ハネムーン (中公文庫 よ 25-3)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (166ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122036765

感想・レビュー・書評

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  • 可愛い装丁とタイトルから想像していたものと違った。
    まなかと裕志のハネムーンにまつわる物語。複雑な事情があり、まなかと家族同然になった裕志。
    大切な人の悲しみに寄り添い一緒に乗り越える話、不思議な空気感でした。ぞくっと、えっ、とした描写もあるのですが、ストーリー性というより、吉本ばななさん(だからこそ)が書かれたい世界観なのだと伝わるものがありました。
    自分がこの世にいることを肯定してくれて、安心して身を任せられる存在があることの素晴らしさを感じました。
    この作品では釜揚げうどんが出てくる(無性に食べたくなった)。食べるそして生きる。
    ひとつひとつの場面を味わい、背中を押されているよう。重い荷物を降ろし、これから新しい生活が始まる、二人といつか飼う愛犬と穏やかに楽しく。ただそこに居るだけで満たされるという、そんな気持ちになりました。

    取り返しがつかないことがいくらあっても、生きていくしかないということだけを、人は言うことができる。

  • 庭に座る
    生と死
    夢をみる
    深く眠る
    宗教
    旅行

    若い二人なんだけど
    どこやら年寄りじみてて
    微笑ましい
    死と生って重たいものが
    鮮やかに透明感を持って描かれる
    イラストも素敵

    読んだことあったかどうかあやふやになって
    本棚探したけど見当たらず
    Amazonで手にいれました
    うん、やっぱり読んだことなかった

  • 「苦しみはやってきたのと同じ道のりで淡々と去っていく。 」


    ユニークな家族構成を持つ二人の男女のリリカルでふんわりとした空気の中での痛い、心が痛くなるような切ない物語。

  • 時間がすぎるということはなんてつらいこと
    少しずつゆっくりとまざりあっていく
    忘れたくないこともなにもかも すべて



  • 裕志が繊細でナイーブで痛々しかった。少し前に身近な人が死んで裕志と同じ情緒になった時、もう少ししたらまた大切な人が死んでしまうんじゃないか、怖くて恐ろしくてビクビクしながら生きていた時を思い出して辛かった。
    そんな中で、吉本ばななの表現のところどころでグッと来すぎて心がいっぱいだった、、。
    うーむ、うまく感想書けない

  • 読んでいると鼻がツンとしちゃうんだけど、でもやっぱり読み進めたくなる心地の良い物語が紡がれていてすごく好きな本でした。
    図書室で本当に何となく手に取った本だけれど、出会えて良かったです。読んだ後、思っていたよりも古い本でびっくりしました。

  • 吉本ばななさんの思いや伝えたいことが表れている一冊なのだろうか。
    イルカの壮大な景色を人間に写しているところがすごいと思った。なんだか心にぐっとくる表現があって、ああやっぱり吉本ばななが好きなんだなと思った。
    彼女にしかない言い回しだったり喩えが本当に好きだ。
    世界を高いところから自分が神様になったかのような視点で見る経験をこの本の終盤にわたし自身、した。
    壮大なスケールで物事を、この世界を見れた気がする。

    こういう気持ちを、こういう本を読んだ時にすごいとしか表現できないのが悔しい。
    自分の、自分だけの言葉で表現できるようになろう、


    涙が流れました。
    終盤のオリーブのところで、。

    「たった一匹の小さな犬なのに、今になってこの人生にオリーブが、人生の中でとても大きい存在に驚く。」

    「そんなに長くは生きない小さな犬に生きる力をもらったものもいる」




    「あんまりにも心がひまだったので」という表現がすき。

    心がひまー心が忙しい
    新しい言葉。


    心がいっぱいで、胸がいっぱいです。

  • よしもとばななさん、この人の美しいものに対する感覚はとても共感できて、泣きたくなる。
    この本読んで、やっぱりそうやと思えた。

    離婚とか不倫とかの話が小説にはよく出てくるけど、私にはそういうことはやっぱりわかんない。
    子どもやからかな。
    でもわかりたくもない気がする。

  • おそらく初めて、吉本ばななさんの本を読んだ。その名前からなぜかポップな印象で(さくらももこ的な)敬遠してきたが、それが本当に勝手な思い込みだったことに気づけて良かった。
    まず、描写がとても丁寧で優しくてあたたかい。文中の言葉を借りれば、はっとする表現や視点がたくさんあった。登場するまなかも浩志も、素直で純粋で、こんな風に物事を考えたり言葉にしたりできたらと思った。二人はずっと共に育ってきたのに、何度も相手の必要性を感じたり、愛情を受けたり、そういったことに一度きりはないのだと感じた。それはすごく幸せなことで、置き換えられることがたくさんある気がして、つまりは自分はいま幸せなのだと思った。こんなにも心をむぎゅっとされた本は初めてかも。すごく良かった。

  • 大好きな作家 吉本ばななさんの「ハネムーン」
    お昼には読み終わったのにズルズルと、気付けば今も内容を引き摺っていて身体半分蝕まれたみたいで笑いずらい、バットエンドではないのにもやもやして、苦しい。この本は柴田聡子さんの曲に似てる

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著者プロフィール

1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年『キッチン』で第6回海燕新人文学賞を受賞しデビュー。88年『ムーンライト・シャドウ』で第16回泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞、95年『アムリタ』で第5回紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞(安野光雅・選)、2022年『ミトンとふびん』で第58回谷崎潤一郎賞を受賞。著作は30か国以上で翻訳出版されており、イタリアで93年スカンノ賞、96年フェンディッシメ文学賞<Under35>、99年マスケラダルジェント賞、2011年カプリ賞を受賞している。近著に『吹上奇譚 第四話 ミモザ』がある。noteにて配信中のメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」をまとめた文庫本も発売中。

「2023年 『はーばーらいと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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