- Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122035928
感想・レビュー・書評
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初めて読んだ北村薫氏の作品がこれでした。あとでミステリマニアの友人に「冬のオペラから入るのは珍しいんじゃないか」とつっこまれましたが、その後色々読み漁った事を考えると、肌には合ったようです。
なるべくしてなった名探偵とよく出来た書記という取り合わせ、という北村氏にとっては安定感抜群の登場人物と、複数の挿話にまたがり流れる穏やかな通奏低音。どこまでも上質な文章。確かに北村作品の良さがぎゅっと詰まった作品です。
それにしても登場人物の生々しさというか、いやらしさというか…依頼人と名探偵をくっつけようとしたあゆみサンがいっそ痛々しいです。ある意味彼女の成長物語でもあるわけで、シリーズ化すれば「円紫師匠と私」シリーズのような深みが出てくると期待されるのですが。続編、出ないものでしょうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今更のように読んでいなかったこの作品を読んでみた.もう20年も前の作品で,ちょうど「円紫師匠と私」と「覆面作家」の間くらいのテイスト.希薄なようで深いようにも感じる人間関係,厳しい現実をやさしく美しい言葉で書いているのは変わらず.続編がなかったのは今一つ受け入れられなかったのだろうか.個人的には読んでみたいのだけど.
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名探偵にしてフリーターとして生計を立てている巫弓彦と、記録係を勤める私が遭遇した3つの事件について。
産業スパイについての『三角の水』、盗まれた蘭を取り返す『蘭と韋駄天』は日常の謎に近い身近な事件。
表題作『冬のオペラ』は殺人現場に残されたダイイングメッセージの謎を解く。
イメージする北村薫の世界。
二十年近く前の作品だけど文章も綺麗だし流れるよう。
ただ最初の二作が、最終話の前座としても、事件・犯人共に卑俗で情緒がない。
『冬のオペラ』も重みが足りず、全体として薄い感じがした。
最後の数ページのためだけに存在している作品というのも悪くないけれど、謎の部分以外がいいというのもミステリとしてどうだろう。
塩気が足りない感じ。 -
名探偵・巫(かんなぎ)弓彦と姫宮あゆみ、この二人のキャラクターをベースに展開する謎解き。スマートな展開。
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20120118読了
#季節 -
名探偵 巫弓彦 と 姫宮あゆみの短編3編。
北村さんの作品には珍しい、殺人事件の起こる表題作。 -
短編と中編から成る一冊。京都が舞台の美しく悲しいオペラ作品をみるかのようなミステリー作品でした。
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叔父の不動産事務をし働く姫宮あゆみは同じビルに入った名探偵事務所の記録係を申し出る。
「三角の水」同僚佐藤の妹が大学院で企業に研究情報を漏らしていると嫌疑がかかる。
「蘭と韋駄天」春蘭という変わり咲する珍しい蘭を手に入れたのに盗まれた、犯人はあの人に決まっているのにアリバイがある?
「冬のオペラ」あゆみは叔父にボーナスがてら京都旅行をプレゼントされる。そこで椿と再会するが、椿の務める大学の教授が殺される事件が起こる。
どちらかというと人情もの? 温かい。
しかしこの作者二十歳前後の女の子とおっさんという組み合わせしか書かんのか