本に読まれて (中公文庫)

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著者 : 須賀敦子
  • 中央公論新社 (2001年11月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122039261

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本に読まれて (中公文庫)の感想・レビュー・書評

  • 気になる人と、読みたい本がいくつもあった。

  • 随分前に読んだ本。棚を整理していたらでてきたので追加。

  • 書評集。文章に著者の知性と教養がにじみ出ている。そして、著者が本との出会いを大切にしていることがよく伝わってくる。

  • 須賀敦子さん、ずっと気になっていた。何から読もうか、須賀敦子という名を目にするたびに考えていたんだけど、書店で目にしたこちらの装丁がすごくツボだったし、書評好きなので購入した。

    比喩に理念が絡まっていて(一読では美しいけれども見逃しがち)すごくかっこよくてあたたかい文章だった。

    還暦超えてもデュラスにときめけるのか、ちょっと長生きしたいななんて思った。

  • 大好きな須賀敦子さんの書評集なるものがあると聞いて借りてきた。思えば最初に教科書か何かで須賀敦子の文章に触れ、短い章の中に生半可なるものを感じ手に取ったのが「遠い朝の本たち」というこれも須賀さんの小さなころの読書体験を綴った本だったと思う。
    静謐な中にも人生への暖かで豊かな眼差しに溢れた須賀さんの文章は読んでいると自分の身体が浄化されていくような気すらする。本作は色々な雑誌に須賀さんが寄稿した書評を集めているのだが、これが「只の書評ではない」のだ。数行で人の心を掴む静かで正確な筆致。例えばこうだ。

    「仕事のあと、電車を途中で降りて、都心の墓地を通りぬけて帰ることがある。春は花の下をくぐって、初冬のいまはすっかり葉を落とした枝のむこうに、ときに冴えわたる月をのぞんで、死者たちになぐさめられながら歩く」

    佐野英二郎の「バスラーの白い空から」という本の書評の書き出しなのだが、およそ書評の書き出しとも思えないむしろエッセイのそれだ。しかし実際にこの後に続く文章を読んで、この本を入手してしまったということからも書評としての強度も備えているということなのだろう。軽々と時空を越えていくこのエッセイ的書評集を読んだ後では、なにより須賀敦子の本をまた読みたくなってしまった。

  • 人に本をすすめるという難業を
    かろやかに文章に乗せている
    いつかその本に出会えるような余韻たっぷりに

  •  残念ながら、出会うのとほぼ同時に、亡くなられたことを知ってしまったのだけれども……。(※98年死去)

     一体どれだけ深い喜びと感謝を感じていることか分からない。須賀敦子という人が綴った、正しく呼吸する文章を見つけたこと。選び抜かれた言葉が連ねられた、その静謐な文体を通して、本当に読むべき文学を示唆してもらえたこと……。

     のちに、須賀敦子さんというのは翻訳家で、また、イタリアライフを流麗な文体で綴ったエッセイストなんだよ、というのを知ることになった。しかしどういうわけか、私が真っ先に接したのは彼女の体験談ではなく、書評、文学作品に関するエッセイだった。

     書評における主役は、とりあげる著作品、あるいはその著者。だから須賀さんは常に主役に光を当てて、ご自身の立ち位置を若干ずらしている。けれどもその光の当て方に、まぎれもなく須賀敦子としか言いようのない「あの感じ」が滲んでいる。磨き抜かれた感性だけが出す、あの感じ……。

     その感じは、私を緊張させる。書評を読むにも襟を正さなくちゃと思う。きちんと正座しなくちゃと思う。そんな経験は、そうそうできるものではない。

     須賀敦子の書評は、澄み切った文章で一切の押しつけがましさなしに、その本の良さを伝えるものだ。殊に、新聞に掲載されていた書評の透明感は瞳を凝らすほど。
     一冊の本を紹介する、抑制の効いた短い文章。それだけなのに、知的なするどさに触れた、ナイフの刃にさわったようなひんやりした感覚がある。一編一編が美しく完成されているせいかもしれない。もちろん、その緊張感が気持ちいいのだけど。

     選書は、バロウズ、ヴェイユ、世阿弥、そして池澤夏樹へと続いていく。世界中を駆けめぐる自由さも大きな魅力。この文にもっと身を浸していたいような感覚は、評された本を自分も読んでみたいなという気持ちへと、ゆるやかに移行していく。

     期待に胸をふくらませて、作品を手にとる……。すると、一冊たりとも外れがない。恐ろしいまでに高い信頼性も、須賀書評の凄さ、するどさである。

  • 須賀敦子さんの書評集です。ウィリアム・モリスのテキスタイルを使った装丁が美しく、そのまま持って歩きたい1冊です。書店の書棚を見上げたら目にとまりました。守備範囲はイタリア文学からフランス文学、ラテンアメリカ文学…といわゆるロマンス諸語の世界の文学が中心です。かといってそこに固執するわけではなく、現代アメリカ文学まで幅広く読まれているご様子です。ラインナップは古典から学術書、文芸まで幅広く紹介されています。日本の作家の作品では池澤夏樹さんのものが数篇取り上げられていることからみれば、骨太ながらも詩情豊かな作品がお好みのよう。私には池澤文学のルーツもわかるおまけとなりました。もちろん、ただお好きな本を並べてほめそやすわけではなく、ピリッとした批評眼も効かせておられ、しかもそれが嫌みではないんですよね。洗練、というのでしょうか。ヨーロッパ伝統の慇懃無礼さを感じないわけではないですけど(笑)。見返しのプロフィールを見て、あの年代に特有の、良質の教育(何をもって「良質」とするかはきちんと説明できないので、あくまでもマイ感覚的に:苦笑)を受けられた女性文学者が持つ、香気を含んだ筆致に納得することしきりです。この筆致は田辺聖子さんの書評に通じるかな…とも思います。もっとも、田辺さんのほうは国文学がホームで、もう少しロマンチック転びの作品がお好みのようですが。男性であれば、この気品は間違いなく『背教者ユリアヌス』の辻邦生さんのものでしょう。取り上げられている本にひるみながらも手を伸ばしたくなるのはもちろんのこと、須賀さんの書評をもっと読んでいたい気分にさせられるのか、ゆっくりページを繰りたくなる本ですので、この☆の数です。

  • やはり好きな作家について書かれているとうれしくなります。紹介されている本が読みたくなって本屋へ足を運んだりしました。思い入れのある一冊。

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