夢にも思わない (中公文庫 み 32-2)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 84
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  • Amazon.co.jp ・本 (399ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122034136

作品紹介・あらすじ

秋の夜、下町の庭園での虫聞きの会で殺人事件が。殺されたのは、僕の同級生のクドウさんの従姉だった。被害者には少女売春組織とのかかわりがあったらしい。無責任な噂があとを絶たず、クドウさんも沈みがち。大好きな彼女のために、僕は親友の島崎と真相究明に乗り出した…。中学生コンビの推理の行方は!?好評の古川タク描き下ろしパラパラマンガも収録。

感想・レビュー・書評

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  • 宮部さんの登録を数えたら49冊目。この本は古い本のせいなのか、中学1年生達の事件簿なのか、読み終わるまで2ケ月以上も掛かってしまった。
    本の体裁は左下にパラパラ漫画が載るという不思議な本。4パターン程あるが、特に感慨は・・。
    サッカー部の主人公の緒方と将棋部の島崎は親友同士。緒方が好意を寄せるクドウさんが事件に巻き込まれる。事件を解決に導こうと二人は深みに嵌って行く。その過程で緒方とクドウは交際することになる。
    甘い青春の思い出となるような小説なのだが、結末に待ち受けるのは残酷な事実。甘い気持ちが一気に苦くさせられてしまった。やはり宮部さんの描くものはすんなり行かない。

  • 再読。1997年10月単行本上梓。1999年5月文庫化。中学年達の推理と捜査のお話。しかしこの中学生達は偉い。携帯もない彼らはソロモンの偽証に出演して活躍したスーパー中学生達と通じるものがあります。なるほど、この話は、中学生シリーズの原点なのです。面白かったです。

  • 中一の僕が恋したクドウさんの従姉が殺された。
    何故殺されたのか?
    絡む売春組織に暴力団。僕はクドウさんのために奔走する。

    子供向け?なのかなと思わせるようなところがあるけれど、主人公たちが高校生くらいだったらもう少し理解できたかも。
    どんでん返しではないがそういった二点三点するのが多くて、人物が多すぎたのも中途半端かも。
    文章自体は読みやすいし、どうなっているのかと言うのも気になってつい読み進められる作品でよかった。

    下のぱらぱらもなくてもいいんじゃないかな。ページ数が増えるだけな気がする。

  • …島崎って、こんなキャラだっけ?なんか、もちっと、いかにも「頭がいいお子様」っていう感じだったような気がするんだが…
    まあいいや。印象の問題でしょう。今回は、同級生とのやりとりがわりと多かったからね。

    実は、どきっとした。
    クドウさんは私だ
    私はクドウさんなのだ
    クドウさんほどいい子ではなかったと思うけど、
    「自分はいい子だから」
    「自分はいい子に見られたいから」
    「怒られるのが恐いから」
    ただそれだけで、自分の責任や罪を他人にすりつけたり、責任転嫁をする

    うわ やなやつ

    というより

    人としてしてはいけないことでしょう
    そんなのはいい子でもなんでもない

    クドウさんの気持ちはわかる
    すごくよくわかる

    でも

    絶対やってはいけないことなんだよ

    と、自分を省みて、自分に言いきかせる

  • 前作「今夜は眠れない」に比べるとちょっと重い内容になっている。
    でも、今回は島崎くんがすごくかっこよかった!

    『夢にも思わない』 宮部みゆき (中公文庫)


    前作と同じく、語り手は緒方雅男くん。

    ご近所の公園「白川庭園」で毎年行われる「虫聞きの会」で、殺人事件が起きた。
    殺されたのは、雅男が思いを寄せる同級生「クドウさん」の従妹、「森田亜紀子」だった。
    捜査が進むにつれ、亜紀子とクドウさんの関係や、亜紀子の生きてきた世界のことが、少しずつ明らかになっていく。
    すっかり元気を失くしたクドウさんを励ますために立ち上がった、雅男と島崎だったが…。

    今作で作者は、この仲良しコンビに大きな試練を与える。
    “分かりあえない”という初めての経験にギクシャクする二人。
    島崎の気持ちが見えないまま、真実に近づくために雅男は一人で行動を起こす。
    このあたりの展開、もうドキドキです。

    島崎が守りたかったもの。
    雅男が守りたかったもの。
    少年たちの真っすぐな気持ちに感動します。

    物語の最後、雅男にとってショックな事実が発覚する。
    大人なら、そりゃまあ仕方ないだろう、で済むことを、彼はどうしても許せなかった。
    そして、大切なものを失う道を選択する。
    ああ、なんて真っすぐで融通のきかない若さ。

    “人”の成長も堕落もきちんと描く宮部さんはすごい。
    事件の結果はもとより、事件を取り巻く“人々”の生きざままでを見事に描ききる。
    容疑者の父親が、駅のベンチで、焼きそばパンを口に詰め込みながら泣く場面が切なかった。

    被害者にも加害者にも同様に優しい眼差しが向けられていて、これから先、彼らはどんなふうに生きていくんだろうと思わずにはいられない余韻を残す描き方は、宮部みゆきならではではないだろうか。

    ラストシーンがまた素晴らしい。
    きっと雅男が乗り越えようとしている悲しみの半分は、島崎が引き受けていたに違いない。

    クールで知的で女の子にも結構モテてかっこいい、メガネ男子の島崎くん。
    なのに、古川タクさんの表紙の島崎くんがカリメロみたいで、まあそれはそれで心が和んだのでよかった。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    秋の夜、下町の庭園での虫聞きの会で殺人事件が。殺されたのは、僕の同級生のクドウさんの従姉だった。被害者には少女売春組織とのかかわりがあったらしい。無責任な噂があとを絶たず、クドウさんも沈みがち。大好きな彼女のために、僕は親友の島崎と真相究明に乗り出した…。中学生コンビの推理の行方は!?好評の古川タク描き下ろしパラパラマンガも収録。

  • 読後感がとにかく苦い。その結末を求めるために彼らは進んでいたのかと思うと。苦く感じた気持ちはそのまま主人公たちと重なる。

  • (2017-02-19)

  • 秋の夜、下町の庭園での虫聞きの会で殺人事件が。殺されたのは、僕の同級生のクドウさんの従姉だった。被害者には少女売春組織とのかかわりがあったらしい。無責任な噂があとを絶たず、クドウさんも沈みがち。大好きな彼女のために、僕は親友の島崎と真相究明に乗り出した…。中学生コンビの推理の行方は!?

  • 僕とクドウさんを高校生ぐらいに設定して欲しかった。中一では現実感が伴わなくて読んでる最中へなへなとなってしまう。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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