風と木の詩 1 (中公文庫 コミック版 た 1-24)

著者 :
  • 中央公論新社 (2002年7月1日発売)
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感想 : 76
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (414ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122040649

感想・レビュー・書評

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  • 想像していた以上にボリュームがあり、存分に物語を夢中で読み進めることができた。登場人物のそれぞれの背景がしっかり描きこまれていて、最終巻を読んだ時、それぞれの気持ちが胸に迫り来て苦しかった。
    愛も形はひとつではないんだなあとしみじみ。読んでよかった。

  • BLの原点と言われ名作と名高い作品だけに、前から気になってはいたのだけれど、今回やっと手に取った。・・・驚いた。内容の苛烈さに。これを少女に読ませるとか、刺激が強すぎませんか。この時代の少女漫画どうなってたんだ。とにかくイタイ。少年の潔癖さとか、肉欲に振り回される戸惑いとか、内面をえぐりまくっていて、これを幼少期に読んでいたら、その後の嗜好に大変な影響を受けかねない。

    何故かこの本は1巻読み切りだと思い込んでいたため、2巻に続くのみならず、全15巻の長編だったことにも(勝手に)驚いた。

  •  あまりにも衝撃だったので思わず長文感想。
     この作品、度々タイトルを目にする機会があり、ずっと気になっていました。BLだけでなく近親相姦やレイプなど様々なタブー要素を含んでいる作品でもあるので、読んでいいか迷う作品でもありました。
     まあでも昔のマンガだし皆が言うまでのタブーも今ほどではないだろうと思って読んだ。そんなことはなかった。


     途中までは、ベッドシーンの多さや禁断の関係に、背徳感を感じずにいられませんでした。
     しかし主人公のジルベールとセルジュの二人がどうなるか、気になって途中で切ることは出来ずに淡々と読み進めました。残すところ4分の1ぐらいでしょうか。徐々に辛くなり始め、でも止まらずいっきにラストを駆け抜けた。ラストを読んだ直後はもう放心というか、ぼんやりとしていました。翌日、急にジルベールが楽譜を買うコマが浮かび、彼や登場人物達の心情変化を追い始めるともう切なくてなんて苦しい物語だったんだ……とその日もう作品のことで頭がいっぱいでした。

     この物語は大衆の感動を誘うためだけにタブー要素を使っていない。むしろ大衆の感動誘う要素として扱っているならあまりにも乱暴、もうこれ以上悲劇に遭わせないでくれと言いたくなるくらい……。

     「風と木の詩」は悲劇だけで感動を媚びていないと思うのです。
     悲劇から幾重もの感情が生まれ、反芻し、感情からその物事が起こる。都合の良い悲劇など一度も起こってない。すべて過去から繋がっていったものでした。その繋がりを追って、読んだ読者は涙するのだと思う。
     なぜジルベールがこういう性格なのか、どうしてそんな行動をするの?
     そういった人物像が読めば読むほどに紐解かれてゆき、クライマックスの前では最初とは違う想いを主人公の二人が寄せ合っていると実感したあたりから読むのが辛くなる。
     不透明で穢らわしい禁断だらけの要素を用いてここまで純粋な愛が描けるのはこの作品以外出たんでしょうか? 
     男女の恋愛だけが純粋な愛なのか、気持ちを伝える方法は言葉だけなのか、もういろんなこと考えてしまいました。

     もう一度読んだら、泣く。

  • 嶽本野ばらのそれいぬで紹介されていて、出会い読みました。
    BLという枠に入りきれないマンガです。あまりの美しさで、ジルベールになりたいと思った。高校のクラスメイトにジルベールみたいな女子がいて、憧れてました。

  • 大昔のマンガですが、今でも時折読み返します。
    その度に印象が変わってきて、本当に成熟したマンガだな~と読む度に惚れ惚れします。

    いきなり冒頭から少年同士のベッドシーンという過激なシーンで始まる物語。
    それ以上に内容は過激。
    当時こんなマンガがあったという事が今も驚きです。

    その蠱惑的なルックスで小悪魔のように人を翻弄するジルベール。
    対照的に真面目で誠実な人柄のセルジュ。
    見た目も内面も全く違うのにやがて強く惹かれあうようになる二人。
    それまでにはお互いに相当強烈な葛藤があり、周囲の人間の猛烈な圧力も受ける。
    同性であるということ、そして人種差別・・・。
    とても過酷な内容です。

    また二人がどうやって今に至ったのか、生い立ちも両親の時代から丁寧に描かれていて、そのあたりは涙なしでは見られない。
    後半の残酷さも-。

    舞台が男子学校とその寄宿舎という事もあり、出てくるのはほぼ少年ばかり。
    しかも時代が18世紀の南フランスで、授業の必須科目にラテン語があったりと、全く縁のない環境を物語の中で見れるのも興味深く知的なイメージを受けました。

    当時、友人と誰がお気に入り?なんて話をしてました。
    一人の友人が「パスカルがいい」と言って「え~!パスカル~?変わってる~」と思いましたが、今思うと彼女はすごく大人だったんだと思います。
    確かにパスカルはこの物語の中で最も成熟したキャラ。
    彼がラテン語で校長に言い返した場面は印象的でした。

    人によっていろんなとらえ方のあるマンガですが、時代を超える名作だと思います。

  • 人に借りながら、半年ほどで読了。
    終始つらいような気がする。後半は本当につらいけれど、すべての事を収束するのはこんな答えしかないのだと感じる。
    人の感想をみているとオーギュが妙に人気な気がするが、どうしても私は好きになれないな...

  • BL好きを自称するならこれ読んでないとお話にならないでしょ。BLじゃないけど。

  • 凄い漫画です。
    最初はジルベールだけが不幸だと思いきや、セルジュも実は
    不幸な生い立ちだったのには容赦ないなと思いました(^-^;;)
    昔の人は大変だよね・・・いつも思ってしまいます。
    こんな気持ちにさせられたのは、砂の城以来ですね。

  • 全8巻の最終巻、壮絶でかつ大変美しかった。
    美と愛の結晶のようなジルベールの脆く繊細だからこその輝く美しさを、自らのすべてを擲って守ろうとするるセルジュの懊悩と献身に、息を詰めて身悶えする思いだった。彼らの迎えた結末に、胸が痛むと同時に大きな安堵を覚えた。やはり現実の世には生きられなかったのだ、なるべくしてなった、これでよかったのだ、と。
    美しい青い薔薇の面影を胸に抱いたセルジュの人生が、まだこれから始まったばかりだと言うことに驚き、また胸が痛む。

  • さまざまな場面で泣かされました。ジルベールの生い立ちの話で泣き、セルジュの両親の話で泣き・・・。
    なんといってもラスト付近で号泣です。今まで散々辛い思いをしてきたセルジュとジルベールには幸せになってほしい!と願いながら読み進めたのですが、どうしてこんなことに・・・。
    最後のほうのジルベールが痛々しくて見ていられません!
    読み終わったあと、しばらく立ち直れず重苦しい気分で悶々してました。ジルベールがジュールにみせた笑顔を思い出すと涙が・・・。

    もう一度、初めから読み返したいです。
    でも、あのラストが待ってるのかと思うとなかなかできない。

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著者プロフィール

1950年、徳島市に生まれる。徳島大学教育学部中退。68年『リンゴの罪』でデビュー。70年、雑誌連載をきっかけに上京。以後、SF、同性愛、音楽、歴史などを題材に多彩な執筆活動を展開。80年、『風と木の詩(うた)』『地球(テラ)へ…』により第25回小学館漫画賞を受賞。主な作品に『ファラオの墓』『イズァローン伝説』『私を月まで連れてって!』『紅にほふ』『天馬の血族』『マンガ日本の古典 吾妻鏡』などがある。京都精華大学にて2000年~教授就任。14年~18年学長。2014年紫綬褒章受章。

「2021年 『扉はひらく いくたびも 時代の証言者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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