猫に時間の流れる (中公文庫 ほ 12-6)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 36
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122041790

感想・レビュー・書評

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  • 解説マンガ:大島弓子

  • エンターテイメントではないです。純文学に分類されるような作品です。
    猫と人の日常がたんたんと語られます。

  • やっぱりまったり。

    いい感じ

  • 家族で初詣に近所の神社に行き、海まで歩くと友人に偶然会う。快晴の気持ちのよい日で、家族連れに混じって凧揚げなどをして過ごす。そこだけ雲がかかり富士山が見れなかったのは残念であるが、富士の佇まいは田舎の風景にはすこし劇的すぎる気もして無くてもいいのかもしれない。一通りぶらぶらして友人と別れ長い坂道を歩いて家まで帰る途中、小学生の頃によく友人と遊んだ公園で、ブランコがぶらんぶらんと揺れる傍ら、この本を読む。という、どこかの小説に出てくる筋のようだった今日一日に、保坂和志の文章は相応しい。家に帰って机に向かって続きを読もうとしても、もうこの文章を楽しむ空気は再生できない。そうやって読むものでも読めるものじゃあない。

  •  

  • 飼い猫のチイチイとパキ、野良猫のクロシロとぼくたちの関係は、
    微妙な緊張と調和を保っていた…。何かがわかっているような何も
    わかっていないような猫たちとの日々―。世界との独特な距離感に
    支えられた文体で、猫たちとの日常‐非日常という地平を切り開い
    た新しい猫小説の原点。

  • 2作収録しているのですけど、両方とも非常に好きです。「キャットナップ」に関してはよい天気の日に日向ぼっこしながら読むのに非常に向いているというか、もう何度も読んでいるのですが、そのシチュエーションていうのは大体よい天気の昼間というだけのことです。先日、相棒さんとひょんなことから本の話になり(最近、相棒さんは漱石の「こころ」を読んだり、読書傾向が明らかに変わってきたこともあり)、「保坂さんて、苦労したことない人だと思うんだけど。本質的に。きっと「大変だ」「つらい」とか言っててもいつだって誰かが助けてくれたりして生きてきた人みたいに思う」というようなことを言っていた。確かに保坂さんの作品は物事に対する基本的な姿勢がとても楽観的であるが、それを(作者自身に対する)そういう受け止めに飛躍するというのはどうかなぁと思いながら話を聞いていた。それだけの話です。結構、そこからいろいろと考えたりもしたんだけど、それはまたいつか。(06/4/10)

  • 大島弓子あとがき

  • その名の通り猫の小説です。特に表題作の「猫に時間の流れる」は、最初の一段落でぎゅっと心を捕まれました。この小説は人間視点ではあるけれどあくまで中心は猫。5年の時間が流れているのにその間の人間の変化はほとんど触れられず、猫の変化が重きをしめています。変わった理屈をこねながら語られる猫の様子は、かなり冷静。つい猫を見ると可愛い!と叫んでしまう私とは違い、一つの存在として扱っている感じがします。ラストは少し悲しい、クロシロの一代記でした。

  • 保坂和志『猫に時間の流れる』は、この表紙だけ見て手にとったのだけど、そもそも保坂さんの文体が何だかぬるいというか、馴染みにくくてむずがゆかった。主人公の暮らすアパートの住民とその飼い猫とののんびりした時間、そこに現れた気性の荒い野良猫との出会い…みたいな内容。
    主人公が自他に向けるやたら分析的なものの見方が好きになれない。こんな風に周りを傍観(という言い方がふさわしいような)している人が身近にいたら、話を聞けば聞くほど気持ちがもやもやっとしそうだ。村上春樹とかが好きな人には合うんじゃないかと思った。村上作品を読んだ時の感覚と似ていた(といっても一冊だけなのだけど…)。

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著者プロフィール

1956年、山梨県に生まれる。小説家。早稲田大学政経学部卒業。1990年『プレーンソング』でデビュー。1993年『草の上の朝食』で野間文芸新人賞、1995年『この人の閾(いき)』で芥川賞、1997年『季節の記憶』で平林たい子文学賞、谷崎潤一郎賞、2018年『ハレルヤ』所収の「こことよそ」で川端康成文学賞を受賞。主な著書に、『生きる歓び』『カンバセイション・ピース』『書きあぐねている人のための小説入門』『小説の自由』『小説の誕生』ほか。

「2022年 『DEATHか裸(ら)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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