楠木正成〈下〉 (中公文庫 き 17-7)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122042186

感想・レビュー・書評

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  • 分かってるようでよく分かってなかった南北朝時代の初期を描いています。
    日本史において「寡を以って衆を制す」の代名詞のような楠木正成を北方節で堪能しました。
    ただ、後醍醐天皇の描き方は面白かったものの、肝心の正成像が茫洋としていて、若干の物足りなさを感じました。
    物足りないといえば、もう少し先の話まで読みたかったです。
    北方南北朝には北畠顕家だったり佐々木道誉や赤松円心を描いた作品もあるようなので、その辺も読もうか悩むとこです。

  • 北方謙三の他の室町期の時代小説に比べて、こじんまりとしている。面白くないわけではないが、比較すると、この評価になる。
    悪党としてどう生きるか、後醍醐、大塔宮、尊氏、円心、正成の生き様が提示されている。

  • 楠木正成といえば、特に戦時中に日本の英雄の中でも最たる者として名前を挙げられるので、是非とも知っておかねばならない人物だと思い、入門書として読んでみました。
    かつての楠木正成像には、相当思想的な創作が入り込んでいるのだろうと思いますが、この作品はそういう部分は排除されています。
    思想的な部分を期待していただけに、そういう面では少し残念だったのと、戦の描写にメリハリがなく、途中で飽きが来てしまい、途中からは流し読みになってしまいました。
    ただ、歴史を概観する、ビジネスに活かす、という意味では良い本ではないかと思います。

  • 昔からちょうどこの辺の時代の流れが繋がらなくて悶々してたけど、これを読んで鎌倉から室町への移り変わりの背景が掴めました。単なる忠臣としての正成でなく、悪党として、また、ひとりの男として描かれていて物語としても楽しめました。

  • *上巻の感想のコピペです。

     父に北方太平記をどさっと借りて、まず読むことにしたのがこれでした。入り口としてはとてもよかったですね、わかりやすくておもしろくて。
     北方謙三の正成像は、現実主義で、機を見るに敏、利に聡い男。でも同時に見果てぬ夢を抱いていて、自分の現実性を夢のために使う。ある種の矛盾のある人物像なんだけれど、読後に残る印象は、筋の通った一本気な男、というもの。
     苦しい苦しい千早の籠城戦がやはり一番の山場ですね。耐えつづけることのすさまじさもあるけれど、それ以上に、このときは正成を中心とした心のつながりがもっとも強かった。赤松円心とも、大塔宮とも、このときは確かに繋がっていたのだと思える。夢が一番近づいた瞬間。それを横から突き崩した足利尊氏が、魅力的で、どこか正成とも通じ合う部分を持つ男という風に描かれているのが皮肉というかなんというか。
     読了当時は、「湊川」と言われてもピンとこなかったわたしですが、正成が湊川で迎える最後まで描いていないのがまたいい、と他のいろいろを読んだ今なら思えます。

  •  2006年1月2日購入

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  • 終わり方が唐突。極めて北方謙三色強し。

著者プロフィール

北方謙三

一九四七年、佐賀県唐津市に生まれる。七三年、中央大学法学部を卒業。八一年、ハードボイルド小説『弔鐘はるかなり』で注目を集め、八三年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、八五年『渇きの街』で日本推理作家協会賞を受賞。八九年『武王の門』で歴史小説にも進出、九一年に『破軍の星』で柴田錬三郎賞、二〇〇四年に『楊家将』で吉川英治文学賞など数々の受賞を誇る。一三年に紫綬褒章受章、一六年に「大水滸伝」シリーズ(全五十一巻)で菊池寛賞を受賞した。二〇年、旭日小綬章受章。『悪党の裔』『道誉なり』『絶海にあらず』『魂の沃野』など著書多数。

「2022年 『楠木正成(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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