マンガ日本の古典 (24) (中公文庫 S 14-24)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122038059

感想・レビュー・書評

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  • 悲恋短編集のような物語。不倫をすれば磔に処される時代の話。なぜ不倫に走ったのかよく分からない者もいたが、そのような理屈では説明できない気持ちにほだされて行動してしまうのが同感されるのだろうか。

  • 作者は井原西鶴。実際の事件を元に、恋を貫いて身を滅ぼした女性五人を描く。夫ある身だったり未婚で相手との身分の違いがあったりで、最後は処刑や自殺など悲劇的な結末を迎える。「好色」というと多くの相手と恋愛をする男性を思い浮かべるが、ここで言う好色は恋愛に生き、死んでいった人のこと……?
    相手の男が若衆(少年)を好んでいたので、男装をして男のふりをして迫った女性がすごい…… 相手の男も出家した身で、その女性とと契っちゃうし。間違って不義密通したり疑われただけだったりする話もあったので、昔の女の人は大変だなと思った。

  • 井原西鶴といえば『好色一代男』と『日本永代蔵』ですが『好色五人女』のマンガです。レディコミタッチの漫画家は牧美也子さん(松本零士さんの嫁でもある)。
    好色(色好み)っていうと女好きという意味だけど、実は違うようです。「流行に敏感でセンスが良く、口の利き方も洒落ていて、人への気遣いも洗練されており、教養があって、三味線やその他の音曲や絵画などの芸術・芸能の能力も高く、恋心についてもよく理解できる」という意味だそうです。(勝手に引用。http://tarsan.txt-nifty.com/official_note/2008/07/post_c7d6.html

    五人女だから五人の女の実際の事件に基づいて脚色した恋愛物語です。

    其の一 姫路・但馬屋お夏
    色男の清十郎にお夏が手紙を渡し、恋に落ちる。
    花見にまぎれて二人は駆け落ちするも、忘れ物をした飛脚のために船が戻り、捕まる。さらに、店のお金を盗んだ濡れ衣で清十郎磔の刑。
    清十郎が広巾の帯の中に恋文をくけ込んで芯にしている描写に、へ〜っとおどろいた。(そういう習慣があったと注釈有り。)

    其の二 江戸・八百屋お七
    これはお七が寺にいる好きな人(吉三郎)会いたさに火事を起こすという有名なお話だけど、お七が好きになった吉三郎が16歳と若く、お七が夜中に部屋にしのんで来たというのに、「和尚さまがこわい」と最初逃げ腰というのが意外だった。(お七も同い年だけど積極的!)
    お七は放火の罪で鈴が森刑場で火あぶりに。
    吉三郎はお七を弔うべく僧侶になり、目黒あたりにお寺を建てた。

    其の三 京・大経師(だいきょうじ)暦屋おさん
    人妻のおさんが旦那が幕府の御用で江戸に行っている間に、女中のりんが手代の茂右衛門に恋をする。りんの代わりにおさんが恋文を書くが、茂右衛門が軽くあしらったためおさんが激怒! りんの寝床を訪ねた茂右衛門と誤って関係を持ってしまう・・・というお話。二人は駆け落ちするけれど、見つかって処罰される。
    ちなみに大経師は朝廷の経巻や仏絵などを表装したり、暦を発行したりできる名家だったとのこと。

    其の四 大坂・樽屋おせん
    樽屋に嫁いだおせんは幸せに暮らしている。ある日、麹屋長左衛門の家の法事に行った際に、麹屋の女房から不倫を疑われる。それがきっかけで長左衛門がおせんを意識し、おせんも復讐しようと逢い引きするも、樽屋が目を覚ましおせんは自殺する。

    其の五 薩摩・琉球屋お万
    お万が恋をするのは、武家姿をしている源五兵衛という両替商の息子。しかし源五兵衛は衆道(男色)で八十郎という恋人がいた。八十郎が死んで、源五兵衛は出家して山にこもる。(しかし、別の男にも恋をして死なれる。)
    お万は若衆に化けて、源五兵衛の元を訪れる。最初に念書を書かせてから、自分が女であることを打ち明け、二人は睦まじく暮らす。
    最後は、桜島が噴火して二人死亡というかなりびっくりな展開。笑

  • 姫路などを舞台とした作品です。

  • 井原西鶴の作品。「好色一代男」のほか「好色一代女」「好色五人女」があると知り、すさまじいタイトルに敬遠していましたが、「好色五人女」はどれも実際に起こったスキャンダラスな事件をベースにしていると聞いて、それがどのように脚色されて浮世草子となったのか、興味を持ちました。

    とはいえ原文は敷居が高そうなので、入りやすいコミックを読んでみます。
    「好色」という言葉に連想される「好きもの」とは違う、愛のために死に至るヒロインたちのやるせない悲劇が展開されます。

    不義密通の罪を犯し、姦通罪で裁かれる彼女たちは、読んでいて哀れ。
    アンハッピーエンドばかりで、気が滅入りますが、当時はそうした悲しい話の方が好まれたのでしょうか。

    4つの話は悲劇的な結末ですが、「恋の山源五兵衛物語」だけハッピーエンドでした。
    登場するのは、出家した男色趣味の男を好きになってもめげずに男装して彼に接近して還俗させる、おまんというヒロイン。
    パワフルな激しさに圧倒されます。
    いろいろな形はあれど、みんな「恋に行き、恋に死ぬ」情熱的な女性たちだなあと思いました。

    この漫画家は、以前「サロメ」コミック版も読んだことがあります。名作を漫画化している人なのでしょうか。
    古めかしい絵柄ですが、それが古い物語にマッチしています。

  • 古典って敬遠してたけど、マンガならすんなり読めた。
    いつの時代も男女関係のスキャンダルはあって、人々がゴシップ好きなのも変わらないのですね。

  • 心中モノはどれもせつない。

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著者プロフィール

牧美也子

神戸生まれ。1957年(昭和32年)、単行本『母恋ワルツ』でデビュー。同年より、月刊少女誌「少女」「少女クラブ」「少女ブック」に掲載開始。67年に発表された人形「リカちゃん」は、当時の牧作品『マキの口笛』『りぼんのワルツ』『銀のかげろう』などのキャラクターからデザインされた。週刊少女誌、ジュニア誌を経て、68年頃から一般誌、週刊青年・女性誌へ執筆の場を移し、新聞、小説誌などの連載イラストや装丁も手がける。74年『緋紋の女』により第3回日本漫画家協会賞優秀賞、75年『星座の女』により第10回カナダモントリオール国際コミックコンテスト第1位、89年『源氏物語』により第34回小学館漫画賞を受賞。『恋人岬』は映画化、『熱愛』『悪女聖書』は連続テレビドラマ化された。

「2021年 『ワイド版 マンガ日本の古典24 好色五人女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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