堤中納言物語―マンガ日本の古典 (7) 中公文庫 (中公文庫 S 14-7)

著者 :
  • 中央公論新社 (1999年10月18日発売)
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122035270

作品紹介・あらすじ

平安びとの円熟した機知とユーモアをうかがわせる日本最古の短篇物語集。毛虫をこよなく愛するお姫様を主人公とした「虫めづる姫君」、悲劇から一転、めくるめく展開の末に喜劇として幕を閉じる「はいずみ」など、シンプルなタッチで軽妙に描く十篇。平成九年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 虫愛づる女の男気はとりかへばや物語の女君を連想させる。
    女らしさ、男らしさに特に縛られている当時。
    お歯黒などしていない虫愛づる女の方が圧倒的に現代から魅力的である。
    しかし、現代であってもやはり虫を愛で、飼い慣らしているような女は好まれない。
    個人的にはあまりにも絵がポップすぎて古典特有の風情を感じられる描写が少なかったようにも感じた。
    違う漫画も試してみようと思う。

  • 巻末に「解(ほどき)中納言物語」という解説がついていますが、これがめちゃくちゃおもしろいのです。いにしえの京の様子ですとか、しきたりですとか、なぜになんでもかんでも勝負事にしちゃうのかとか。呼ばれてもいないのにしゃしゃり出てくる「虫めづる姫君」の嬢ちゃんも可愛いです。

    古典とだから「まじめ」なわけじゃないということがよ〜くわかりました。

    なお、びろうな話で申し訳ありませんが、我が家のrest roomに常備している漫画です。

  • 虫めづるなんかもぴったりなんだけど、よしなしごとみたいな物語は坂田さんに合いすぎる
    坂田さんの余白の美が中世文学と相性いいんだな

  • 意外にも短編集だった。
    滑稽な話も多い。時代はさまざまで、統一的なコンセプトが何なのか気になる。
    印象に残ったのは、
    「虫めづる姫君」と「はいずみ」の二つ。

  • 坂田靖子さんの作品『堤中納言物語(1999)』を読了。

  • 平安時代の平均寿命を思うと
    そりゃ人生は儚くなっちゃうわ

    思はぬ方〜の貧乏姫の扱いがかわいそうだけど
    現実そんなモンなんだろうなあ
    最初から好きも嫌いもない男に
    いいようにされて
    畜生道に落されて
    将来容貌が落ちたらすぐ捨てられる
    六条の宮の姫君だ

    作者は大好き

  • 面白い話もあるが、原典においてすでに分かりにくいものがあるようで、現代のストーリー展開を基準に読むと???が広がる。

  • 『雨月物語』と同じときに『堤中納言物語』も借りてみた。河出で最近出てる池澤夏樹が編集しているシリーズで、川上さんや江國さんが書いている本にこの話があり、内容をほとんど知らなかったので。
    しかし、まんがでもわかりにくくて、ちょっとずつ読んでた。絵柄的に人の区別がつきにくかったからかも。

    落ちがあるようなないようなワンエピソードな感じ(この部分を描きたかったんす!みたいな感じ)。昔からこんな感じの物語があったんだなぁって思った。

    最後の解説「解中納言物語(ほどきちゅうなごんものがたり)」が役立ちました。

  • 堤中納言物語のコミックス。作者の絵と雰囲気が原典とよく合ってると思う。

  • 坂田靖子+堤中納言物語=極上の娯楽。
    「伊平次とわらわ」シリーズでも、古典と漫画の緩やかな融合を見せている坂田氏の、作品に流れる呑気さと一抹の狂気がとてもたまらない。

    原典がもともととても面白い「堤中納言物語」であるが、やはり古語で書かれているものを読もうという気はなかなか起きないものである。
    坂田氏はその敷居の高さをひょいと越えて、親しみやすく可愛らしくとぼけた人物たちを生き生きと描いている。古典が苦手だった人に手に取ってほしい。
    杉浦日向子女史が江戸時代からやってきたような作風だったのに対し、坂田氏はまるで平安時代の女流作家さながらである。時代を切り取る眼がしっかりしている。しかし、19世紀ロンドンを舞台にした「バジル氏の優雅な生活」など、ヨーロッパを舞台とした作品も数多く描き、それらもまた時代や土地の空気をあっさりと描ききるその作風が不思議である。もちろん現代ものも面白い。
    どこにいても変わらない人、というのが坂田氏にぴったりくる。

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著者プロフィール

大阪府高槻市出身、石川県金沢市在住。1975年、『花とゆめ』掲載の「再婚狂騒曲」でデビュー。以来、白泉社、小学館など幅広い雑誌で活躍。英国を舞台にした作品のほか、さまざまなファンタジーや日本の怪談・説話を素地にした作品も多い。『闇夜の本』『バジル氏の優雅な生活』『マーガレットとご主人の底抜け珍道中』『水の森奇譚』『芋の葉に聞いた咄』『磯の貝に聴いた咄』『堤中納言物語』『伊平次とわらわ』など多数。

「2008年 『王朝貴族のおまじない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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