世界最悪の旅: スコット南極探検隊 (中公文庫 B 9-4 BIBLIO)

  • 中央公論新社
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感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122041431

感想・レビュー・書評

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  • ずっと気になっていたイギリスの探検家スコットの南極点到達と遭難死については多数の本が出ているが、最初の1冊をどれで読むのがいいのか決めかねていた(スコットの日記はちょっと難しそうだし)ところ、この本の評価が高かったので。昔の全集モノにありがちな抄録だが特に問題なし。題「世界最悪の旅」はスコットのではなく、カラード本人の旅の事を指す。日も昇らない真っ暗な中、マイナス50度に達する南極の冬、旅の目的は皇帝ペンギンの営巣地へ卵を採取するため(!)。途中テントが吹き飛ばされて死を覚悟したり、目が悪いので足手まといになっちゃったり、5つ採取できた卵を2つ割っちゃったりという本人のどきどきエピソードなどが結構インパクトがあったため、その後に描かれるスコットの旅のほうは寒くてもマイナス40度程度なので「結構あったかいじゃん」とか思ってしまった。アムンセンとの南極点到達レースについて、そもそもスコット自身はそのつもりでなかったので、「レース」という言葉を使ってはスコットに気の毒な気もする。とはいえスポンサーのために最初に南極点に到達することが必要だったし、当然可能なはずだったのが、アムンセンが突然目的を変えてなおかつアムンセンのほうは本気で取りに行く体制だったのに対し、スコットはそこまで万全ではなかった。南極点に着いてみればすでに取られていて、スコットはその後のこと、これまでのことを考えたら本当に絶望しかなかっただろう。遭難してしまったのはいちばんはやはり気持ちの問題だったのではないかと思う。スコットのこの旅は人間というものを考えさせられて、私を捉えて離さない。といいつつ、ペンギンに夢中なウィルソンと弟子のカラードにはほっこりしました。この本で輝いていたのは、ペンギンの生態に触れた数ページではないか。

  • 新書文庫

  • マーフィーの方則。

  • 「世界最悪の旅」にスコットさんは不在。訳者の白瀬矗disがひどいので、wikiを読んだら、ちょっと同情した。

  • こういうの読むと、「スコットは〇〇だから失敗した。これに学ぼう」みたいなことを軽々しく口にするのは恥ずかしいことだと思えてしまう。スコットはスコットで当然ながら様々なことを考えてたことがよくわかる。

    にしても、本当に壮絶なドラマがあったんだなあと驚愕。
    極限状態でありながら最後まで理性的であるスコット一行の姿には、神々しさすら感じる。自分の小ささが恥ずかしく思えるほど。

  • [ 内容 ]
    二十世紀初頭に繰り広げられた南極点到達競争において、初到達の夢破れ、極寒の大地でほぼ全員が死亡した英国のスコット隊。
    その悲劇的な探検行の真実を、数少ない生存者である元隊員が綴った凄絶な記録。

    [ 目次 ]
    南極探検の歴史
    第一の夏
    冬の行進
    第二の夏
    第三の夏
    極地への歩み
    帰還行程
    遭難の批判

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 不屈の闘志と仲間への信頼と、死ぬ間際までの真摯な態度には感動した。大きなものを教えられた。偉大な勇者を描いた比類ない作品だと思う。

  • 世界最悪の旅,アムンセンとスコット,エンデュアランス号漂流,3冊まとめて感想書きましたー。
    http://blog.livedoor.jp/h_ohiwane/archives/52042346.html

  •  スコット南極探険隊の一員であるチェリー・ガラードが10年の時を経て当時を回顧する。
     自分達以前の南極探検史、南極点を目指す前の冬季探険(”世界最悪の旅”は遭難した南極点探険でなくこの行進を指している)、南極点到着後に遭難したスコット隊探索、そしてスコット達の記録から分かった南極点探険という構成。

     氷点下60度の中での行動の大変さは想像を絶するが、何よりこの本が素晴らしいのはスコットやガラードの探険に対する純粋で高貴な精神にふれられることだ。
     極限の環境下でアムンゼンのそりの跡を見つけたスコットはどれだけ打ちのめされたことだろう。しかしその時の彼の手記にはこう書いてある。 「...彼はわれわれに勝ったのである。そんなことにはおかまいなく、われわれはやれるだけのことをなしとげ、作られた予定のとおりを遂行したのである」

     ガラードは「探険とは知的情熱の肉体的表現である」と書いている。何の為にとてつもなくつらい思いをして、命をかけてまで探険をするのか。その理由はその先に未知の何かがあるからというだけで充分なのだ。
     最後のガラードの文がこの本の全てなのかもしれない。 「君の欲するものがただ一個のペンギンの卵であるとしても、君は冬のソリ旅行で報われるところがかならずあるだろう」
    (スコット隊は南極点到達を唯一の目標としたアムンセン隊と異なり多くの学術調査を行いながら南極点を目指していて、実際ペンギンの卵を持ち帰ることも命がけて行われていた)

  • 南極点に到達するも、帰還途中で季節はずれの寒波により遭難したロバート・ファルコン・スコットと共に行動した支援部隊の隊員の書。南極の気候調査等の功績は評価できるものの、極点到達隊員の直前の増員、馬の利用、最後は人力による行進等、純粋な探検家・冒険家としての評価はアムンゼンに劣ることは、いたし方のないことであろう。

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