島津義弘の賭け (中公文庫 や 44-3)

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  • 中央公論新社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122039094

感想・レビュー・書評

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  • 江戸時代、国内の中で、さらに鎖国のように国を閉ざしていた薩摩藩島津家。幕府やその前の豊臣政権に対しても、非協力的というか、反抗的だったかといえば、そんなことはなかった。 
    中央の政権に対して、特に島津義弘は、さまざまに気をつかっていた。
    しかし、それに対して協力しようとしない当主であり、兄である島津義久や家臣たちとの関係に悩むことになる。
    よくできた小説のように面白いが、全て資料の裏づけがあり、歴史の勉強になる。
    島津家と豊臣政権、例えば石田三成との関係、徳川幕府との関係などは、著者の独壇場だろう。
    歴史小説に飽きた人にも、おすすめの一冊である。

  • 豊臣政権は“総帥”の義久よりも、弟の義弘の方を「九州の薩摩や大隈に在る島津の代表者」というように遇する。豊臣政権の時代以降、大名は「政権の膝元に赴いて、色々な役目をこなして政権に尽くす」ということを求められ始めたのだったが、島津家でそういう役目を担ったのが義弘だったのである。

    この義弘は、兄の義久らとの間で「政権の指令への対応」を巡って、その“温度差”にかなり永い間悩み続けることになる。或いは本書は『島津義弘の賭け』というよりも「島津義弘の苦悩」という感さえ抱く。彼らの書簡などを丹念に紐解き、それらの内容もふんだんに取り入れながら、正しく「肉声が聞える」ような調子で、様々な挿話に彩られた島津家の物語が語られている。

    非常に興味深い一冊!!

  • 関が原前後の義弘関連の史実文書をまとめた本。
    見やすくて分かりやすいです。

著者プロフィール

1957年、岡山県生まれ。東京大学文学部国史学科卒業。文学博士。東京大学史料編纂所教授などを勤めた。1992年『江戸お留守居役の日記』で第40回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。著書は『寛永時代』(吉川弘文館)、『日本史の一級史料』(光文社新書)、『歴史をつかむ技法』(新潮新書)、『流れをつかむ日本の歴史』『武士の人事』(角川新書)など多数。NHK Eテレ「知恵泉」を始め、テレビやラジオにも数多く出演した。2020年逝去。

「2022年 『角川まんが学習シリーズ 日本の歴史 全16巻+別巻4冊定番セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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