蒐集物語 改版 (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122044685

感想・レビュー・書評

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  • 古本で購入。

    民藝運動のトップランナー、柳宗悦が「蒐集とは何か、美とは何か」を語る本。
    内容は3部構成。
    最初に柳の蒐集活動の中からモノにまつわる色々なエピソードを。
    お次は木喰の発見と調査について。
    そして最後に柳の蒐集論を述べる。

    一番軽く読めるのが最初のエピソードの数々なんだけど、これがすごい。
    偶然と言うか巡り合わせと言うか、柳と柳の惚れ込んだモノとの出会いが無闇にドラマチックでウソくさいほど。
    いやまぁウソじゃないんだけど、それくらいの柳とモノとの互いを引き寄せあう引力に感服してしまう。

    読んでいておもしろいのは
    「なんでこれほど美しいモノが見逃されているんだ」
    「俺ほどにモノの持つ美を見極められる人間はいないのか」
    と言わんばかりの柳の自負。
    それは自惚れではなく、己の直観の力への自信という感じ。
    そこから来る狂気じみた蒐集っぷりもなかなか。何やらいい意味でのバカさ・狂いを感じるな。よいぞよいぞ(水鏡先生)。

    で、その柳の蒐集論。
    ものすごく簡単に言うと、知識でなく直観によるモノの選別、正しき蒐集作法の必要性、私心なき蒐集、公のための美、という感じ。
    青臭いほどに純粋な気概を持ってるんだね。
    何と言うか、柳宗悦っていう人物は癖はあるけどまっすぐな男だったのかもしれない。

  • 穂村弘さんのポケットから

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著者プロフィール

柳宗悦(やなぎ・むねよし):1889-1961年。学習院高等科在学中に雑誌「白樺」創刊に参加。主に美術の分野を担当した。東京帝国大学哲学科を卒業後は宗教哲学者として活躍。濱田庄司、河井寛次郎、バーナード・リーチ、富本憲吉らと出会い、「民藝」という新しい美の概念を打ちたてた。眼の人として知られるが、柳のまなざしは、物の美しさだけではなく、物を生み出した人や社会にたえず注がれていた。

「2023年 『新編 民藝四十年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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