愛について (中公文庫 い 97-1)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122037991

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  • 西洋思想史における「愛」というテーマを概観するとともに、現代において「愛」が可能かという問題を提出している本です。

    著者は、アリストテレスの実践的三段論法を逆転させて、現代社会には「目的や価値の論理から手段や力の論理への移行」がさまざまな局面で起こっていると指摘し、「愛」もこうした危険性に直面しているのではないかという問題を投げかけています。ただ、それにつづいて展開されている、「エロース」と「アガペー」に代表される西洋における「愛」の理解についての説明は、おおむねオーソドックスな紹介にとどまっており、本書のなかで著者が提起している現代において「愛」は可能かという問題と、それほど密接にリンクさせられていないように感じました。

    著者自身の「愛」の理解がやや古典的で、現代における「愛」をめぐる具体的な問題と、あまり接点がないように思われるところに、すこし不満を感じました。

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著者プロフィール

1922年東京に生まれる。東京大学文学部哲学科卒業。パリ大学、ヴュルツブルク大学講師を経て、東京大学名誉教授、聖トマス大学客員教授。哲学美学比較研究国際センター所長、国際形而上学会会長、国際美学会終身委員、エコエティカ国際学会会長。1996年より1999年まで哲学国際研究所(IIP、パリ)所長。著書『同一性の自己塑性』(東京大学出版会、1971)、『美の位相と芸術』(東京大学出版会、1971)、『東西の哲学』(TBSブリタニカ、1988)『エコエティカ』(講談社学術文庫、1990)、『知の光を求めて』(中央公論新社、2000)、『愛について』(中公文庫、2001)、『ダンテ『神曲』講義』(第25回マルコ・ポーロ賞受賞、みすず書房、2002、改訂普及版2004)。編著に『講座・美学』全5巻(東京大学出版会、1984-85)などがある。

「2017年 『ダンテ『神曲』講義 改訂普及版【新装版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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