君主論 改版: 新訳 (中公文庫 マ 2-3 BIBLIO S)

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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122040120

感想・レビュー・書評

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  • よいこの君主論を読んだあとであったため、とても読みやすかった。

    一つ上から物事や人を見る視点を授かった。グルーピングした時に自分はどの位置にいるのか。
    このグループにはこうして、あのグループにはああして。一歩引いた視点が大切。
    自分がそのグルーピングの中から見るのではなく、そのグルーピングから外に出て、外から眺めること。

  • 「君主論といえばマキャベリ!権謀術数!」
    という教科書レベルの知識しかなかった。
    読んでみる前は、陰謀とか暗殺とかスパイとか、想像たくましゅうしていました。
    しかし、読んでみると、もちろんマキャベリがそんなエンタメを意識していたはずはなく・・・。

    君主が権力を維持するためにすべきことを、淡々と描かれていました。
    なかには、『殺るときは恨みを抱く者全員を一気に殺れ!』的な冷酷と読める文章も散見し、これが後のマキャベリの悪印象を決定づけてしまったようです。
    しかし、これを『冷酷』と読むのは、我々の近現代的なヒューマニズムの価値観です。この感想をマキャベリが聞いたら、『そんな偏見に捕らわれているのかね、フフン』と笑われてしまうでしょう。
    感情・先入観をまじえずに客観的に権力の維持を説く姿はまるで科学者のよう。この論考は権力に関心のある人には一読の価値アリです。
    この本の思想は最後のほうで語られる
    『われわれ人間の自由意志は奪われてはならないもので、かりに運命が人間活動の半分を、思いのままに裁定しえたとしても、少なくともあとの半分か、半分近くは、運命がわれわれの支配にまかせてくれている』
    という一文に尽きると思います。

    個人的にはマキャベリさんに
    『臣民論~上司を手の中で転がす方法~』という本も残してもらいたかったと思います。

  • 2013年1冊目。君主と国内有力者(諸侯や教皇)との力関係別に,国防のあり方を提言した書。企業組織にも応用できるだろう。

  • 徹底的な性悪説に則り、「戦争に際しての為政者の残虐さや奸計は名誉となる」とまで言って手段を選ばず治世の方法を説いているのはそんな時代背景があったからでしょうね。
    国家の話だけど企業統治等についても当てはまりそう。

    それと日本の武士道と考え方が全然違ってるのもおもしろい。
    そもそも中世日本に経営学みたいなのはあったのかな?

  • 歴史上の君主を考察し、君主とはどうあるべきか、どのような行動を取るべきか論じた本。日本では主に「マキアヴェリズム」の語とともに、非道、悪徳の書として有名。本書は君主を比較検討しながら、以下のようなことを述べている。国の分類と、その征服と維持の手段。次に攻撃と分類に関する軍事的側面。ここでは、自国軍の整備の必要性と、日常的訓練の大切さが説かれている。次に君主の資質。同時代のチェーザレ・ボルジアなどのリアリストを高く評価している。最後にイタリアの危機的状況と、それを乗り切る君主の出現の待望。

  • 十五世紀イタリアの複雑な情勢と、それを身をもって体験したマキャベリの観察眼によって、人間の本性が明らかになったと思います。その考察は示唆に富み、現代で何か新しい事業に取り組む場合にも十分生きる教訓ばかりです。
    しかし、本書の言葉を借りれば「人間は、各自が胸にいだく栄光とか富とかの目標に向かって行動」するものだと定められていて、私欲がむきだしになった世界を前提としています。ある意味特異な世界といっていいでしょう。
    だから、自分は何のために、どんな行動をとるのか、またその行動の手掛かりとして本書からどんな言葉を選ぶのか、よく考えなければなりません。

  • 性悪説。一見極論のようにも見えるが非常に論理的で現代に通ずるものが多く得られる名著であると思う。

  • 言わずもがな通読より手元に置いておいて見返すべき著。

  • 2012年24冊目。

    『マキアヴェリズム』というと、「目的のためなら手段を選ばない非道なリーダーシップ」、というイメージがある。
    それでも長く名著とされてきたからには、そこには何かしらの真実味があるからであり、賛同できない内容があるとしても、少なくとも反面教師としての価値はあると思い読んでみた。

    マキアヴェリは著書の中で、

    「わたしのねらいは、読む人が役に立つものを書くことであって、物事についての想像の世界のことより、生々しい真実を追うほうがふさわしいと、わたしは思う。これまで多くの人は、現実のさまを見もせず、知りもせずに、共和国や君主国のことを想像で論じてきた。しかし、人が現実に生きているのと、人間がいかに生きるべきかというのとは、はなはだかけ離れている。だから、人間いかに生きるべきかを見て、現に人が生きている現実を見逃す人間は、自立するどころか、破滅を思い知らされるのが落ちである。」

    と述べている。
    実際にヨーロッパ・オリエントを中心とした地域の歴史的な君主たちの政策や、動乱の時代であったイタリアの君主たちの現実の事例をふんだんに使っている点で、理想でなくリアルを語っている印象が強い。
    (客観的な数値データなどは少なく、やや主観的な判断であることは否めないが。)

    やはり過激に感じる内容も多いが、
    「民衆になにかを説得するのは簡単だが、説得のままの状態に民衆をつなひとめておくのがむずかしい。」
    「決断力のない君主は、当面の危機を回避しようとするあまり、多くの場合中立の道を選ぶ。そして、おおかたの君主が滅んでいく。」
    「お追従者から身を守る手段は、真実を告げられてもけっして怒らないと人々に知ってもらうしかない。」
    など、現代でも十分通じる教訓も数多い。

    論証の仕方は、「共和国の場合」「君主国の場合」・・・、更には君主国の中でも「世襲で君主となった場合」「自分の武力や力量で君主となった場合」・・・など、場合分けをしてそれぞれを論じるという手法で分かりやすい。
    必ず章ごとに結論を明確に示す点も読んでいて不快感がない。

    現代は「サーバント・リーダーシップ」や「逆ピラミッドの底辺から支えるリーダーシップ」などが良しとされる風潮が強まっている。
    トップダウン型のリーダーシップが嫌われる時代に馴染む部分もある一方で、有事の際の責任ある決断力も弱まってきているかもしれない。
    その点、マキアヴェリズムを知っておくことに損はないと感じる。
    情報の取捨選択の権利は読者側にあるのだから、食わず嫌いにならず触れてみる方が良いと思う。

  •  15世紀のイタリア動乱期に生きた官僚・政治家マキャヴェリの名著。「マキャヴェリズム」という言葉を生み出した、いわば悪の教典みたいなものだが、冷徹に "How to 支配" を記載した内容はパワフルで、学ぶべき点が多い。本書のように、現代の政治学、経営学などに細分化していく前の原始思想のほうが、よりバイトサイズが大きく、直感的に全体を俯瞰できるような気がする。また、本文で絶賛している、当時のチェーザレ・ボルジアや、彼を取り巻くイタリア史に惹かれたので、塩野七生の小説を次に読んでみようと思う。

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