最終戦争論 (中公文庫 B 1-11 20世紀BIBLIO)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (124ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122038981

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  • 最終戦争論 19 34 35 53 64 75 77

  • 日本の未来を見据えて、今を動かそうとする思考の勢いを強く感じられる。世界の情勢を深く分析し、日本国民性も隈無く考慮した戦略論。今の日本を考えるには、実はぴったりな作品なのかもしれない。

  • なぜ日本陸軍が満州を欲し、華北を欲し、東南アジアを欲したのかその始まりの理由がわかる。
    彼らはトーナメントが存在すると思い込み、かつその参加権を日本が手にするべきだと思っていたのだ。

    ひとつになった世界は科学による恐怖の支配が想定されている。
    とんでもなく早い航空機が跋扈し、大量殺戮兵器が睥睨する世界であろうと。
    それだけでは倫理も道徳も無い無機質な冷たい世界に感じる。
    そんな世界に天皇による御心が加われば、
    精神的にも科学技術的にも完成された世界統一が成し遂げられると思っていたのかもしれない。
    石原にとって日本によるトーナメント制覇こそ理想の完成だった。

  • 1940年の講演がもととなっている本書であるが、戦前の日本人が将来をどのように予想していたか(どこまで予想できていたか)がわかる有益な書である。

  • 121年前の1889年1月18日山形県で生まれた大日本帝国陸軍軍人、最終階級は中将。

  • メモ
    英国は第一次欧州戦争の勝利により、欧州諸国家の争覇戦に於ける全勝の名誉を獲得しました。しかしこの名誉を得たときが実は、おしまいであったのです。まあ、やれやれと思ったときは東洋の一角では日本が相当なものになってしまった。それから合衆国が新大陸に威張っている。もう今日は英帝国の領土は日本やアメリカの自己抑制のおかげで保持しているのです。英国自身の実力によって保持しているのではありません。(p.42)



    どうも、ぐうたらのような東亜のわれわれの組と、それから成金のようでキザだけれども若々しい米州、この二つが大体、決勝に残るのではないか。この両者が太平洋を挟んだ人類の最後の大決戦、極端な大戦争をやります。その戦争は長くは続きません。至短期間でバタバタと片が付く。そうして天皇が世界の天皇で在らせられるべきものか、アメリカの大統領が世界を統制すべきものかという人類の最も重大な運命が決定するであろうと思うのであります。即ち東洋の王道と西洋の覇道の、いずれが世界統一の指導原理たるべきかが決定するのであります。(p44)

  • 真の世界平和のためには、犠牲を厭わずそれこそ全力での戦争をしなければならない。そ、そんな…。もちろん賛成はしかねるけれど、完璧主義的に平和ってものを考えて、真摯に戦争の意義を考えるのであれば、こういう結論になるのかも。だからこそ戦争をしなくてはならない、になるか、だからこそ戦争はしてはならない、になるか。その部分だけが結局賛成しかねる部分なんだろう。いまの世の中の戦争ってのは、結局石原莞爾ほどの真剣味を持たずにやっている。だからこそ、なんだかもっと罪深い気さえする。

    気に入った部分の引用
    「皆さんの中にも、秀才と秀才でない人がありましょう。けれどもたいした違いではありません。ナポレオンの大成功は、大革命の時代に世に率先して新しい時代の用兵術の根本義をとらえた結果であります。天才ナポレオンも、もう二十年後に生まれたなら、コルシカの砲兵隊長ぐらいで死んでしまっただろうと思います。」

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