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この作品に関連する談話室の質問
この作品からのみんなの引用
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ぼくには言いたいことが山のようにあったけれど、何をどう言ったらよいのか分からなかった。由美は相変らず素っ気なくぼくの方を見もしないで黙ってつまんなそうに歩いていたけれど、でもぼくはいつの間にか彼女が、ぼくの左側をほんの肩ひとつほど先にたっているのにちゃんと気づいていた。つまりそれは、なんていうか、彼女が待っている証拠なんだ。彼女は、いつもは黙ってうしろやなんかから自分を見られるのがとても嫌いなのだが、時たま、ほんの時たまこうやってぼくにそっとうしろから見つめさせてくれることが在るのだ。
― 147ページ -
とにかく売りこむためには、そして時代のお気に入りになるためには、ドギツく汚くてもなんでもいいから、つまり刺激の絶対値さえ大きければなんでもいいんだ。そしてそうなりゃもう誰だって、ほんとうに美しいもの、花とかさ、そういったなにか美しいものを見せるよりはズバリセックスとか汚いものをそのままどうだとつきつける方が早いに決まってる。そしておれはね、そういういわば絶対値競争にはもう全く自身がないんだよ。
― 111ページ -
つまりなんらかの大いなる弱みとか欠点とか劣等感を持っていてだな、それを頑張って克服するんじゃなくて逆に虫めがねでオーバーに拡大してみせればいい。しかもなるべくドキツく汚く大袈裟にだ。
― 111ページ
みんなの感想・レビュー・書評
学生運動世代には懐かしいであろう、青春小説。
主人公薫くんの口調で進む物語は、村上春樹やサリンジャーを好む人にはココロ疼くはず。
周りに左右されず自分自身で判断するということ、世間の持っているイメージとの相違、うまくいかない恋愛、ちょっとのエロス。そして自分の秘めた狂気を実感しているという冷静さと、はっきりしない優柔不断さ。
薫くんの一日は、柔らかいようで実は鋭くて苦くて痛い。
未完成さを実感していた十代の自分を思い出した。いまだに私は未完成であるが。
高校時代に4部作とも読んだけど(思えば40年ほど前)、改めて電子書籍(iphone)で待ち時間に間に少しずつ読んでみた。こういう作品に敏感になれる感性が眩しくもあり、なんだか自分はそんな感性がすり減ってしまったのかって思えてしまう、、、それだけ時間がたったと言う事なんだろう。実は今回、再度読もうかと思ったきっかけは、この本の中に「中村紘子さん」のことが出てくると言う話を読んだから。そのこと自体記憶になかったし(昔読んだころは、まだクラッシックを聞いていなかった)、後の奥さんとなる人をどんなふうに書いているのか興味があったので。で、「中村紘子さんみたいな若くて素敵な女の先生について (いまの先生はいいけれどおじいさんなんだ) 優雅にショパンなどを弾きながら暮らそうかなんて思ったりもするわけだ」と言うのがある。ピアノを習う気持ちは痛いほどよくわかった(笑)
作中に、今となっては「時代ですねぇ」と思うような語彙や表現があるけれど、設定自体は東大の入試が中止になった1969年のことで、この作品の発表はその年の5月ということだから、当時としては かなり「旬ですねぇ」という感じだったわけだ。 饒舌体の語りはなかなか面白くて、読みやすい。 冒頭で電話の話題が出てくるけれど、この作品そのものが電話での会話みたいに、どこか上っ調子なところがある。 私は... 続きを読む »
完全に主人公目線の,少し独特な口語体で,慣れればリズムよく読める。
少年とも青年ともいえる18歳の主人公の,自己と社会の狭間での葛藤や苦悩がよく伝わってきた。そうして最後に見いだした答えには救いがあった。
若いうちに読むべきだと思った。色々なことを考えさせられる作品。
読んでる間じゅう足の親指が痛かったです・・今も痛い(笑)
主人公の悩みがよく分かるものだったため、終盤の流れと話のおさまりがたいへん良くって温かくやさしい気持ちに包まれました。かわいい。
◆穏やかな、青春の1ページ◆
季節は春。東京大学への進学を漠然と考えていた僕。大学紛争で入試が中止になってしまった。さあ、どうしよう?大学で、何をしたい?自分の気持ち見つめなおしてみた。
ガールフレンドの由美のことも、怒らせちゃった。モクレンの花が咲く道を二人で歩いたり、デートはしているけれどね。
僕は由美にこれからの僕のこと、話そうと思う。東京大学には行かないって、そして由美のことを――。
「若さ」の困難、つらさを描く良作です。
主人公と心理状況が近かったのか読みやすかったです。
学生の時期って、今までこうすれば幸せになれる!とかこれを目指して頑張るんだ!みたいに思っていたことが揺らぐ時期にあるのではないかと思います。
主人公の様に世間に対する不信感とか絶望を味わうこともあるのでは。
もしかしたらたいていの人はそこで救いを見いだせず沈んで行ってしまうのではとも感じました。
今の悩みと心理を上手く整理し直してくれて、個人的にとてもすっきりしました。
「やさしさとは何か?」について考え続ける男の子薫クン。
彼(この本)との出会いが、私に誤った男子観を植え付けた
といっても過言ではありません。
「こんな男の子いないよ」と高校時代の私に言ってやりたい。
「だまされんなよ」と。
まあ、そんな弊害がありつつも、やっぱり名作です。
いつか薫クンみたいな男性に会ってみたい(←まだ言ってる)
庄司薫さんの記念すべき芥川賞受賞作品。
学区制前の旧制一中の伝統を受け継ぐ日比谷高校卒の秀才が伝説の小説”喪失”を出した後、肩の力を抜いて(?)書いた作品。
とはいっても、複数に張り巡らせている伏線やシナリオ等、頭のいい人の書く小説とはこういうものかと思い知らされる質感を有する。
”ライ麦畑でつかまえて”との相似等も取りざたされている様だが、女の子の登場のさせ方や語り口は多分作者が意図的に狙ったものだろう。傷つきやすいセンチメンタリズム等の被害者的発想が主な”ライ麦~”とは全く違う”優しさを貫くための力強さとは何か?””男の子はいかに生きるべきか?”というテーマをこの作品では貫いている。実はこういう仕掛けを読み解くのもこの本の楽しみの一つと思う。
文体・口調、もろ「ライ麦」のパクリ。69年の東大入試中止、些細だけど奇妙なことがまばらに起きて、その空虚さの中をさまよう主人公。このテーマが大好き。自分の現役・浪人時代と重ねて読むと、うっとりする。青春とはほろ苦いものであるべきだと教わりました。
とても読み口の軽~い昔の芥川賞受賞作品。
安保時代の高校生が軽妙洒脱な日常を送る様がつづられている。
私の好みではないが、こういうジャンルも存在することは認める。
大学生を描く小説が読みたいなと思って、「百年の誤読」で褒められていたこの本に興味を持ったのがきっかけ。
読んでみると高校3年生の話だったけど、解説にあるとおり、
機智とユーモアにあふれた愉しい風俗小説、だった!
東大入試中止のとばっちりを受けた、元東大受験生の薫くんが、
世の中のくだらない大衆が作り上げたヒエラルキーや偏見にどう立ち向かい生きていくべきか悩み、そして自分なりの答えを見つけていく話。
学生運動って何だったのか、あの時の人たちって何考えていたのか、
そういうものが薫くんの斜に構えた軽妙な語りを通して見えてくる。
そこがすごく面白かった。
2度目の読了。1度目に読んだ後いまさらのように浅田彰など囓っていたおかげか、薫君や小林の抱えているモヤモヤがより鮮明に理解できた気がする。改めて猛烈に感動した。いつの世にもいるこういう悩める青年達を優しい目で笑い飛ばしたりあるいは宥め諭したりするようになったとき、人は本当の意味で大人になるのだろうけれど、そういう大人にだけは決してなるまい、否、なれまいと思う。
実績や地位なく、若さと知識しか誇れるものがない学生の悩み。生きずまった時に読み直したい本。大学生の今、読めて良かった。文体としては読み辛さもある。救済的装置としての少女の登場もセオリーだが素晴らしい。本書は四部作の第一作だそうで、次作以降もいつか出会えればいいと思います。
・・・積読か読んでるか忘れてしまったけれど、2月13日のコメントをいただいてからスグ書き込んだのに、非公開にしたままでした。一昨日発見して、自分でも驚きました。全然記憶にありませんでしたから。 以下の記述は2月中旬のままですが、本当にそれっきり忘却の彼方にあって、再読も果たしていません(ごめんなさい・・恥かし~い) ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ sagami246さま... 続きを読む »

日本版・ライ麦畑というのもうなずける。





