再読。
幼主を戴く征の内部の確執がわりと面白くて困る。漆離伯要も荒んだなあ。これまでに出してきたボロを糊塗して挽回できるかに見えて、実はさほどそんな立場でもないのがミソ。傀儡の王を擁して実権を握るというのは結局、自身が強い力を恃める状態でできることなのだと、劇中では支吾と子懐が実演していた。他国の生まれで学問の徒、重臣達からはもちろん支吾からも距離を置かれた伯要にできるわけもなく……。羅旋や淑夜、徐夫余ほどではないにしても、魚支吾に登用されてからの変遷はなかなか起伏にとんだ人物ではある(しかもここがまだ底辺じゃない)。やはり個人の資質と身を置く環境なのか。仮に戎族や淑夜の存在がなかったところで、琅でうまくやっていくことも無理だと思う。蹴落とすタイプだから……。
衛と征がやりあう最中、誰も意図しない結果をもたらす飛び道具の活躍で羅旋が琅王を継ぎ、琅の電撃作戦が始まったところで幕。羅旋を説得する淑夜の言葉が感慨深く、ひとつの意志のもとそれぞれに行動を起こす琅の面々に燃える。
苳児の予言は、神がかりというより、士羽の導きであるような気がする。そう思いたい。