今夜は眠れない (中公文庫 み 32-1)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122032781

作品紹介・あらすじ

サッカー少年の僕と両親、平凡なはずの一家に突如暗雲が。「放浪の相場師」と呼ばれた男が、母さんに五億円を遺贈したのだ。お隣さんや同級生の態度が変わり、見知らぬ人からの嫌がらせが殺到、男と母さんの関係を疑う父さんは家出-相場師はなぜ母さんに大金を遺したのか?壊れかけた家族の絆を取り戻すため、僕は親友で将棋部のエースの島崎と、真相究明に乗り出した…。古川タクの描き下ろしパラパラマンガも収録。

感想・レビュー・書評

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  • H29.03.24 読了。

    続編「夢にも思わない」を先に読んでしまって、個人的にはいまいちだったものの、前作があると知って気になっていた一冊。

    正直、「夢にも思わない」「魔術はささやく」も楽しめなかったので、自分に合うかどうか不安だった。
    が、読んでみると、面白い!
    殺人事件ではないのに、ミステリー。斬新。

    中学生の気持ちを見事に表現できているかというと、そんな中学生いないよ、とは思うけれども。

    最後もすっきりと終わっていて、この二人のシリーズをもっと読んでみたくなった。
    が、二作しか出ていないのが残念。
    また、他の宮部みゆきさんの作品も読んでみたくなった。

  • 流石はストーリーテラーの宮部みゆきさんの小説!
    よくこの様なストーリーを思いつくなぁと感心しました。主人公は中学生の雅男君。と友人の島崎君。全く中学1年生とは思えないのだが…。
    お母さんも謎が多い。最後の章で全てが解き明かされるのだが…。

  • EaglesをYou Tubeで流しながら読みました。
    結局、お母さんがとても肝の座った人だったってことですね。
    島崎くんの推理が冴えすぎててそんなうまくいくかよ、とも思ったけれど、これがいわゆる「真夏の大冒険」かな(笑)と思って楽しく読めました

  • 久々の?宮部みゆき。読んでなかったなー多分!お母さんも知っていたというのはなかなか。最後の最後で何回かどんでん返し?みたいなのがありよかった。さすが宮部みゆき。

  •  ある意味ハッピーエンドとも言える、私が読んできた宮部作品の中で、最も後味の良い作品である。
     いつものように坦々とした序盤、急激に展開する中盤、意外などんでん返しがある終盤、しかし今回は、どちらかと言うとテクニックに走ったと言うか、著者が仕掛けに自己陶酔した感じと言うか、主人公とともに(読者が)置き去りにされた感じと言うか、著者にバカにされた感じと言うか?そうそう、宮部作品の魅力は、著者と読者が同じ側にいて、同じ問題に挑んでいるような感じなのに、この作品は、手品を見せられているような感じで、欲求不満になった。

  • おもしろかった!曲がり角が何度も何度も続くので、次はどんな景色が見えるんだろうとわくわくしながらあっという間に読んでしまいました。
    大人と子供の境界にいる主人公が、事件を通して逞しくなる…私の好きな、宮部さんの得意技が見られました。(でもそれをメインとしたお話は少ないんだよなあ…)
    親がする子供扱いとか、子供たちの世界とか、子供から見る大人(親)とかの描写がたまらん。
    ヒントをたくさん出してくれているので、自分でも謎解きしつつ読めます。
    しっかしお金は怖いねえ…

  • 『今夜は眠れない』 宮部みゆき (中公文庫)

    私が持っているこの中公文庫版は、たぶん初版だと思うのだが、かなり古いものである。
    今は角川文庫で出ていて、装丁もブルー系でかっこいい。
    今これ本屋さんには売ってないだろうな。

    続編「夢にも思わない」との二部作。
    緒方雅男&島崎俊彦の中学一年生コンビが活躍するミステリーである。

    雅男の母聡子が、突然、ある人物に5億円を寄贈されたところから事件は始まる。
    渦中の人となった緒方家の人々は、マスコミに追い回され、職場や学校で嫌がらせをされ、電話攻撃やらインターホン連打やら何やらかんやらで、大変な目に遭う。

    ゴタゴタの中、夫婦の溝は深まり、父親は家を出て行き、雅男は自分の出生に疑いを持つ。
    家族はバラバラ、えらいこっちゃ、なのであるが、その割にあんまり物語が暗くなっていないのは、雅男くんのあっけらかんとした、友達に喋るみたいな語り口調のおかげだろう。

    この物語は、主人公がサッカー少年だからか、「キックオフ」「前半戦」「後半戦」「PK戦」という構成になっている。
    最後の「PK戦」で、事件は大きく解決に向かって動き出すのだが、やっと真相が明らかになるのは、ラスト十ページである。
    もう、大どんでん返しのびっくりな結末でした。
    お母さんすごいわ!

    でも、これが本当にハッピーエンドかどうかは微妙だなぁ。
    まあ一応、家庭はまるく収まってめでたしめでたし、なんだけれども、騒動のさなかには結構みんなえらい目に遭ってたしさ。

    しかしながら、“賭け”というものは、得てして無茶苦茶なものなのだ。
    さすらいの相場師「沢村直晃」の大博打な人生は魅力的ですらある。
    人生の中で何かを“賭ける”ことって、そうあることじゃないもんね。

    この本は、古川タクさんのパラパラ漫画が付いていて、一冊で二度おいしい。
    暇があるとパラパラやっていたので、本はかなりくたびれてヨレヨレだ。
    今まで私は、本は汚さないように気を使って大切に読んでいたが、こういうふうにボロボロになるまで“使い込む”のも一つの本の楽しみ方だなぁと、目からウロコだった。
    第二弾「夢にも思わない」にもパラパラ漫画付いてますよ。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    サッカー少年の僕と両親、平凡なはずの一家に突如暗雲が。「放浪の相場師」と呼ばれた男が、母さんに五億円を遺贈したのだ。お隣さんや同級生の態度が変わり、見知らぬ人からの嫌がらせが殺到、男と母さんの関係を疑う父さんは家出―相場師はなぜ母さんに大金を遺したのか?壊れかけた家族の絆を取り戻すため、僕は親友で将棋部のエースの島崎と、真相究明に乗り出した…。古川タクの描き下ろしパラパラマンガも収録。

  • サッカー少年の僕と両親、平凡なはずの一家に突如暗雲が。「放浪の相場師」と呼ばれた男が、母さんに五億円を遺贈したのだ。お隣さんや同級生の態度が変わり、見知らぬ人からの嫌がらせが殺到、男と母さんの関係を疑う父さんは家出―相場師はなぜ母さんに大金を遺したのか?壊れかけた家族の絆を取り戻すため、僕は親友で将棋部のエースの島崎と、真相究明に乗り出した…。

  • 比較的初期の作品で、初出は1992年2月だそうです。

    同じように初期の作品、例えば、「心とろかすような―マサの事件簿(http://booklog.jp/users/hanemitsuru/archives/1/4488411010)」などには古さを感じることはなかったのですが、この「今夜は眠れない」はちょっと厳しいです。

    まずは、携帯電話。このお話のトリックの主要部分は、携帯電話があるとほぼ成り立ちません。中学生でも6割以上がスマホを持っているらしい現在では、「携帯が全く普及していない頃のお話」であることは頭でわかっていても、どうにも話の展開がまどろっこしくてなりません。
    その他、中学生とハンバーガーショップには行っていきなりタバコを吸い出す刑事…この15年で喫煙に関する常識はずいぶん変わったことを改めて思い知ります。今だったらあり得ない行動ですよね。相続した遺産の5億円も、今となっては微妙に少ないかも。

    そして、何より、ものの考え方。…何と言えばいいのか、モラルとか、常識とかが今のものとはずいぶんかけ離れているように思えます。結婚前に自分以外の誰かと付き合っていたのではないかと夫婦で揉めること、現在進行形で浮気をしている夫の気持ちを確かめること、棚ぼたで遺産相続を受けた一個人の名前や顔が週刊誌に晒されること…いずれも、今ではちょっと考えられないようなことです。
    携帯などの道具立てが古いのはまだ「頭でわかる」ことができますが、ものの考え方…文化、って言うのでしょうか、それが違うともうお話に入り込めません。

    ところで、この本は中公文庫と角川文庫の両方から出ています。自分が読んだのは、表紙イラストが初出と同じ古川タクで、さらに「パラパラ漫画」がついている中公文庫版です。何となくちょっとだけ得をした気分になれます。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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