物語が、始まる (中公文庫)

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著者 : 川上弘美
  • 中央公論新社 (1999年9月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122034952

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物語が、始まる (中公文庫)の感想・レビュー・書評

  • 川上弘美さんの小説のなかなら「蛇を踏む」以来の奇妙な作品群。
    はっきり言うとすごく変。笑
    けど癖になるし、妙に惹かれてしまう。

    雛型と人間の恋「物語が、始まる」、幸運の座敷とかげと主婦たちの日々「とかげ」、迷い込んだ奇妙な猫屋敷「婆」、姉妹が父親の本家の墓を探しておかしな世界に迷い込む「墓を探す」。
    さらっと説明しただけでも奇妙さが溢れてしまう短編集。
    最初2つのお話は読み物としても面白く、「物語が、始まる」は切なさもあり、「とかげ」は妙にエロティック。
    だけど後半2つのお話は、ぼんやり読んでいると物語に置いてきぼりを食らう感じが。何がどうなってこうなっているのか…考えてもどうしようもない類なのだけど、集中して読まないと置いていかれる。

    「蛇を踏む」を読んだときもなんじゃこりゃ!と思ったけど、今回も似たような感想を持った。こういう発想って、一体どこから生まれるのだろう、という感嘆。
    心地好い気持ち悪さ、というのが私のなかではしっくり来る表現。
    同じ著者の作品を読んでいてもたまにこういう出逢いがあるから読書はおもしろい。

  • 雛形を拾うことで、物語が、始まる。
    生きながらえることとはまた違う、物語の始まり。

    ーーーーー

    ときどき、私と本城さんの会話は、こうなってしまう。たぶん、何か大切な一語一文を、私たちは抜かしてしまっているのだ。

    ところどころに大きな平たい穴が開いたようなものーー
    歩いていると、私だけが穴に沈み、話しかける本城さんの膝くらいの位置に頭があるようになる、しばらく私は本城さんの膝に向かってあれこれ話しかける、膝は笑ったりのほほんとしたりして、存外普通に会話をかわしてくれる。

  • 本書に収録されている4編(表題作、「トカゲ」、「婆」、「墓を探す」)を読んでの印象は、大人専用の童話、というものだった。子供向けに書かれた童話が大人にも効く、というのはたくさんあるけれども、大人だけが読むことを許された童話というのは珍しい。

    初めて読んだ川上弘美作品だが、わたしが勝手に抱いてきたイメージとだいぶ違って、けっこうブラック。もっとのほほんと、ほんわかした感じなのかと思っていたんだけど。でも、そのブラックさが逆に魅力となっていて、なんだかこの世界から抜け出せなくなってしまったような変な錯覚に陥り、冷や汗が出るのに癖になりそうなんである。

    まず、表題作は、男の「雛形」を公園で拾い、それを育てていくという話。三郎と名づけた「雛形」との生活。これはどう捉えたらよいのだろうかと悩みながら読んでいたら、いつのまにか読了していた。

    そして、同じマンションに住むマナベさんから、幸運の黄色い座敷トカゲを分けてもらうという「トカゲ」。門柱の陰から手招きされて、吸い寄せられるように入っていった婆の家で、するめを噛みながら恋人鯵夫の話をしてしまう「婆」、姉の元へ死んだ父が訪れ、先祖と同じ墓に入りたいと言うので、姉妹二人で先祖代々の墓を探しに行く「墓を探す」。

    どれも、コワイ。恐いんじゃなく、怖いんでもなく、コワイ。だから、なんとなく可笑しくて、ちょっと寂しい。ここが、大きな魅力なのだ。実際に自分の生活の中でも起こりそうな、でもありえない、でも身近な、ちょっとだけのぞいてみたいような、本当に不思議な感覚を残す。おもしろい疑似体験をさせてもらった。

    本書は、著者のデビュー作ではないけれど、デビューして最初に出た本。次はどんな話が待っているのか、すごく気になる。ほんと、わたしの中で、物語が、始まってしまった。(2006.3.24)

  • 短編4作を収録しています。

    「物語が、始まる」は、主人公の女性が公園の砂場で男の「雛型」を拾い、育てる話です。やがて「三郎」と名付けられた雛型と彼女との間で少し奇妙なラヴ・ストーリーが展開されていきます。

    「トカゲ」は、マナベさんという近所の主婦から、幸運の「座敷トカゲ」を授かったカメガイさんの話です。トカゲはヒラノウチさんの家に預けられ、急速に成長していきます。

    「婆」は、主人公の女性が一人の老婆に手招きされ、彼女の家で奇妙な時間を過ごす話です。最後の「墓を探す」は、寺田なな子が、父親の霊に促された姉のはる子に付き添って、先祖の墓を探す話です。

    著者の作品には、どこか現実感の欠如した不思議な味わいの物語が多いのですが、本書に収められている作品は、とくにそうした印象が強いように感じます。といっても、ファンタジー作品のロジックに従って世界観が構築されているわけではなく、むしろ現実を支える骨組みが脱臼されてしまうような感覚に陥ってしまいます。

  • 夢や幻のような世界なのに何処か現実味を帯びていて不思議。 動いて話せる男の雛形を拾った主人公との共同生活のなかで産まれる愛を描いた 表題作「物語が、始まる」がとても切なくで温かくて素敵な気持ちになった。 その他、幸運の座敷トカゲをめぐる三家族の不気味な話「トカゲ」、突如、手招かれて入った家には謎の穴があった「婆」、先祖の墓を探す姉妹を描いた「墓を探す」今回の短編集はいつも以上に好きな世界観だった。

  • 物語が始まる と 墓を探すが 好き。
    これって川上さん 初期の頃の作品なのね。

  • いつの間にかぐにゃりぐにゃりと夢見てるみたいな変な世界に踏み入る。

  • 「物語が、始まる」「トカゲ」「婆」「墓を探す」

  • 本当の意味での自意識を雛形が持ち
    自分のもとから去ったとき、
    物語は始まる。
    雛形とは何であったのか、自分自身なのかもしれない。
    ゆき子は誰かに影響されながら変化していくれど、
    三郎は独自の変化を遂げているように感じる。
    誰かと関係することでしか自分を認識することはできないけれど、そうすると形成した自分はいなくなってしまう。

  • 川上弘美の小説を読んだ後は、いつも現実とそうでないものとの境界が曖昧になったような心地がする。
    それも、最初の話ではそうならず、読み進めて行くほどに何が何だか分からなくなる。
    ストーリーは理解できるのに、何か確かだったものが不確かになって行く。
    そんな感覚を味わいたくて、彼女の小説を読んでいる気もする。

  • 面白いけど・・・!
    で、どうしても止まってしまう。

    作品世界は濃密だけど、如何せん生かせるだけの実力がなかったように思えて仕方ない。
    柔らかい雰囲気だけど、それを裏付ける核がないから、とてもアンバランスで、それが味になる前に生まれてしまった気がする。

    芥川賞受賞前の作品、というのも一理ある気がした。
    他の作品も読んでみたいけど、再読はないかなー。

  • 表題作を含めて4つの物語を収録。いずれも、この作家らしく、日常に非日常がさりげなく紛れ込んでくるという構成。あいかわらず、とぼけた味わいだ。しかし、うまいなあ。この奇妙なリアリティは捨てがたい。雛型がリアルな(?)恋人よりも重いのだから。 この人の場合は想像力というより、もうほとんど空想力という感じだ。幻想というのとも、また違うし、本当に独特のの世界を見せてくれる。

  • 難解、というのともまた少し違う。
    とてもわかりやすい言葉で綴られているのではあるが、ぶっ飛んでいる。
    こういうのも才能の一つだろうな、と思った。
    個人的には最後の「墓を探す」が好き。
    姉に親戚や父親がどんどん憑依することを、するりと受容している妹が、小気味よく面白い。

  • 表題作は面白かった。柔らかい文章で読みやすいけど、内容は難解。どれも不思議な短編。独特の世界観でふわっとした何かが語られていく感じ。雰囲気がすごいけど、そこからは何回か読みこまないと理解できなさそう。
    本編とは関係ないけど、解説が見当外れと言うか性的な解釈しかなくて気持ち悪かった。どれも濃密ではあるけど、そんなに淫靡な話じゃなかったと思うなあ。

  • グッドな短編ばかり。

  • ちょっと不気味な感じがした。

  • 表題作が良かった

  • 川上ワールド全開の作品。入れない人ははいれない。最後のがよかったなぁ。

  • 初期。
    初期よりも、最近の方がすきだなぁ。
    古臭くて、かっちりした、濃い緑の、晴れ間の現れない、日常。
    そんなかんじ。
    気になるけれど、引き込まれるけれど、最近の柔らかいことばたちがあまりにすきなもので。

  • 表題作は、せつない。
    他のお話もこの人らしいふしぎな感触だった。

  • 同じ作者が書いた「神様」がとっても気に入ったので、他の本も読んでみました。
    結果、うーん…
    表題作、「物語が、始まる」は面白かったけれど、他はちょっとホラー?がかっていて、私には少し合わなかったみたいです。
    神様の、くまさんのお話の方がほのぼの、少しせつなくて好きです。

  • 「雛型を手に入れた」「男の雛型である」「生きている」。
    主人公ゆき子は公園で拾った雛型を持ち帰り、育て始める。成長した雛型は雛型ではなくなったので、三郎という名前をつけた。しかし、三郎が現われてから、恋人本城さんとの仲が何だかおかしくなってきた。一方、三郎は人間ではないのに、ゆき子と三郎はいかにも恋人らしくなってくる。
    雛型のくせに三郎はいい役を演じている。けっこう切ない。表題作の他、「トカゲ」「婆」「墓を探す」の三篇を収める。ちなみに「婆」は芥川賞候補にもなった作品。
    この四篇を続けて読むと、人間の輪郭がぼやけてくる。肉体の輪郭というべきか。木の周りを回りすぎてバターになっちゃったトラの気分。

  • 川上弘美さんが、母と同い年であることを、この本で知った。

    母はノンフィクションしか読まない。
    なんとなく、あの年代の人はみんなそうなんだと思ってた。

    けど、ずいぶん違うんだなぁ。

    毒のあるファンタジーっていうか。


    最初の表題作は、眠る前に読みました。

    すぐ次の話に行く前に、しん、として、本を置いて、あの人に電話しようかなぁーどうしよぅかなぁーとか考えながら、寝ました。

  • 川上弘美さんを知ったのは芥川賞受賞作の「蛇を踏む」がきっかけやけど

    あの独特の世界観が濃密。。不思議で混乱するのに好き。
    著者近影を見たら癒し系の美人さんだし。どんな顔してこれ書いてるのか。ますます謎。

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