- Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122039735
感想・レビュー・書評
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この作品は、1997~2001年に書かれたものだ。
1945年生まれの著者の年齢を重ね合わせると、著者が52~56歳位の時に書かれた作品になる。
中国を舞台にした作品は、うん十年という年月の間、手にしていない。
漢字が多くなり、読むのに少々疲れるというのが大きな理由か。
まあ、情けない理由である。
この春風篇では、
秦と趙との間の交換約束(璧と15城の交換)において、秦の嘘を見抜いた藺相如の活躍が書かれている。
この活躍が、完璧という言葉の由来だとか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
少年呂不韋が、いたたまれない環境の家を出て、様々な人と関わって、困難を乗り越えながら成長し出世していく。周囲の厳しさ冷たさ、そして優しさがとても良い。人の「器」という事をとても考えさせてくれる。激動の中での人の生き様というものを本当に劇的に読ませてくれて、胸にぐっとくることがとても多い。読むと元気になる。何度も読み返しています。宮城谷さんの作品の中では、これが一番好きです。
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紀元前3世紀中国戦国時代に、秦の始皇帝の父・荘襄王を擁立させた、呂不韋という人物の生涯を描いた作品。荘襄王が趙の国に人質となっていたとき「奇貨居くべし(価値のあるものだ、手に入れるべき)」といって跡継ぎにした。
呂不韋はもとは商人の家の子で学もなく何もないまま家を出るが、旅の途中で和氏の璧という宝を拾ったことから人生が変わる。趙、楚の上の人と知り合いになり、荀子という師にや唐挙という有名な人相見や孟嘗君と出会い、人々を助け、助けられながらやがて王の宰相となる。人とは何か、人を知るとはどういうことか、と常に問いかけながら私欲なく生きてきた生涯が胸を打たれる。 -
呂不韋、13歳。なんとなく悪役のイメージがある呂不韋なので、今後の展開が楽しみ。気になる女性キャラも何人か登場。
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呂不韋の一生を描く。
第1巻の春風篇は、その少年時代。
みずみずしい筆致がすばらしい。 -
<文庫全5巻を通してのレビュー>
秦の始皇帝の父ともいわれる呂不韋。
一商人から宰相にまでのぼりつめたその波乱の生涯を描く。
多くの食客を抱え、『呂氏春秋』を編んだということ以外、多くの謎に包まれた呂不韋に、澄明な筆致で清明を与え、みごとな人物像を作り上げた、六年半に及ぶ大作。
賈人の子として生まれ育った呂不韋が、様々な人との出会いを通じて己を高めていき、苦難を乗り越えるたびに大きく成長して秦の宰相にまで登りつめる話です。
呂不韋が出会う人々がまた魅力的で、「青雲はるかに」を読んだときには嫌悪感しか感じなかった魏冄にすら、尊敬の念を覚えてしまう。
見方を変えると人物像が全然違うということですね。
「人のために」という生き方を徹底させた呂不韋が魅力的で、だからこそ周囲に集まる人々も魅力的であり、孟嘗君を彷彿させるものがあります。
「呂氏春秋」を編纂させた呂不韋には、始皇帝の実の父であると言う話もありますが、最後には服毒自殺を遂げざるをえなかった・・・・・そこが残念であり、もっと綺麗な終わらせ方をして欲しかったです。
全体的には面白い話ですが、もう少し奥行きが欲しかったかなぁと思うのは贅沢かもしれませんね。
◆奇貨居くべし◆
奇貨とは、珍しい品物。利用すれば思わぬ利益を得られそうな事柄・機会。
《呂不韋が趙に人質になっていた秦の王子子楚を助けて、あとでうまく利用しようとしたという「史記」呂不韋伝の故事から》
珍しい品物は買っておけば、あとで大きな利益をあげる材料になるだろう。得がたい好機を逃さず利用しなければならない意にいう。 -
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私の中では「キングダム」あっての呂不韋だが、これはこれは興味深い!
「答えを自分のなかに用意していない問いには、真摯さをそえて答えるべきである。そんなささいなことで、人は信用を積んでゆくのである。」 -
秦の始皇帝の父といわれる呂不韋の少年時代のおはなし。読後、同著者の作品『孟嘗君』を読み始める。秦が中国統一をする前、戦国時代が面白い。