草の上の朝食 (中公文庫 ほ 12-3)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122037427

感想・レビュー・書評

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  • 前作プレーンソングよりも主人公の思索めいたものが増えたためか、個人的には前作より面白く読めた。ちょっと癖になるような不思議な読み味。
    なんとなく今泉力哉監督作品に通じるところがあるなーと思うので好きな人は読んでみてほしい。特にゴンタの考え方とか興味のあり方とか、今泉作品に限らず映画好きな人は面白く感じるかも。
    ちなみに、主人公が勤め人なのにほぼ仕事してないのにリアリティがないとの評に対して、本当に自分はこんな感じだったと作者が後書きで書いてたので、私はあの時代の西武百貨店に勤めたくてたまらなくなりました。

  • 前作『プレーンソング』よりも更にとりとめなく、記述は時に綿密さを目指し時に思弁を連ねる。私は野郎なので、保坂和志が書く女性を遂に女性の立場から読めないという限界がある。だからなのか、ここで展開する「工藤さん」や女子高生たちの描写を女性(いやもっと厳密に言えば「フェミニスト」)が読めばどう考えるのか興味を抱く。裏返せば、もちろんマッチョというわけでもないのだろうが男同士のゆるいホモソーシャルなつながりとそれを慈悲深く見守る女性の織り成す共同性こそが保坂の作品世界なのではないか、と思いそこに魅力と危険を感じる

  • 『プレーンソング』の続き。といっても特に内容は前と変わらず、ニートたちとひたすら日常を生きる様子が書かれる。自分の行為に意味づけしたり、価値のあるものとして暮らすより、意味のない会話や行為に興じたほうが人生を楽しめる気がする一冊。

  • 前作『プレーンソング』に引き続き空気感が素晴らしい。いいなあ。こういう人間関係を築けたらなあとしみじみ思う。一人一人が自分の持っている感性を自由に開放していて、それを他の人が誰も否定しないところがいい。アホらしくて笑っちゃうような考えや、意外な切り口の感心してしまうような言葉が多様な登場人物たちから次々と出てきて、それが面白い。「人種のサラダボウル」みたいな印象を覚える小説だ。とても好き。

  • 保坂和志「草の上の朝食」http://www.chuko.co.jp/bunko/2000/11/203742.html … 読んだ。おもしろかった「プレーンソング」の続きだと読み始して気付いたけど、これはいま一つ。なぜだろう?たぶん世界観や認識に関する表現が少なかったからかな。恋愛に未来はない、はおもしろい。この人の文章が好きだなあ

  • 『プレーンソング』の続編に、恋の要素が入ってきたけど、恋が恋じゃなくて、心地よかった。

    P263 …ぼくが飽きっぽいことを知っているゆみ子は、
    「あのねえ」
    と、一度ぼくの注意を呼び戻してから、
    「よう子ちゃんは未来なのよ」
    と、飛躍したことをまた言った。

    …「だから、未来っていうのは現在を肯定することよ」

    …「だって、恋愛に未来はないじゃない。ーーかといって、現在の肯定もないじゃない。恋愛には、ただただ現在の自分の不安定な状態を確認する気持ちしかないんだもん」

    …「恋愛より豊かなものがいっぱいあることを知っている子がいるのね。恋愛が一番なんて思うのは、子ども向けの映画や小説の悪い影響よ」

  • 前作より好き。
    この小説をより楽しむために前作がある感じ。

    読了 2014.05.12

  • 淡々とした物語の運びや、噛み合ってるんだか噛み合ってないんだかな会話に、ゆるい空気感が良かった。
    そして、何より描かれてる猫がかわいかった。

  • 日常を描かせたら天才

  • 「プレーンソング」を読み終えたら続きを読まないと。
    やっぱりイイな。

    1993 年 第 15 回野間文芸新人賞受賞作品。

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著者プロフィール

1956年、山梨県に生まれる。小説家。早稲田大学政経学部卒業。1990年『プレーンソング』でデビュー。1993年『草の上の朝食』で野間文芸新人賞、1995年『この人の閾(いき)』で芥川賞、1997年『季節の記憶』で平林たい子文学賞、谷崎潤一郎賞、2018年『ハレルヤ』所収の「こことよそ」で川端康成文学賞を受賞。主な著書に、『生きる歓び』『カンバセイション・ピース』『書きあぐねている人のための小説入門』『小説の自由』『小説の誕生』ほか。

「2022年 『DEATHか裸(ら)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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