アポロンの哀しみ (中公文庫 S 19-2 マンガギリシア神話 2)

著者 :
  • 中央公論新社
3.76
  • (8)
  • (16)
  • (18)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 161
感想 : 10
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (241ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122043091

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ギリシャ神話の神々たちが、あまりにも俗っぽいので驚いてしまう。
    私たちは理想の人格=神と考えるが、ギリシャ神話の神々は、ある代表的な人格=神なのだそうだ。


    ギリシャ神話の中で讃えられる人間が登場するが、知恵の女神(平和のための知恵の戦い)であるアテナが言うように、『神は確かに大いなる力を持っているが万能ではない。ある意味ではこの地上に生きる限り人間たちにも…世界の秩序を守るための働きが求められるということでしょう。』とある。

    神と人間は共存している。

  • 2014年11月12日読了。ギリシア神話漫画シリーズ第2巻。太陽と音楽、理性と占いの神アポロンの悲恋とその他のエピソードで構成された巻。ギリシア神話はある特定の主人公が何かを成し遂げるまで、という形式の話ではないので、特定の神に焦点を当てたエピソードを集める効した公正にするしかまとめる方法はないのかな・・・。1巻に比べるとまとまりが悪い気もするが、神々のどうしようもない浮気性は「当時のギリシアに他に娯楽があったであろうか」「不倫がばれた男女の言い訳として『それは神々の御業なのだ』と言える、いい時代だったのだ」とも言えるか・・・。非常に重い悲劇的なエピソードも多いのだが、当時のギリシアの人々の人間性への達観を思わせてなかなか興味深い。続巻も楽しみ。

  • ギリシア神話の世界を漫画化したその第2弾です。スキャンダラスかつ示唆に富んだ「神々の世界」を私たちに親しみやすく紹介されております。10代の時に初めて読みましたが、改めて読み直しても面白かったです。

    深遠なるギリシア神話の世界を漫画家、里中満智子先生がコミカライズしたその第2集です。登場する神々は何というのか、喜怒哀楽が旺盛で親しみの持てる存在ばかりです。ここでも大神であるゼウスは人間、神といわずあらゆる女性に手をつけては子供を産ませ、いくら「俺の空」でもここまでのことはやっていないであろうという「性豪伝説」を繰り広げていきます。この規格外ぶりには「神様の特権」というものを強く意識してしまいました。

    これをはじめてみたのは10代の頃ですが、今読んでもビックリです。さらには、美の女神であるアフロディテと卓越した技術を持ったヘパイストスへと「結婚」し、それが破綻へと続く道が描かれ、その「宿命」のようなものに唖然としてしまいました。アポロンが自分の持つ恋愛感情ゆえに次々と悲劇を巻き起こしたり、太陽の神であるヘリオスの息子であるパエトンが太陽を運ぶ馬車を駆ってそれが暴走したときにゼウスがやむなく雷の力で彼を殺してしまった話はこれで初めて知ったと改めて思い出しました。

    さらには酒の神様であるディオニソスが「神の子」でありながらもその複雑な生い立ちをもって生まれたということ。後半部ではゼウスの支配に不満を持ったギガンテスがオリュンポスの神々に戦いを挑み、「神々の戦争」を繰り広げる部分。メデューサがその美貌から見た人間が石になるという姿に変えられたその経緯が確認できて、なんともいえない気持ちになりました。

著者プロフィール

マンガ家。第1回東アジアMANGAサミット事務局長。1948年大阪府生まれ。16歳のとき「ピアの肖像」で第1回講談社新人漫画賞受賞をし、プロのマンガ家生活に入る。その後数々のヒット作を生み出し現在に至る。主な作品に「アリエスの乙女たち」「あすなろ坂」「鶴亀ワルツ」他多数。「あした輝く」「姫が行く!」で1974年講談社出版文化賞受賞。「狩人の星座」で1982年講談社漫画賞を受賞。マンガジャパン事務局長。(社)日本漫画家協会常務理事。大阪芸術大学芸術学部文芸科教授。文化庁文化審議会著作権分科会委員などを歴任。

「2005年 『アジアMANGAサミット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

里中満智子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×