戦争概論 (中公文庫 B 14-3 BIBLIO S)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122039551

感想・レビュー・書評

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  •  とかく”戦略論”と言うとクラウゼヴィッツを挙げる人が多く、私も彼を挙げるのにやぶさかではないが、ジョミニもかなりの重要人物であると思うのだが余り知名度は(一般には)無い。それは、クラウゼヴィッツとジョミニの立脚点の違いにあると思われる。ジョミニは『戦争概論(中公文庫版)』序章の冒頭でこう書く。
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    戦いの術(art of war)というものは時代の如何を問わず存在していた。中でも戦略は、シーザーの時代でもナポレオンの時代でもそれほど変わりはなかった。
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     しかし、クラウゼヴィッツは、”戦略”というものは現実的なもので、精緻な理論はそぐわない、と言う。
     個人的な感覚としては、大局を掴むという点ではクラウゼヴィッツかもしれないが、目標(戦争でいう「戦略正面」)が定まったところでは、ジョミニの考え方も充分に適応できるように思っている。非常の大雑把であり、誤解を恐れずに云えば、クラウゼヴィッツは「経営者向き」で、ジョミニは「指揮官向き」であると云えるのではないだろうか。
     又、ジョミニが戦略を論じる際に、ロジスティック(軍事で云う兵站)を同時/並列に述べている事は、この本を理解しやすいものにしている。この本は皮肉なことに先に海軍で翻訳されたという(1903年に海軍大学校で出版された『兵術精髄』に摘訳が盛り込まれている)。
     クラウゼヴィッツが状況を『動的』に表現するのに比べて、ジョミニは『幾何学的』に表現する。こういう考え方は艦隊対艦隊による決戦が中心であった当時の海軍には極めて親和性が高かったと推察できる。クラウゼヴィッツについて述べ始めると長くなってしまうので別の機会にするとして、ジョミニの理論は、未開拓市場への進出を考えるときに、直接参考になることはない(そもそも"戦争"をしているわけではない)が、数多くの示唆を与えてくれるのは間違いない。

  • ちょっと読み進むだけで太平洋戦争批判本かと思えた。太平洋戦争に当てはめると個人的には分かりやすかった。
    つい、戦前読んどけよ、海軍。と思ったが実際、教本として部分訳されていたのか。後の海軍大臣の八代六郎氏は絶賛して読めと言っていたようだが。
    陸戦はあまり分かってないが海戦なら…って、マハンも影響受けていたのか。

  • 随分積読をしたままだった本。じっくり読みたいなっていうのは言い訳だろう。

    読んでいて鳥肌が立ったのは、そもそもこれが書かれた時代はいつかということ。
    イラクも大日本帝国も、アメリカもヒトラーも、全部この本に書いてあるやっちゃダメ!的なことを踏んでいる。ジョミニが死後の世界の戦争を見たら、何と言ったろうか。

    この本を読んだ後、仕事で上司や偉い人の動きを見ていたら、負ける方向でしかないし、彼らの下す結論も、彼らのそうであってほしいという要素が多分に含まれていることが見えてしまって、萎えている。
    これからは話半分で彼らの弁を聞いていよう、とか、戦争概論の悪用(笑)

    そんなことはさておいて、近隣諸国が揺れ動く中、下手に報道を見たり、自称専門家の意見を眺める前に、こういう本を読んだ方がいい。
    そうすると、もっと怖い世界が見えてくる。発表されない怖い事が透けて見えてくるようで、目を反らしたくなるけれども。

  • 戦闘に勝つための具体例が記されたHow to本です。

  • クラウゼヴィッツの『戦争論』と並ぶ、ジョミニの『戦略概論』の文庫です!
    ちょっとわかりにくくても、解題もあるし、同世代の兵法家と比較した解説もあって、ベリグー!

  • 『戦略は直観に従う』で批判的にではあるが取り上げられていたので読んでみた。が、『直観』で批判していたような感じには読み取れなかった。不勉強だからかもしれないが。まぁ、引用だけで判断するのはやっぱり危険だなっていうのが分かりますね。

  • 戦争に対した戦略、戦術に関して述べられた名著。

    過去の歴史から一般的な戦略、戦術があるというのがベース。例として戦史をあげるが、名前と場所のみなので私にはわからず。

    イラスト入りで解説してくれないかしら。

  • クラウゼヴィッツと同時代の著作,本書の序論でクラウゼヴィッツにも触れている。
    戦争についての大局観やクラウゼヴィッツだけではない戦争論が同時代に論じられていたことを意識すべき。

  • クラウゼヴィッツに並ぶ近代戦争研究家の著作。とにかく基本が書かれている。そのために戦争に詳しくない人間が読んでも納得させられる。名著。

  • 図書館に在庫なし。

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