秘録 東京裁判 (中公文庫BIBLIO20世紀)

  • 86人登録
  • 3.39評価
    • (1)
    • (8)
    • (13)
    • (1)
    • (0)
  • 9レビュー
著者 : 清瀬一郎
  • 中央公論新社 (2002年7月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122040625

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印

秘録 東京裁判 (中公文庫BIBLIO20世紀)の感想・レビュー・書評

  • 太平洋戦争終戦後に行なわれた東京裁判(極東国際軍事裁判)で東条英機の弁護人を務めた清瀬一郎による回顧録。1967年に執筆されたものなので内容的には一部の例外を除いて新味はほとんどなかった。現在では定説になっているような事例もいくつか載っている。ただし、以下に記したように、ソ連検事団も参加することになった理由づけに関しては初めて驚きをもって知ったことであり、事実かどうか検証が必要な事例だが、注目に値する記述として引用した。

    清瀬の主張で一貫しているのは、ナチス=ドイツを裁いたニュルンベルク裁判と東京裁判は同列には語れないこと、日本の場合共同謀議は成立(存在)しないこと、ナチス=ドイツは全くの無条件降伏だったが日本はポツダム宣言受諾によって降伏したこと、さらにポツダム宣言による降伏は無条件降伏ではなく条件付き降伏だったということなどである。

    この本の特徴として、そもそも「東京裁判の思い出」として書かれたものなので学術書ではないことが挙げられる。そのため史料批判が甘かったり、日本側弁護人という立場もあってか日本側にとって有利な主張が書かれているように思えたりする箇所が多々あった。それらには一定の注意が必要なように感じる。ただし、おそらく今まで読んだことがなかった東条の遺言の摘記が載っていたのは生の回顧録という印象を受けた。

    「いずれにするも本書は第一章、第二章と順を追うて読む必要はない。本書を手にせられる人は、本が開いたらどこでも開いた章を読まれれば足りる(略)」と著者も言っているように、東京裁判についてよく知っている方にも少しでも興味があってとっかかりとして読もうとする方にもよいかもしれない。生の貴重な回顧録ということで星4つ。

    以下、本書で展開されたソ連検事団が参加することになったレトリック(引用)

     元来、日本は太平洋戦争中はソ連とは不戦条約を結んでいた。一九四五年八月九日、アメリカが原爆を長崎に投下した日に不戦条約を破棄して満州にナダレこんできたのであるから、日本がソ連に対する侵略の事実のあろうはずがない。満州に残っていた兵士や、日本民間人を俘虜だといってつれて行ったのはソ連であるから、俘虜虐待はソ連側にあって、日本側にない。
     そこで、ソ連側検察団は何とも手が出ない。だんだん考えた上、張鼓峰事件とノモンハン事件を日本の侵略戦争と見たてて(実際はその逆、しかも解決済み)、梅津美治郎と重光葵を被告に加えることをキーナンに迫った(重光は張鼓峰、ノモンハン事件当時のモスクワにおける日本大使、梅津はたしか満州における日本大使。それゆえ、両件に関係あるというのである)。キーナンも当時の国際情勢上、これをいれざるを得なかった。それで同年四月二十九日送達の起訴状に、この二人の氏名が被告として加えられた。
    (2016.3.16)

  • 清瀬一郎氏は「東京裁判は、本来復習が目的であった。」「また、東京裁判では、判事のうちにも、これが事後法であるということを認めた人もある。」と述べている。確かにその通りだと思うこともある。だからと言って、日本の行った戦争によって特に多くのアジアの人々が亡くなった事実は消えないのである。百歩譲って、この東京裁判が無効だとしても、日本が行った戦争は悪であると言いたい。西洋の植民地政策や奴隷制も悪である、貴様らも同じじゃないか!と声高に叫んでも、それで悪を免れることはない。

  • 東京裁判で弁護側副団長を務め、東条英機の担当弁護を行った清瀬一郎氏による東京裁判の記録。

  • 東京裁判に弁護人として関係していた清瀬一郎の著書。
    この裁判自体がはたして裁判といえるものだったのか?
    戦勝国による報復でしかないと著者は当初から訴え続けるが、
    みとめられず判決に至る。しかし、判事、検事のなかにも
    判決、はたまた裁判自体を無効と考える人間もいた。
    巻末に全文が掲載されている冒頭陳述は、
    当時の国民にどれだけ勇気をあたえた事だろう。
    少々条件は違うが、サダムフセインの裁判についても言える事だが、
    終戦後、戦勝国による敗戦国指導層へのこのような行動は、
    決して合法的とは言いがたいものだが、では他にどのような事が
    出来るのであろうか。戦争は始めるよりも終わらせる方が難しいと
    誰だかが言っていたが、それは勝った側にも当てはまる。

  • 東條さんの弁護人です。
    素晴らしい方です。

  • 東京裁判で東条英機の弁護を担当した、清瀬一郎本人が書いたもの。日本側の弁護を担当しているので、当然、「日本が正しかった」みたいなスタンスが本全体を通して、ある。でも、裁判前に東条英機が自殺未遂をしていたことなど、自分としては新しい発見もあり面白かった。東京裁判についての本として読んでおきたい一冊かも。

  • 東京裁判を語る際には避けて通れない一冊。

全9件中 1 - 9件を表示

秘録 東京裁判 (中公文庫BIBLIO20世紀)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

秘録 東京裁判 (中公文庫BIBLIO20世紀)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

秘録 東京裁判 (中公文庫BIBLIO20世紀)の文庫

ツイートする