扇子商法―ある船場商人の遺言 (中公文庫)

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著者 : 和田亮介
  • 中央公論社 (1998年1月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122030442

扇子商法―ある船場商人の遺言 (中公文庫)の感想・レビュー・書評

  • 「暑い時にはいっぱい開いて使うけれども、いらん時には小さくたたんでおくやろ。経営もこれと一緒、いつまでも続く好景気なんぞはどこにもあらへん。必ずつぎは不景気や。反対に不況いうもんは、必ず次の好況呼ぶもの。それやよってに、その時々にすぐ応じられるように、常から準備しとかんならん。ええ時はひろげ、わるい時はちぢめる。言ってみればわけないことやが、実はこいつがむずかしい……」

    「流行のバスに乗り遅れるナ」というのがあったが彼は、「あわてて満員のバスにのるアホはない。ボクやったらバスの行先、スピード、運転手の顔つき、乗ってる連中の顔ぶれ、席の空き具合までも確かめる。それに、バスはナニもそれ一台やないさかい……」

    「学問した人は、とかく結論先に出す、結局何もでけへん。商売は理屈じゃないよって、やってみなわからへん。何とかしようと努力し精出す、そこにおのずと道が開けて来るもんや」

    「それとナ、たいていの人はこれ商売したらナンボ儲かる。これボロイと思う。つまり儲けを先に考えるやろ。僕は逆や、ナンボの損ですむか、その計算先にする。下手しても、これくらいの損やったら別条ないと思った時、はじめて心を決めるんや。そうしとけば、いつだって左枕やないか」

    売り手にとって、値切らんと現金でエエ商品買いたい言うたら、これはありがたいにきまっとる。ますますいい商品つくったろかいと思うのは当たり前やろ。“利は源に在り”。まず売ってくれはるところのこと先に考える、これが第一や。そして今後はそのエエ商品を手形で売る。そしたら今度は買手がよろこぶ。二宮尊徳はんの“売手よろこぶ買手よろこぶ”というやっちゃ。その上にボクは、誰彼みさかいなく売ることは絶対せなんだ。全国一流エエとこばっかり。そやよって貰う手形もみな上等。銀行さんは安心してそれ割ってくれはるという、ざっとこんな筋書になっとるねん

    「人生一生のうちで、苦労する量は誰も同じや。ただ人によって、その苦労を人生の前半でするか、後半でするかの違いやろ。ところが前半の苦労と、後半の苦労とでは、同じ苦労でも、その結果はえらく違う。前半の苦労はクスリ、後半の苦労は毒になる」

  • 感動した。船場商人の知恵に満ち、人間性豊かな感情に満ち、真理に満ちている。和田さんの文章力、表現力、そして何より観察力と温かさが、気持ち良い。

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扇子商法―ある船場商人の遺言 (中公文庫)の作品紹介

暑い時(好況時)は大きく開いて使うが、不要時(不況時)には小さく畳める扇子のように企業経営を行うことが肝要、と説く「扇子商法」。その独特の経営理念を貫いた、祖父である創業社長の人生哲学や逸話を紹介しつつ、不況に動じない大阪商法の奥義を綴る。

扇子商法―ある船場商人の遺言 (中公文庫)の単行本

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