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この作品に関連する談話室の質問
この作品からのみんなの引用
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全部、白紙だった。
― 209ページ -
それに比べて鞄は何と豊饒な世界を抱えているのでしょう。
― 88ページ -
遠い記憶の一点から、静かに届いてくる涙だった。
― 42ページ
みんなの感想・レビュー・書評
死をテーマにした連作短編集。
小川洋子の作品は基本的に死の匂いがプンプンするが、この短編集は濃厚な死の匂いがする。
何気ない日常に潜む死の香りが、恐ろしくて、少し心地よい。
素敵な小説でした。
短編集 ■洋菓子屋の午後 息子を亡くした女性が息子のためにいちごのショートケーキを買いにくる話。 とにかく瑞々しくて透明感があり、春のようにやわらかな光を感じる穏やかな空気の文章。 キラキラした希望のような喪失感が物語全体に漂っている。 何もかもが美しく優しいが埋められない穴のあいた虚空な雰囲気が素晴らしい。 ■果汁 クラスメイトと彼女の父とフランス料理を食べに行く... 続きを読む »
「弔い」をテーマにした11編の連作短編集。
一つ一つの話が細い糸で繋がっていて、その糸を手繰り寄せるように読み進めていくと、少しずつ真実が明らかになる。
その感じが面白かった。
また、時折現実の中に架空の話が混ざり込み、混乱の海に落とされる感覚も良かった。
小川洋子連作短編小説。
一遍一遍が「細い糸」でつながっているが、その糸には残酷な死がまとわりついている。
廃棄の冷蔵庫に閉じ込められて亡くなった子供の母、拷問博物館で働く男、表皮近くにまで心臓が張り出した歌手・・・彼、彼女らの歪んでしまった負の感情につられて死が寄ってくる。
残酷なんだけど、静謐さが漂う。
それぞれがゆるくリンクした話からなる、11の連作短編集。
人間だけでなく、食べ物、動物、道具など、何かが死んでゆく姿が描かれる。狂気じみているけれど、静かに大切なものを眺めているような感じもして、病み付きになる…。
拷問、寄生、盗作などの小川さんぽいモチーフももれなく出てきます。
弔いは繋がる。小川さんの手で描かれると、何かしら運命的な色を帯びるように思います。少しの狂気とべたべたした何かが床を一枚めくると敷き詰められているような、そんな感覚。ほかの作品と比べても少し異色で、細切れに電車の中で読んで、少しずつ溶け出させていくのが最適な読み方だと思います。
2011年という年は、今まで生きてきた中でいちばん、生きること・死ぬこと・人生について考えるイベントが多かった。
そんな年の瀬に出会った小さなものがたりたち。
登場人物たちの人生に寄り添いながら、己の人生をかみしめた。
11の死に何を見いだすのか。
特異な予想のつかない出来事が連なって、美しい狂気が生みだした必然の光景。全く関係ないと思っていたことが、最後の最後にカチッとほんの小さな音で歯車が連動していたと気づかせる仕組みに何度も鳥肌が立つほど感嘆した。
色も仕草も考え方も繊細で時に優しいのに、病む。心臓の弱い方にはお勧めしませんが、素敵な短編集です。
前半ばーっとよんで、途中から一話ずつ読んだのだが、もう1回というか、今後あと、2回は読みたいとおもった。
一度は通して一気に読みたいし。
日々、一話ずつまた読みたい。
これは、一話簡潔に見えて実はつながりのあるという下手な人がやるととんでもないことになる短編集。そのつながり具合もねじれがあって、小川洋子らしいといえばらしい。
「死」の断面を切り取ったような短編集なのだが、おかしみもあり、孤独もあり、なぜだか奇妙な安心感もある。
物語を読んだという感触が強い。
右下奥歯の親知らずを抜歯した後の傷の痛みと右耳の痛みと共に読んだ作品。
小川さんの上品さ、滑稽さ、サディズム、マゾヒズム、悲しさ、美しさ…すべてが詰まった連作短篇集。
すべての作品良いけど、個人的には「心臓の仮縫い」と「拷問博物館」が続いてるのが良いなぁ…って思った。
「拷問博物館」の美容師見習いの彼女が拷問道具の説明聞いてる時の痛みを想像している時の感覚も抜歯後のこんな状態(笑)だからリアルに痛くって、その彼女が彼氏にベランダで散髪してあげるふりして椅子に手足くくり付けて彼氏の髪の毛を一本ずつ毛抜きで抜いて彼氏が痛がるのをのを想像している時の恍惚感もわかる。どっちもわかる。
小川さんの小説を読んでいると心の中でひっそり考えてることが全部ばれてしまうようで、恥ずかしいけど、だから好きなんです。
短編集と言いつつ、連作小説です。
見知った人や情景が少しずつ重なったり連なったりしながら、この時計塔のある静かな街の人々の生活や思いを描いている。
私は連作小説が好きです。すべての話の人や景色が、どうにもほかの短編の中で見覚えがある。読み進めるうちに、その人の知らなかった過去や考えや危うさが少しずつ見えてくるドキドキ感が好き。
すべての話に死があり、弔いがありました。その人の一部を手に入れたいと思ったり、嫉妬したり独善的だったり、過去を引きずったり自分を騙したり。そういう人の暗い部分や悲しい部分や切ない部分を、綺麗で上品で丁寧な言葉で描けてしまうのが不思議。
お気に入りの小説になりました。
老婆Jが好きです。最後の部分に冷やりと寒気が走りました。
物語のフィナーレというと、幸せなものもあればそうじゃないものもあるし、千差万別。人生のフィナーレといえば、それはもう、決まっている。そんな「決まりごと」に、なんで小川さんはこれほど鮮やかな色合いを感じるのだろう。悲しみだけでない、死のグラデーション。
一つ一つの短編が繋がりあって、一つの世界として描かれた作品。タイトルもちょっと凄いけど、その中身は狂気と死と、この世のものと思えない不思議が詰まっています。でも、何故か恐怖は感じなくて、美術品を見ているときみたいな、時間と場所が止まったような感じ。これぞ名作。
物語が絡み合って小川洋子特有の世界観が見事に築かれている。静謐なる狂気がじわじわと心に迫ってくるのが恐ろしくもあり、強く惹きつけられる。
XとYの違い。 そしてループ。 現存の作家の本をあまり読むことが私はない。 別にかっこつけているのではなくて、そこに手が伸びる余裕が出るほど昔の作家を読んでいないのだと思う。 足し算がわからない人間に二次係数は解けまい。 こういうと理由としてしっくり来るが、どこか言い訳めいても聞こえる。なんにでも向き不向きはあるものだ。 しかし小川洋子は別だった。 『薬指の標本』だけ読んだこ... 続きを読む »
短編集だと思ったら「連作」短編集だった。
1つの話の端に出てきた事が別の話の主になってる。
基本的に語り手は素朴で純粋だけど、話は複雑に絡み合い、どことなく官能的でどことなく生々しい。
(よく考えたら題名がそうなのだった)

11の、弔いの物語。死骸は何も語らない。
朽ち果てる音が、聴こえるようでした。
繋がり、回る、物語。だけど。
もはや私には、論理などどうでも良いのです。
どこからどこまでが劇中劇か、な...





