世界最悪の旅: スコット南極探検隊 (中公文庫 B 9-4 BIBLIO)
- 中央公論新社 (2002年12月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122041431
感想・レビュー・書評
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ずっと気になっていたイギリスの探検家スコットの南極点到達と遭難死については多数の本が出ているが、最初の1冊をどれで読むのがいいのか決めかねていた(スコットの日記はちょっと難しそうだし)ところ、この本の評価が高かったので。昔の全集モノにありがちな抄録だが特に問題なし。題「世界最悪の旅」はスコットのではなく、カラード本人の旅の事を指す。日も昇らない真っ暗な中、マイナス50度に達する南極の冬、旅の目的は皇帝ペンギンの営巣地へ卵を採取するため(!)。途中テントが吹き飛ばされて死を覚悟したり、目が悪いので足手まといになっちゃったり、5つ採取できた卵を2つ割っちゃったりという本人のどきどきエピソードなどが結構インパクトがあったため、その後に描かれるスコットの旅のほうは寒くてもマイナス40度程度なので「結構あったかいじゃん」とか思ってしまった。アムンセンとの南極点到達レースについて、そもそもスコット自身はそのつもりでなかったので、「レース」という言葉を使ってはスコットに気の毒な気もする。とはいえスポンサーのために最初に南極点に到達することが必要だったし、当然可能なはずだったのが、アムンセンが突然目的を変えてなおかつアムンセンのほうは本気で取りに行く体制だったのに対し、スコットはそこまで万全ではなかった。南極点に着いてみればすでに取られていて、スコットはその後のこと、これまでのことを考えたら本当に絶望しかなかっただろう。遭難してしまったのはいちばんはやはり気持ちの問題だったのではないかと思う。スコットのこの旅は人間というものを考えさせられて、私を捉えて離さない。といいつつ、ペンギンに夢中なウィルソンと弟子のカラードにはほっこりしました。この本で輝いていたのは、ペンギンの生態に触れた数ページではないか。
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新書文庫
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マーフィーの方則。
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こういうの読むと、「スコットは〇〇だから失敗した。これに学ぼう」みたいなことを軽々しく口にするのは恥ずかしいことだと思えてしまう。スコットはスコットで当然ながら様々なことを考えてたことがよくわかる。
にしても、本当に壮絶なドラマがあったんだなあと驚愕。
極限状態でありながら最後まで理性的であるスコット一行の姿には、神々しさすら感じる。自分の小ささが恥ずかしく思えるほど。 -
不屈の闘志と仲間への信頼と、死ぬ間際までの真摯な態度には感動した。大きなものを教えられた。偉大な勇者を描いた比類ない作品だと思う。
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世界最悪の旅,アムンセンとスコット,エンデュアランス号漂流,3冊まとめて感想書きましたー。
http://blog.livedoor.jp/h_ohiwane/archives/52042346.html