだことのない武田泰淳さんの本をこれを機会に読んでみようと思います。

  • とうとう読み終えてしまった。ただただ寂しい。
    晩年の、段々と弱っていく夫武田泰淳の描写と、
    新たに家族に加わった猫の様子(これがまた天性のハンターである)の
    対比が一層際立っていた。
    この人の本をもっと読んでみたい。

  • 夫・泰淳の体調がどんどん悪くなっていく時期。
    それに伴い、日記の量も減っていく。
    最後は、夫が自宅で亡くなる。
    こんな淡々とした文章で、涙することもあるのかと思った。

  • この巻は昭和44年7月から昭和51年9月まで。巻の半分くらいのところで長女が銀座で拾って飼い始めた猫のタマが登場する。富士山麓の山荘での、もの、人、事が生き生きと活写されている。昭和47年の日記から夫である武田泰淳の病気や入院があり、記述が献立・天気のみ、それも無い文章になっていく。著者の不安と夫の世話で多忙になり日記をつける余裕がなくなってくるのと正比例するように。武田泰淳の日々の献立の食べ物の量は少なくなっていく。そして、この日記の最後の日付から一月経たないで武田泰淳が亡くなるのを鑑みるとしんみり。

  • 上巻から3巻読んでいるうちに 山荘の庭や家が変わり 周りの人や環境が静かに変わっていく様が なんとも言えない ゆるやかで優しい感じで流れていく。
    それとは逆に 筆者の力強くアクティブなのはスゴい…

  • 飯の美味しさ、重要さ。

  • 寂しさが漂っていて、なかなか読み進められなかった。

  • ビールが合いますよ!

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富士日記〈下〉 (中公文庫)の作品紹介

夫武田泰淳の取材旅行に同行したり口述筆記をしたりする傍ら、特異の発想と感受と表現の絶妙なハーモニーをもって、日々の暮らしの中の生を鮮明に浮き彫りにし、森羅万象や世事万端を貫く洞察により事物の本質を衝く白眉の日記。

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