行為と妄想 わたしの履歴書 (中公文庫)

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著者 : 梅棹忠夫
  • 中央公論新社 (2002年4月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (343ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122040069

行為と妄想 わたしの履歴書 (中公文庫)の感想・レビュー・書評

  • 月曜日に祇園祭の後祭を見てきました。祭の由縁を教えてくれた人がこの祝祭にとっても京都にとっても町衆(ちょうしゅう)の存在の大きさに触れていました。そいうえばかの梅棹忠夫の学問も京都の町衆文化によって育まれたのではないか?と思い出しページを開きました。この巨人の周りにはそうそうたるコミュニティが生まれていてそれが梅棹忠夫の最大の創造なのではないか、と改めて仰ぎ見ました。近衛ロンドを始めとする数々の知のネットワーク。それが「みんぱく」につながります。彼の「行為と妄想」はそんなコミュニティによって実現可能になっています。ものすごいロマンティックなリアリスト。それにしても「行為と妄想」っていい言葉!

  • これまた、たまたま図書館のリサイクル市で見つけた本。しかもサイン入り。(本物だろうか?)梅棹先生の本はいままでに読んだことがなかった。講演会には10年以上前に参加したことがある。印象に残っているのは黒いめがねだけ。本書は自伝なのだけれど、文句なくおもしろい。本当にすごい人だ。若い頃の探検ももちろんだけど、歳をとられてからも、大阪万博や民族博物館の創設をはじめたくさんの大きなプロジェクトの中心的な役割を担っておられる。たくさんの文章も書かれているし、眼が不自由になられてからも、まだまだやり足りないという感じで精力的に動かれている。最後には「日本語のローマ字化」運動にもう一度注力したいともおっしゃっている。しかしどうしてこうも自伝というのはおもしろいのだろう。人の人生を自分のこととして楽しめるからだろうか。自分にはできないけれど、こういう生き方もあるのか、と感じることができるからだろうか。とにかく、今西錦司先生はじめたくさんの有名人が登場するのがまたおもしろい。梅棹先生がもともとは動物学教室にいて、河合雅雄さんはそこの学生さんだったなんていうのもおもしろい。梅棹先生の本をいまからでもあらためて読んでみようと思う。(ここから始まったんだなあ。2015現在)

  • 生態学・文明学・情報学と、さまざまな分野を渉猟した著者の自伝です。

    世界各地でおこなった数々のフィールド・ワーク、動物生態学から独自の文明論の構築への歩み、国立民族学博物館をはじめとする文化事業への関わり、晩年の視力の喪失などが語られており、「学者」という枠には収まらない著者のスケールの大きさをうかがい知ることができます。

    中でも興味深いエピソードは、京都大学の動物学研究室で学生の卒業論文の指導をおこなった際に、「道徳の起源」と「自由の起源」というテーマを与えたという話です。今日の高度に専門化した動物学では、とても扱えないような根源的なテーマだと思いますが、学生はさぞかし困ったことだと思います。

  • 梅棹さんの人生がよくわかる本。梅棹さん大好き人間としては、今はなき梅棹さんに寄り添えたような気がして、楽しく読ませていただきました。
    『「櫟社の散木になりたや」というのをわたしの人生のモットーとしてきた。じっさい、少年時代からひとの役にたちそうにないことばかりやって生きてきたのである。いまも散木としての人生をまっとうしたいとおもっている。』と梅棹さんは綴る。「研究は行為で、それはいつも妄想から出発する」というのも心に残る。妄想力、とってもかわいらしい響きの割に深みがある面白い力。

  • 著者の物凄いバイタリティに圧倒される。

  •  1996年1月に日経新聞に連載された「私の履歴書」をもとに、これに加筆した単行本の文庫版(2002年刊)。単行本は新聞連載の約4倍の分量になっているそうだが、文庫版はこの単行本にさらに大幅に手を加えたものとのこと。

     数多くの研究会や組織などを次々と立ち上げ運営されていることが印象に残る。梅棹氏は、人びとのネットワークの結節点であり、いわばプロデューサーと言えるのかもしれない。

     後年には、そのネットワークが研究者だけでなく、政界や経済界にも広がっている。研究者としての鋭敏な感覚と力量だけでなく、そういうセンスも梅棹氏がなしたことにとって大きな意味を持っているのだろうと思う。

     タイトルにもなっている「行為と妄想」。その由来は「まえがき」と第8章に記されている。自身を「書斎人ではなく、身をもって行動する『行為人』」とし、そしてその行為はさまざまな「妄想」に主導されていくという。行為と妄想のバイタリティというか駆動力が桁外れだと思う。

     とくに60代後半に視力を失ってからのことや本書の一番最後の記述には、まったく枯れることなく前へ前へ進んでいく姿勢が表れているようで、いや、本当にすごい人だと思った。

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